お待たせいたしました~
6月19日(水) 午後7時より 自宅キッチンにて開催のワイン会のご報告です。
今回のテーマは季節に合わせて「清涼感!ワインあれこれ・・・」です。
甘味より酸味が強い寒冷地にスポットをあて、今回はフランス、ロワール地方、アルザス地方の主要品種のワインをセレクトし、比較テイスティングして頂きました。
資料に基づきざっと説明させて頂いてから、比較テイスティングへ、まずは白から、
左より、
①<ロワール>セバスティアン・リフォー・サンセール・ブラン・レ・ルーエ 2010
ロワール川最上流生産地の名醸白ワイン、品種はソーヴィニヨン・ブラン。冷涼地のワインは色合いが淡いの一般的傾向ですが、こちらは濃い目の黄色ですね。強い酸を柔らかくするためのマロラクティック発酵(乳酸発酵)、発酵後の澱に浸けて熟成させるシュール・リー製法により、味わいに厚みを持たせています。色合いが濃いのもこれらの製法が影響しているのかもしれません。もちろんソーヴィニヨン・ブランの特徴である柑橘系果実や青草の香も感じとれますが、さらに複雑性が加味されたニアンス。やはりアフターの酸の余韻はしっかりとしていて、冷涼地らしい造りを感じます。自然派ワインでSO2も極少量使用のワインです。
②<アルザス>ドミニク・エ・ジュリアン・フレイ・リースリング・グランクリュ・フランクシュタイン 2010
③<アルザス>ドメーヌ・リーフレ・リースリング・コート・ド・ルファック 2007
②、③ともにアルザスの主要品種リースイングです。白ワインの代表的品種でもあり、今回はリースリングを徹底分析!まず②は、フレッシュな柑橘系果実、バラやユリのような花の上品な香、ほのかな甘味とフレッシュだが柔らかい酸味が調和しやさしく素朴な果実感、ホッと落ち着くような味わいです。①のサンセールと違いマロラクティックは行わず、樽の影響を控えめにするため使用樽にてシュール・リー製法をしている点から、造り手の果実本来の持ち味を大切にする姿勢がうかがえます。リースリングの特徴のひとつである、表現的には好ましくありませんが灯油を思わせるようなオイリーな香(専門的にはペトロ臭)がありますが、こちらはさほど強く出ておりません。これに対し、③のリースリングはまさしくオイリーな香が熟した柑橘系果実風味に溶け込んでいます。②に比べ味わいにボリューム感も感じられ、余韻も深いです。ただ粘性は②の方が強く感じられ、繊細ながら様々な要素が折り重なった深みある味わいを感じさせます。オイリーなニアンスも含め、いずれも豊かなミネラルが果実味に溶け込んでいるのもリースリングの特徴です。
リースリング・・・柑橘系果実、花、蜜、オイリーな香、ミネラル、このあたりが品種特性のキーワードでしょうか。
次に赤です
左より、
④<アルザス>ドメーヌ・リーフレ・ピノ・ノワール・トラディッション 2010
アルザスの主要赤品種は、やはり寒冷地に適している品種ピノ・ノワールです。ピノらしいサクランボやイチゴのチャーミングな香、素朴でピュアな果実味にミネラルとフレッシュな酸味が調和し、スムーズで心地よい飲み口です。少し冷やしてお楽しみ頂ける爽快ピノです。アフターのスパイシー感もアクセントになっています。
①の色合いを②と比較してみるとやはり透明感のある薄めの色合いですよね、ピノの特徴でもあり、冷涼地らしい色合いです。
②<ロワール>ドメーヌ・ド・ロウシュ・ガイヤール・キュヴェ・レ・ピュイ 2008
ロワール川上流、トゥーレーヌ地区で有名なシノン、品種はカベルネ・フランです。特徴はカベルネ・ソーヴィニヨン種にも感じられる青っぽい香、ワインの勉強で品種特性を覚えるときにカベルネ・フランといったら「青ピーマンの香」を連想します。ただ、カベルネ・ソーヴィニヨンより赤いベリーの香の要素もあり、香に若干の華やかさが感じられます。こちらのアイテムはあまり強いピーマン香はありません。フレッシュな赤、黒ベリーの香が心地よく、①のピノに比べ果実味のボリュームもあり細やかなタンニンは感じられますが、やはりエレガントスタイルのきれいな仕上がりといえます。
③<ロワール>ドメーヌ・ラ・パオネリエ・アンジュ・ヴィラージュ・クロ・ドラ・ジャクリー 2010
今回ワインセレクトした冷涼地では、しっかりしたフルボディタイプの赤ワインを探すのは難しく、唯一某インポーターさんの試飲会で見つけたのが、このワインでした。やはり出席者の方の中には、濃い目のワインがお好みの方もいらっしゃるので、こちらも仲間入りです。私も初めて知ったのですが、このワイン、ロワール川中流のアンジュ地区のAOC格付けを取得していながら、品種はカベルネ・フラン50%、カベルネ・ソーヴィニヨン50%使用なのです。こんなにカベルネ・ソーヴィニヨンを使ってもいいんだ!と試飲会でも驚いてしまったワインです。フルボディまでには至りませんが、やはりカベルネ兄弟のブレンドで相性も良く、ほどよいボリュームの果実味に適度なタンニンも溶け込み、時間とともにタンニンもこなれてなめらかな口当たりに!出席者の皆さんの中で普段飲みなれた味わいに一番近かったかもしれません。そうそう、このワインもビオワインのため、テイスティングのはじめは、ちょっと変わった香がありましたよね~どなたか古漬け沢庵の香とか・・・そうなんです、SO2など極微量使用のため副産物の成分が通常のワインと異なり、はじめ複雑な香がすることがありますが、これも時間の経過とともにフェイドアウトしていきます。
今回のワインの中で特にロワール地方のワインは、日本ではまだまだ浸透していないのですが、今年に入って私が参加している試飲会でも以前に比べ数多く見られるようになりました。今後市場に出回ることも多くなることと思います。今回のワイン会の内容が少しでも頭の隅に残っていて、いつかご参考になることがあれば嬉しいです。
さて、真剣テイスティングが終了したあとは、楽しい楽しい懇親会へ突入でーす
この続きは次のブログでご報告いたしますね