酒の三幸

閉店後もこれまで温かく支えてくださったお客様と繋がる場所として、ブログを継続させて頂きます。その後の生活やワイン情報等。

ワインの好みを知る手がかり☆

2016-11-29 10:59:39 | ワイン

前回のブログでも触れましたが、ワインのお好みはお客様により様々ですし、それを売り手がお客様のご希望を聞いて探り当てる作業も難しいですし、販売歴30年の私でも味わいの説明は毎回課題となります。また、皆さんが実際にお店でワインを購入される際にご自分の好みを言葉で表現するのって難しくありませんか?

チーズプロフェッショナル資格試験を終えてから、受験勉強優先でチーズ関連以外の活字に飢えていた私は、ワイン、小説、お金、料理、接客などをテーマにした様々なジャンルの本をまとめ買いして今読んでいるのですが、その中で、「男と女のワイン術」(伊藤博之、柴田さなえ共著 日経プレミアシリーズ出版)という本に、自分の好みを知るスケ―ルになる分かりやすい説明が書かれてあり、私も大変参考になったのでご紹介します。

まず、赤について、ざっくり果実味(飲んだときに真っ先に口に広がる果実風味)が豊かなワインが好きか、果実のトーンは控えめだがドライ感があり余韻が深いものが好きかで分けると、

前者は、チリ、オーストラリアなど南半球国とカリフォルニア(米国)のニューワールドと呼ばれる国々のワイン、後者はフランス、イタリアを中心にクラシックタイプと呼ばれるヨーロッパの国々のワインが該当します。(あくまでも大雑把な分類ですので、この限りではありません。)

ニューワールドの国々は温暖な地域が多く日照時間も多く得られ完熟ブドウ使用のため果実味が豊かな凝縮感の強いワインになりやすく、それに比べヨーロッパは北半球に位置し、比較的冷涼な地域が多いため、酸度も高く辛口タイプのエレガントなワインが多く造られます。

この気候的条件の差以外に、世界のメイン赤品種、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、メルローの品種特性を絡めてまとめると、こうなります。(抜粋)

渋味のあるワイン⇒カベルネ・ソーヴィニヨン、渋味が少なく、酸味の強いワイン⇒ピノ・ノワール、渋味、果実味、酸味のバランスのよいワイン⇒メルロー

赤ワインの代表的な品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、フランス産の渋味と酸味が際立つ辛口ワインだが、ニューワールドのものだと飲みやすく感じる。これも果実味タイプのワインと呼び、果物のニュアンスを感じる甘い香りが強く、また口に含んだ瞬間にフルーティーな味わいが広がるため、酸味が感じにくくなる。もし、このニューワールドのカベルネ・ソーヴィニヨンに渋味を強く感じるとすれば、価格はそこそこ。安くても2000円以上だろう。

では、ピノ・ノワールに置き換えてみよう。虫食いの箇所を埋めてみてほしい。

一般的に(➀)の強いピノ・ノワールのワインは、ニューワールドのものは(②)が強いが、フランス産は(③)タイプである。口に含んだ瞬間は(④)は広がらないが、飲み込んでからの(⑤)が長い。また、ピノ・ノワールは総じて(⑥)は少ない。

(答:➀酸味 ②果実味 ③辛口 ④果実味 ⑤余韻 ⑥渋味)

白ワインも、同様な分類をすると、フルーツのニュアンスが少ない辛口ワインがヨーロッパ、フルーツのニュアンスが強いフルーティなワインはニューワールドとなる。

冷涼な気候であればあるほど果実味が減り辛みが増し、温かいほどに果実味が強くなる。(抜粋)

ちなみに、白の代表的な3品種は、穏やかであまり個性を主張しないシャルドネ、味わいを補強するために樽熟成されたものも多い。シャルドネと対比して語られるソーヴィニヨン・ブラン、青草、柑橘系果実の香りと爽やかの酸味、シャルドネに比べ個性を主張する品種といえる。ヨーロッパではドイツやフランス・アルザス地方の代表的品種、リースリング、酸味がしっかりしており、繊細な香の要素が豊か、花、蜜、柑橘系果実の他オイリーなミネラル香が特徴的。

では、このヨーロッパ系とニューワールド系を繋ぐ赤、白の中間的位置付けになるワインとは?

赤は「ボルドーのメルロー」、白は「ブルゴーニュのシャルドネ種から造られるマコン」と著者の見解。なるほど。。。

コンビニや一般的なスーパーでは、安価なニューワールドのワインが圧倒的に多いため、比較的飲みやすいワインが多いかと思います。

一歩深めた本来の品種特性への探求として、またご自分の味わいの好みを探る、ご自分の好みをコトバで表現できるようにするために、ちょっとお値段奮発して、味わいの基準となるボルドーメルロー主体(メルロー100%ワインはブレンド主体のボルドーで探すのは難しいので)、マコンを試してみてはいかがでしょうか?

最後に著者のプロフィールを、

伊藤博之:日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、ソムリエ取得。「わいん厨房たるたる」オーナー兼シェフ。大学卒業後素材メーカーの研究者としてフランス出張をきっかけにワインに目覚め、現在に至る。

柴田さなえ:食あれこれライター。食と旅を得意とする編集・ライテイングユニット「おいしいしごと」を主宰。

 


ボージョレ・ヌーヴォー商戦終えて。。。☆

2016-11-22 12:03:59 | ワイン

今年のヌーヴォー商戦終えて一段落、休日を迎えています。

商戦中、風邪を引いてしまい、リアルタイムでヌーヴォー情報をお伝えしたかったのですが、

帰宅してご飯食べて、お風呂に入って、即行で寝る!の日々でして。。。スミマセン

今年のヌーヴォー、全体的には甘味、酸味、若干の渋味のバランスが良いものが多かったのですが、

昨年ほど凝縮感が得られるものは少なかったように思います。

やはり、凝縮度では、昨年は突出していたのでしょう、いい年だった思います。

今年は長雨ののち後半で持ち直したとの前情報、出来としては悪くはないのですが、平年並みといったところでしょうか。

2店舗担当させて頂き、試飲したのが20アイテムほどなので、一概には言い切れませんが。

試飲した中では、バランスよし、ほどよい凝縮感、値ごろ感よしのアイテムとして、

シャトー・デ・ヴェルジェ・ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー2016 2180円(税抜き)

ボージョレの中でも優れたワインを生産している10地区(96村のうち22村のみで構成される)クリュ・ボージョレ地区産、

1870年創設の歴史あるシャトーと天才醸造家エリック・パルトンがコラボしたヌーヴォーです。

 

また、特に印象に残ったアイテムとして、自然派ヌーヴォー2アイテム、

マルセール・ラピエール・ボージョレ・ヌーヴォー2016 2980円(税抜き)

フィリップ・パカレ・ボージョレ・ヴァン・ド・プリムール2016 3680円(税抜き)

フィリップ・パカレは、自然派の父故マルセール・ラピエールの甥っ子に当たります。

ロマネ・コンティ社の醸造長に誘われたほどの造り手ですが、自分の信念を持ったワインを造りたいとその座を蹴って

2001年に自身のネゴシアンを立ち上げ、初ヴィンテージをリリース、現在に至ります。

2アイテムともに、天然酵母使用、酸化防止剤微量使用、口当りのやさしい喉越しの柔らかい飲み口です。

お好みによっては、薄いワインと感じられてしまうかもしれませんが、自然派嗜好の方やご年配の方には喜ばれました。

私も体調が万全ではなかったので、これらのワインは体にやさしく無理なく喉を通りました。(笑)

 

味わいに大差の無いものも多く、こういう場合、お客様にどう説明すればよいのかと、自分なりに考えたのが、

甘味、酸味、渋味、果実味(凝縮感)、喉越し(あとから、アフターで)、これらの言葉を使って違いを表現、

甘味、酸味、渋味に関しては、バランス感とかこの要素の中で何が強いか?たとえば、

甘味と酸味のバランスは良いが(フレッシュな果実味が先行し)、喉越しに渋味を感じる、

甘味、酸味、渋味がバランスよく、口に入れてすぐに細やかな渋味も感じられるが奥行のある味わい、

渋味は控えめだが、あとで酸味が残る、これはお料理に合わせやすい(マイナス要素に感じられる点は良い方向に表現)

全体的に元気のあるフレッシュ感、渋味が多少とげとげしていて荒削りだがヌーヴォーらしい、

全体的にやさしく、丸い口当たり、喉越しも柔らかい、

バランス良く、フレッシュな果実味が豊か、等々

味の構成要素と口当りの感触を織り交ぜながらの味わいの特徴に、ワインのバックグランドとして造り手や葡萄の情報などアピール

すべき点があれば、それを足してといった具合です。

比較試飲は、ヌーヴォーに限らず、ご自分の好みがどの位置にあるのかを発見させてくれる機会でもあるので、積極的に利用した方

がよいですよ! 但し、一応買う意志があって臨んでいる態度は必要です、売り手さんに対するマナーです。

 

最後に、名前だけで予約受注の多いヌーヴォーの一例として、ルイ・ジャド、タイユヴァン、ドミニク・ローランが挙げられます。

ルイ・ジャド、ドミニク・ローランは、ブルゴーニュでも著名な生産者、タイユヴァンはフランス・パリの凱旋門に近い名門レスト

ラン、「タイユヴァン」のために醸造されたヌーヴォーです。

 

さらに、白のヌーヴォーも若干数ですが、紹介されています。

ブルゴーニュ・マコン(シャルドネ種使用)ですが、バランス良くフレッシュな果実感が伝わる親しみやすい味わいのものがほとん

どです。

今年の旬の味わい、まだの方ぜひお試しくださいませ~

 

 

 


国産ワイン新酒解禁!

2016-11-05 10:44:03 | ワイン

ボージョレ・ヌーヴォー解禁前に、国産ワイン新酒も次々と解禁となっております。

国産の場合は解禁がワイナリーごと、更にはアイテムごとなのでバラバラなのですが。。。

今のお仕事がまさに国産ワイン新酒の販売です。

品種も様々、味わいも甘口、中口、辛口と様々、また無濾過で澱と一緒に瓶詰めすることで濁る「にごり新酒」といったものもあります。

販売していて思うのは、

国産のやや甘口白の新酒、辛口嗜好の方もただ「甘い!」と片づけないで、ちょっと食べ物との相性を考えて、トライしてほしいということ。

国産ワインのやさしい甘さは、ホワイトソース系にもなじみますし、ナチュラルチーズならタイプを選ばず全般にマリアージュします。

そして、これからの季節、和風だしなどあっさりスープ系のお鍋料理にも、野菜、白身魚、鶏肉、豚肉などの食材の甘味とワインの甘味が調和します。

ぜひ、旬のワインと旬の食材でお鍋トライしてみてください

ボージョレ・ヌーヴォー商戦前の国産新酒商戦、今日も声張り上げて頑張ってきまーす