☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
ジョミー 本当はジョミーはクローンではない(タイプイエロー)
『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十七話
画面に映るジョミーはもうすっかり元通りに見えたが、怪我の回復があまり思わしくないと聞いていた。
それでも、命も危ぶまれた状態だったのだから、一年足らずで通常の生活が出来るまで回復したのは彼がやはりミュウだからだろう。
お互いが言葉を探る中、ジョミーは静かに話し出した。
「まず僕は君に謝らないといけないね。君に、本当にすまない事をした」
力強い瞳でまっすぐに自分と良く似た顔を見つめてそう言った後、僕はゆっくりと頭を下げた。
僕の顔が起き上がりまた相手を見るまで待ってから、ソルジャーズのジョミーはどう返事をするべきかと言うように頭に手をあててから、頭を掻くしぐさで彼は答えた。
「あれは、僕が勝手にした事です。あの、あれで死んでも僕には後悔は無かったんです。ああ、でも、信じてはもらえないかもしれませんが、皆が言っているように、死にたかった訳じゃありません。えっと、それで、ミュウの医療技術が無ければ助からなかったのは、わかっています。だから、あの、謝らないで下さい」
そう言ってさっきのジョミーと同じように頭を下げた。
そんな彼を見つめて、和みそうになる心を打消してジョミーは答えた。
「君が助かったのは君の生命力だよ。君が生きたいと願ったから助かったんだ。ミュウの力の本質は意思の力だから、そんな君を、僕は読み違えていたんだ。僕がキースを見殺しにして、ミュウによる力での支配を考えているという僕の本心を君は見抜いたんだ」
僕の言葉に意外そうな表情を浮かべながら、僕から顔をそむけてしまった相手にどうしても気持ちが動く。このまま、ここでお互いに許し、流す事も出来るだろう。
でも、それはしてはいけないんだ。
わかって欲しい。逃げないで僕に向かって来るんだ。
「僕はそこまで見ていません。僕は、ただあの場から逃げたかったんです」
「キースを殺すまではいかなくても、彼に瀕死の重傷を負わせた将軍を僕らが拘束する。僕が集めた人類の総意で戦争を終結させて、完全なる平和という理想を掲げて人類を力で操る。それがミュウをあの戦争へ介入させた目的だった。僕らは十年以上も待ち続けた。受け入れられるだけじゃ足りない時が来ていた」
「甘い蜜と苦い毒ですね」
彼は下を向いたまま、ぼそりと呟いた。
僕はその答えに安堵した。
君は僕になるように育てられた。だけど、同じではないのだから、僕に言いたい事があるのなら向かって来て欲しい。
彼は人として生まれた分だけブルーよりもプライドが高い。それは、彼自身の不幸な境遇も上乗せされているのだろう。プライドなど無いと言う彼はそれだけ自分を守る殻が硬いんだ。それさえ開けれれば、本当が見えてくる。
こうして僕らの戦いは静かに始まった。
「ああ、その通りだ。蜜は甘くなければ意味は無いからね。とにかく、あの時、僕は君を読み間違えた。いや、僕は君を軽んじていた。正確には君たちをと、なるのかもしれないけど、それは、取り返しがつかない僕の過ちだ。謝っても許してもらえないだろう。君にスパイのような真似をさせてしまったのがいけなかったんだ」
僕はもう一度頭を下げる。
それに対し、彼はさっきと同じように答えた。
「それは、僕がミュウを、貴方方を避けていたのも原因がありますから、それに僕はその立場を選んだのですから」
「だけど、僕はクローンのブルーと同じ扱いをすると、タイプブルーとしての能力的な事は、僕とトォニィが助けると言ったのに、僕は君に何も出来ていなかったんだね。君には荷が重かったんだ」
画面越しでも、彼の心がざわつく音が聞こえた。
「…奇異の目にさらされる僕たちをスメールで暮らすようにしてくれた事は感謝しています。人として生きる道も、ミュウとして生きる道も、示してくれた」
「だけど、それは僕のエゴでしかない…」
「それは…」
「許される事ではない」
「罪滅ぼしで優しくしたと言うのですか?」
「ああ、罪悪感はあった…。特に君には…」
画面の向こうで苦しげな表情をしているジョミーを見ながら、ソルジャーズのジョミーは叫んだ。
「僕は、あなたの謝罪を聞く為にてこうしている訳じゃありません!話がしたくてこうしているんです、だから…」
とても苦しい。とジョミーは思った。
まるで、小さな子供を苛めているような気持ちが襲ってくる。ソルジャーズのジョミーは本当に良い子なんだ。僕とは似ても似つかない。僕は苦い表情のまま、思わず「ごめん」と呟いていた。
そして、僕は小さく笑い、ため息をついた。
「わかった。もう謝らないよ。それで、君は僕と何を話したいんだい?」
そう言うと、彼の表情はとたんに明るくなった。
「えっと、あの、色々あるけど…」
真剣に悩む彼を暫く眺めてから、僕は「では、ジョミー。好きなように質問をしてくればいい。僕はそれに正直に答えよう」と言った。
「えっ?質問を?」
「ああ、その方が楽だろう?」
聞きたい事は沢山あるのに、どれから聞けばいいのかわからない。と、また彼は悩みこう言った。。
「じゃあ、最初に会った時から、どうして僕たちを殺さなかったのですか?」
「メサイア襲撃の時だね。あの時は、君たちと戦って手に負えないようなら、殺すしかないと思っていたよ。だけど、君たちは惑星ノアを救ってくれた。あの時から君たちを引き入れようと思った」
「あの時は、あなたが協力をしろと有無を言わせなかったんじゃ…。でも、僕たちは本物のあなたを見て圧倒されたんです。あなたと居ればもっと上に行ける。もっと力を手に入れられる。そう思ったんです」
「ミュウとしての戦い方はトォニィから教わった方が効率がいいのに、きみたちは僕にせがんでいたね」
「だって、メサイアはちょっと行きにくくて…。でも、スメールはとても楽しかった。同年代とあんな風に楽しくいれる時が来るなんて思っていなかったから、とても、嬉しかった。だから、僕たちは子供のままであなたに甘えていた」
「そのままで居れれば良いと、僕もフィシスもそう思っていたからね」
「でも、僕がタイプブルーでは無いのに気が付いたのは、最初から?」
「ああ、知っていた。それはトォニィも同じだ。君がいつからそうしていたのか僕らは調べていたんだ」
「じゃあ、、僕がタイプブルーじゃないとばれないようにスメールに?」
「それもあった。でも、タイプが何であろうと、僕にもトォニィにも、君が強いミュウであることには変わりないけれど、仲間たちの中にはそこを気にするのも居るだろうから」
「僕がクローンじゃない事もわかっていたの?」
「それは、少し経ってからかな。曲がりなりにもスメールは遺伝子研究所だからね」
「遺伝子研究所…」
「ジョミー?」
「……」
「嫌な事を、思い出させてしまったかな…」
不吉な未来を視てしまった時のような表情で彼が僕を見つめている。
僕はその意味がわからなかった。
「でも、どうしてなんですか?ジョミー。あなたはあの時何もしなかった」
「何が?あの時って…いつなんだ」
続く
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
ジョミー 本当はジョミーはクローンではない(タイプイエロー)
『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十七話
画面に映るジョミーはもうすっかり元通りに見えたが、怪我の回復があまり思わしくないと聞いていた。
それでも、命も危ぶまれた状態だったのだから、一年足らずで通常の生活が出来るまで回復したのは彼がやはりミュウだからだろう。
お互いが言葉を探る中、ジョミーは静かに話し出した。
「まず僕は君に謝らないといけないね。君に、本当にすまない事をした」
力強い瞳でまっすぐに自分と良く似た顔を見つめてそう言った後、僕はゆっくりと頭を下げた。
僕の顔が起き上がりまた相手を見るまで待ってから、ソルジャーズのジョミーはどう返事をするべきかと言うように頭に手をあててから、頭を掻くしぐさで彼は答えた。
「あれは、僕が勝手にした事です。あの、あれで死んでも僕には後悔は無かったんです。ああ、でも、信じてはもらえないかもしれませんが、皆が言っているように、死にたかった訳じゃありません。えっと、それで、ミュウの医療技術が無ければ助からなかったのは、わかっています。だから、あの、謝らないで下さい」
そう言ってさっきのジョミーと同じように頭を下げた。
そんな彼を見つめて、和みそうになる心を打消してジョミーは答えた。
「君が助かったのは君の生命力だよ。君が生きたいと願ったから助かったんだ。ミュウの力の本質は意思の力だから、そんな君を、僕は読み違えていたんだ。僕がキースを見殺しにして、ミュウによる力での支配を考えているという僕の本心を君は見抜いたんだ」
僕の言葉に意外そうな表情を浮かべながら、僕から顔をそむけてしまった相手にどうしても気持ちが動く。このまま、ここでお互いに許し、流す事も出来るだろう。
でも、それはしてはいけないんだ。
わかって欲しい。逃げないで僕に向かって来るんだ。
「僕はそこまで見ていません。僕は、ただあの場から逃げたかったんです」
「キースを殺すまではいかなくても、彼に瀕死の重傷を負わせた将軍を僕らが拘束する。僕が集めた人類の総意で戦争を終結させて、完全なる平和という理想を掲げて人類を力で操る。それがミュウをあの戦争へ介入させた目的だった。僕らは十年以上も待ち続けた。受け入れられるだけじゃ足りない時が来ていた」
「甘い蜜と苦い毒ですね」
彼は下を向いたまま、ぼそりと呟いた。
僕はその答えに安堵した。
君は僕になるように育てられた。だけど、同じではないのだから、僕に言いたい事があるのなら向かって来て欲しい。
彼は人として生まれた分だけブルーよりもプライドが高い。それは、彼自身の不幸な境遇も上乗せされているのだろう。プライドなど無いと言う彼はそれだけ自分を守る殻が硬いんだ。それさえ開けれれば、本当が見えてくる。
こうして僕らの戦いは静かに始まった。
「ああ、その通りだ。蜜は甘くなければ意味は無いからね。とにかく、あの時、僕は君を読み間違えた。いや、僕は君を軽んじていた。正確には君たちをと、なるのかもしれないけど、それは、取り返しがつかない僕の過ちだ。謝っても許してもらえないだろう。君にスパイのような真似をさせてしまったのがいけなかったんだ」
僕はもう一度頭を下げる。
それに対し、彼はさっきと同じように答えた。
「それは、僕がミュウを、貴方方を避けていたのも原因がありますから、それに僕はその立場を選んだのですから」
「だけど、僕はクローンのブルーと同じ扱いをすると、タイプブルーとしての能力的な事は、僕とトォニィが助けると言ったのに、僕は君に何も出来ていなかったんだね。君には荷が重かったんだ」
画面越しでも、彼の心がざわつく音が聞こえた。
「…奇異の目にさらされる僕たちをスメールで暮らすようにしてくれた事は感謝しています。人として生きる道も、ミュウとして生きる道も、示してくれた」
「だけど、それは僕のエゴでしかない…」
「それは…」
「許される事ではない」
「罪滅ぼしで優しくしたと言うのですか?」
「ああ、罪悪感はあった…。特に君には…」
画面の向こうで苦しげな表情をしているジョミーを見ながら、ソルジャーズのジョミーは叫んだ。
「僕は、あなたの謝罪を聞く為にてこうしている訳じゃありません!話がしたくてこうしているんです、だから…」
とても苦しい。とジョミーは思った。
まるで、小さな子供を苛めているような気持ちが襲ってくる。ソルジャーズのジョミーは本当に良い子なんだ。僕とは似ても似つかない。僕は苦い表情のまま、思わず「ごめん」と呟いていた。
そして、僕は小さく笑い、ため息をついた。
「わかった。もう謝らないよ。それで、君は僕と何を話したいんだい?」
そう言うと、彼の表情はとたんに明るくなった。
「えっと、あの、色々あるけど…」
真剣に悩む彼を暫く眺めてから、僕は「では、ジョミー。好きなように質問をしてくればいい。僕はそれに正直に答えよう」と言った。
「えっ?質問を?」
「ああ、その方が楽だろう?」
聞きたい事は沢山あるのに、どれから聞けばいいのかわからない。と、また彼は悩みこう言った。。
「じゃあ、最初に会った時から、どうして僕たちを殺さなかったのですか?」
「メサイア襲撃の時だね。あの時は、君たちと戦って手に負えないようなら、殺すしかないと思っていたよ。だけど、君たちは惑星ノアを救ってくれた。あの時から君たちを引き入れようと思った」
「あの時は、あなたが協力をしろと有無を言わせなかったんじゃ…。でも、僕たちは本物のあなたを見て圧倒されたんです。あなたと居ればもっと上に行ける。もっと力を手に入れられる。そう思ったんです」
「ミュウとしての戦い方はトォニィから教わった方が効率がいいのに、きみたちは僕にせがんでいたね」
「だって、メサイアはちょっと行きにくくて…。でも、スメールはとても楽しかった。同年代とあんな風に楽しくいれる時が来るなんて思っていなかったから、とても、嬉しかった。だから、僕たちは子供のままであなたに甘えていた」
「そのままで居れれば良いと、僕もフィシスもそう思っていたからね」
「でも、僕がタイプブルーでは無いのに気が付いたのは、最初から?」
「ああ、知っていた。それはトォニィも同じだ。君がいつからそうしていたのか僕らは調べていたんだ」
「じゃあ、、僕がタイプブルーじゃないとばれないようにスメールに?」
「それもあった。でも、タイプが何であろうと、僕にもトォニィにも、君が強いミュウであることには変わりないけれど、仲間たちの中にはそこを気にするのも居るだろうから」
「僕がクローンじゃない事もわかっていたの?」
「それは、少し経ってからかな。曲がりなりにもスメールは遺伝子研究所だからね」
「遺伝子研究所…」
「ジョミー?」
「……」
「嫌な事を、思い出させてしまったかな…」
不吉な未来を視てしまった時のような表情で彼が僕を見つめている。
僕はその意味がわからなかった。
「でも、どうしてなんですか?ジョミー。あなたはあの時何もしなかった」
「何が?あの時って…いつなんだ」
続く
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