皆さんは赤ワインのフルボディといったらどのような味わいをイメージされますか?
色合いは濃厚で、凝縮した果実味に豊かなタンニン(渋み)が溶け込み、アルコール度数も高くパワフルな印象、主に南半球の国々のワイン・・・こんな感じでしょうか?
フルボディを数値でふるい分ける項目があるわけではなく、その定義は曖昧です。
ここ数年ワイン試飲会に参加して感じるのは、チリ、オーストラリア、アルゼンチン、南アフリカなどの南半球のワインが年々洗練度アップエレガントさアップアルコール度数ダウンという傾向が多くなってきたなぁということ。
ボディはしっかりとしながらもどこかやさしさを感じるとか、白においては、果実本来の持ち味を生かしてあまりオークのニアンスを強く出さないとか・・・。
オーストラリア、チリの海外への輸出量は欧米を侵食する勢いで近年目覚しい伸びだそうで、やはりこれは世界に認められるワインとなっってきた、世界が求める味わいになってきたということだと思います。
先日、某大手ビールメーカーさんが主催するインポートワインの試飲会で、ボルドー赤ヴィンテージ06年(参考小売価格¥8000)を試飲したところ、拍子抜けするほどやさしく自然に身体に染み渡るような印象でした。ところがパンフを見ると「フルボディ」とあり、そこで質問してみると、
オーストラリア、チリの勢いに対し、ボルドーはどういう立ち位置にあればよいのかと見直す時期にきており、模索してできた味わいのひとつがこれなのだと、ここの造り手さんは堂々とこれがフルボディだと語っておられたとのことです。
さて、ここでもう一度「フルボディとは?」・・・位置づけの要素として凝縮感のある濃厚な味わいというだけでなく、余韻の深さ、印象深さという点も大きな要素になってきていると思うのです。ということは、同じフルボディといっても味わいに幅があるということ。
皆さんがワインをお求めになる際に瓶の裏にあるボディ表示も、造り手さんやインポーターさんの世界の動向を意識した、あるいはインポートしているアイテムの中での位置づけ等の感性によるもので、必ずしもお好みの参考になるとは限りません。裏表示を頼りに購入したら失敗したというご経験ありませんか?
となると、うちのような小さな小売店では、お客様のお好みをお話の中でキャッチすることが売り手として大切な役目になってくるなぁとひしひしと感じるこの頃です。
ちなみに、当店ではワインのプライスカードに凝縮感のある濃厚なワインに赤丸、ほどよいボリューム感に青丸、軽快な味わいに黄丸、濃厚さは赤丸ほどではないが深い余韻も含めてたっぷりとしたボリュームを感じるものには赤と青の半々丸のシールを貼っておりますので、ご参考にしてください。