君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 一話「心の中は…」

2012-10-06 01:49:24 | 『君がいる幸せ』Artemisia編二章 心の中は
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン 今はジョミーの専属。

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 一話「心の中は…」

 ステーションの修復工事の間、生徒達は惑星アルテメシアに居た。
 ソルジャーズの二人もアルテメシアに戻って来た。
 久しぶりに暴れたブルーは積もる恨みを晴らせたと豪語していたが、そうも気分の良いものではなかったようだ。
 アルテメシアで僕らはダールトンの一族に世話になっていた。
 その間に、ある一人の青年が眠ったままになっている話を聞いて、深層に潜って原因を探ってみる事になった。
 シドが補佐で、僕が潜ったのだが、それが、何故か異常な事態になってしまった。
 僕と彼が眠ったままになったのだ。

 僕は深層でキースと出会った。
「何故?キースがここに?」
「お前の深層に潜るのは二度目だな」
「…何か…起きてる?」
「俺が東部を視察中なのは知っているな。俺はスウェナからお前が眠ったままになっていると知らせを受けた」
「眠ったまま?…まだ…」
「もう一週間だそうだ。この間、栄養も受け付けないと皆が慌てている」
「…そんな…まさか…」
「これは、お前がした事だろう?」
「え?いや…僕は何もしていない。そんなに時間が経っているとも思っていなかった」
「とにかく、その男だけでも戻せ。俺が居るから…」
「…わかった」
 僕はキースにそう答えたが、強制的に排除するのはしにくかった。
「……どうした?」
「どうやれば…」
「追い出せばいいんだ。こう、出て行け!と」
 青年の姿が消えていった。
「キースの方が慣れてるね…」
「俺達の間にあいつが邪魔だと思っただけだ…」
「……」
「しかし…なんて姿なんだ?」
「…え?何?」
 ここで初めて僕は自分の姿を眺めて見た。
「…!!…」
「な、何これ?何で僕が…そんな…何で女の身体になっている?」
 僕は大人の女の身体になっていた。
「心を閉ざしたあいつに何を望まれた?」
「助けて欲しいって…」
 僕の服は教育ステーションの制服だったが全体的に細くなった所為でブカブカだった。思わず胸がある事を触って確かめている僕にキースが一つ咳払いをした。
「で、何をした?」
「あ…か、彼は色々な問題を抱え過ぎてしまっただけだから…簡単な催眠操作で十分だった。だから、簡単だと思っていた。すぐに戻るつもりで…それで…」
「何かを言われた?」
「僕達が生まれ変われたなら、女になって結婚して欲しいって言った…」
「それで、その要求を受け入れて女になっているのか?」
「ち、ちがう。生まれ変わるなんて、そんなの。第一、今まで僕がこんなになっているって知らなかったんだ」
「…お前はこの前の女装といい、女になりたいのか?」
「なりたいなんて、思っていない」
「前に俺の子が産んでみたいと言ったな」
「あれは違う。言葉のそのままの意味じゃない」
「しかし、俺は何故、お前が他のヤツとベッドにいるのを見なきゃいけないんだ?」
 そう、さっきキースが現れるまで、その言葉通りに僕は彼とこの大きな白いベッドの中に居たのだ。
 それは紛れも無い事実で、それの言い訳は出来なかった。
「多分…何もしていない…」
 僕はキースから目を逸らして答えた。
「何もしなければ同じベッドで寝ていいのか?」
「でも、男同士だし…」
「今は、女だろ?」
「そうだけど、それでも、何もしていない!」
「ジョミー…では、ついでだから、女の感覚を味わってみるか?」
「ついでって…!」
 トンと肩が押される。
 そのまま、後ろに下がるとベッドに仰向けに倒れた。
 慌てて逃げようと起き上がると、後ろから羽交い絞めにされてしまった。
「キース!冗談は止め…ろ」
「冗談にするつもりはない」
「嫌だ」
「嫌じゃないはずだ。俺がこうして脅しているのに何故男に戻らないんだ?」
「知らないって…」
「お人よしのお前はあいつの希望をきいて女になった」
「そんなのは…何故だかわからない」
「なら、女として満足しないと、やるだけやらないと戻れないとかか?」
「な…!」
 そんな会話の間にもキースは胸に手を伸ばしていた。
「さ…触るな」
 逃げようとしても逃げられない。
 それは体力の差ではなく、本気で逃げようとしていない感じがあった。
 心のどこかで僕は望んでいるのかもしれないと…何かが言っていた。
「で、でも、ダメだ。これは僕じゃない…僕は…」
「ジョミー」
 キースが耳元で囁いた。
「…あっ…いやだ…」
 否定する言葉を言いながらも、頬が紅潮するのがわかった。
 身体の芯が疼く、腰が浮く気がした…。
 これが…欲望…肉欲か…。
「キース…僕は…この身体は君を望んでいる…ようだ」
「心の中なのに、心と身体が別に思うのか?」
「だって…心地が良いんだ。男も女も関係なく僕は君の腕の中が一番気持ちが良いんだ」

 それは身体が勝手に望んだ事を言葉にした感じだった。
 それをきっかけに僕は僕の身体に戻っていった。
 僕は目覚めた。


 戻ってから何故か涙腺が弱くなったのか、めそめそしている僕に青年は思いっきり謝ってきた。
 彼は確かに僕に無謀な願いをしてきたけど、それは、心の中の事で彼に罪は無い。
 僕が馬鹿な事をしただけだ。
 何故そんな状態になってしまったのかはわからなかった。
 僕はキースに礼を言いたかったが、僕がまだ寝ている間にここを離れてしまっていた。
 僕らは答えを出す時期が来たのかもしれない。
 やがて、修復工事が終わり生徒達はステーションに戻った。
 そして一年後、僕は飛び級をして三年に進んだ。
 僕は休学願いを出してシドとメサイアへ戻る事になった。
「一年で戻るなんて、早いホームシックだね」
 ソルジャーズやキリアン達にからかわれたが、一年しても僕の身体は成長していかないのだから、一から身体を見直す必要があった。
「何がどう僕を縛っているのだろう」
「体と心のバランスが上手くいっていないだけでしょ」
 とシドは答えた。
 ミュウとして若い体のままでいる事に何も問題は無かった。
 今、戻った時とそう変わりない子供のような僕の体、成長を望んでも成長しないのは、僕がそれを望んでいない事になる。
 心の中では大人の女にもなれたのに…。
 成長を望んでいない。
 それが答えなのか?
 それがそうなのか?
 本当に?
 僕は何を望み、何を否定しているのだろうか?
 その本質を探さないといけなかった。
「もう一度、キースに会えば結果が出ると思いますよ」
 シドはそう言ったが、まだ僕はキースには会えなかった。
「今のままだと前と同じ事の繰り返しにしかならないよ」
「難しく考えなくてもいいと思いますよ…」
「気難しくて悪かったね」
「そうは言ってないですよ」
「シドはミアとは上手くいってるの?」
「え、何で知ってるんですか?」
「僕とミアはステディだったんだもん。聞いているよ」
「はぁ…」
 と、シドはため息をついた。
「ペセトラからはゼルで移動だから、シドはミアの居るペセトラに居てもいいよ」
「いえ、いいえ。メサイアからはシャングリラで月でしょ?」
「メサイアで時間があるから、追いついてくればいい」
「速度的に無理です」
「んー、なら、ミアをメサイアに連れてくれば?」
「まだ、そういう段階じゃないですって…」
 シドは照れ笑いを浮かべた。
 その顔はとても良い顔だった。
 やっぱりそういう顔は良い。

 僕が「希望」とか「ヒカリ」と思える能力へと変化していたとしても、僕自身が幸せじゃないとそれは、きっとただの偽装でしかない。
 幸せを探す?
 それはとても困難だった。
 僕が本当に幸せを望むには、僕は僕を見つけなければいけなかった。
 その方法は前の自分と今の自分、そして、僕の過去を見なおす旅になるだろう。



  続く