☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十三話
惑星「アルテメシア」
ジョミーはアタラクシア空港でソルジャーズのブルーを待っていた。
僕は彼に会うのが怖い。それは、ほぼいつもの事だ。
彼の本体が僕の人生を変えた人だから…、僕の中には彼の意思のままに引きずられてしまう自分が存在する事も、それに反発する自分が存在する事も最初からわかっていた。
ミュウの戦闘特化のタイプブルーの自分(ソルジャー・シンは)そんな不安定な状態な自分をを不快に思い「力」で決着を着けようとした。
それが、出会った時の戦いだった。あの時は僕が押さえつけた。
それから、一年余り僕は彼らと一緒に行動をした。この間に、クローンのブルーがとても素直な性格である事を知った。それはとても楽しかった。
きっと、実際のブルーも、僕と出会う前の若い頃の彼もこんな風に明るくて素直だったんだろうなと思って嬉しかった。
でも、ただ一つ…問題があった。それは、僕と彼の間を結ぶ因縁が強く深過ぎて、遺伝子レベルでお互いを求めてしまう事だった。
僕が『地球再生』でマザーの元に行く時に、心ならずも彼を僕の最後に一緒に居る者と選んでしまったのも、僕は無意識に彼に僕を看取って欲しかったからだろう…。
そう、僕は立ち位置を変えて…あのナスカの再現をしてしまったんだ…。
あの時気が付いた。僕は皆の残される辛さを知りながら見ないふりをしていたんだと…。
「連れて行って!」
「置いて行かないで」
「一人にしないで」
と、ナスカ上空で去ってゆくブルーの背中に僕は何度叫んだだろうか?
そんな事は出来はしない。なのに、声にならない声で何度も…。
皆にそんな思いをさせてしまったんだ…。
そして、そこから逃げるように僕はブルーの眠る「月」で消えた…。
月に僕が残したブルーの墓標の氷は僕の思いそのものだ。
『悲しみの氷塊』
無限に成長をし、永遠に消えない悲しみの塊。
そして、僕は泣けなくなった…。
ナスカで流せなくなった涙は、遥かな時間の先でブルーに会って取り戻した。
そして、僕に涙は悲しみだけじゃないと心から思えるようにしてくれたのはキースだ。
それなのに…。
僕は、あの時空を超えた先で会った事が、ブルーとの本当に最後の別れだと思っていた。
でも僕は、戻った。
この現実に…。
そして、僕は不義理で不誠実な事をしたんだ。
キースが僕に言った。
「お前は俺の物にならないのに、お前は自分の物になれと言うんだな」と。
アレはそのままだ。
僕はブルーと一線を越えようとした。
そう何度も…。
二人がそれを超える事は無かったが、それはお互いはもう超えていると実感していたから、もうそれ以上の結びつきを拒絶したんだ。
例え、お互いが惹かれあっても、そうなる事が怖かったんだ。お互いに。
僕らのその迷いがソルジャーズのジョミーの命を危険にさらすような事になってしまったのだろう。
ブルー。
君は僕を責めていい。
「記憶を奪うなんて、生ぬるいよ…もっと憎んでいい…」
僕は彼に殺されても文句は言えない。
「どうして、こんな愛し方しかできないのだろうか…」
キースが執拗に僕の記憶回帰とブルーへの思いを知りたがったのは、そういう事だろう。
でも、ごめんね。ブルー。
今の僕は君に殺される気は無い。
腕で済むなら斬りとっていい。足でも目でも、何でも自由にすればいい。
「僕は最低な男だな…」
彼がそんな道を選ばないのを、わかってて言ってる。
キースにも…。
僕は偽善者で、強欲で、傲慢で自分勝手だ。
トォニィを欺き、シドを貶め、ジョミーを利用して、ブルーを弄び、キースを裏切った。
人は本来我がままなんだ。思うとおりに生きていいとは言われたが、まさか、ここまで自分が好き放題をするとは思ってなかったな…。
それでいて、こんな僕なのにキースだけは自分の傍から離れないと思っている。
情けないな…。
そんな事わからないのに、どこまでいっても自分にとって都合が良い考えばかりだ…。
人と人との関係は、どうやって築いてゆけばいいのだろう?
その方法を、僕はまだよくわかっていない。
力を使わないで、キースと対等にやってゆけるのだろうか?
人と人の繋がりとは何だろう?
まずは相手を認め、信じ信頼する事、そして、その人物の生き方を見極め、尊重し見守る事…。
でも、僕らの生き方はまだこれからだ。
そう、まだこれから。
空港の窓から陽が射す青空を見上げて、ジョミーは大きく伸びををした。
「でも、それでも。自分の最後(いのち)を自分の手に委ねる事が出来るようにはなったな。それが、人の運命(さだめ)ならば…」
人として自分の命に責任を持つ事。
命は、かけがえのない大切なものだ。
生きてゆく事に責任を持つ事。
「人」として生きるのは弱くなる事じゃない。
強くなる事だ。
何があっても、何を失っても、強く生きる事だ。
涙を超えてその先へゆく事。
それが生きる事。
僕らは相手の命を奪ってでも生き抜く道を選んだ。
その贖罪がこの身が引き裂かれながら生きるという事であっても、生き抜いてみせる。
続く
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十三話
惑星「アルテメシア」
ジョミーはアタラクシア空港でソルジャーズのブルーを待っていた。
僕は彼に会うのが怖い。それは、ほぼいつもの事だ。
彼の本体が僕の人生を変えた人だから…、僕の中には彼の意思のままに引きずられてしまう自分が存在する事も、それに反発する自分が存在する事も最初からわかっていた。
ミュウの戦闘特化のタイプブルーの自分(ソルジャー・シンは)そんな不安定な状態な自分をを不快に思い「力」で決着を着けようとした。
それが、出会った時の戦いだった。あの時は僕が押さえつけた。
それから、一年余り僕は彼らと一緒に行動をした。この間に、クローンのブルーがとても素直な性格である事を知った。それはとても楽しかった。
きっと、実際のブルーも、僕と出会う前の若い頃の彼もこんな風に明るくて素直だったんだろうなと思って嬉しかった。
でも、ただ一つ…問題があった。それは、僕と彼の間を結ぶ因縁が強く深過ぎて、遺伝子レベルでお互いを求めてしまう事だった。
僕が『地球再生』でマザーの元に行く時に、心ならずも彼を僕の最後に一緒に居る者と選んでしまったのも、僕は無意識に彼に僕を看取って欲しかったからだろう…。
そう、僕は立ち位置を変えて…あのナスカの再現をしてしまったんだ…。
あの時気が付いた。僕は皆の残される辛さを知りながら見ないふりをしていたんだと…。
「連れて行って!」
「置いて行かないで」
「一人にしないで」
と、ナスカ上空で去ってゆくブルーの背中に僕は何度叫んだだろうか?
そんな事は出来はしない。なのに、声にならない声で何度も…。
皆にそんな思いをさせてしまったんだ…。
そして、そこから逃げるように僕はブルーの眠る「月」で消えた…。
月に僕が残したブルーの墓標の氷は僕の思いそのものだ。
『悲しみの氷塊』
無限に成長をし、永遠に消えない悲しみの塊。
そして、僕は泣けなくなった…。
ナスカで流せなくなった涙は、遥かな時間の先でブルーに会って取り戻した。
そして、僕に涙は悲しみだけじゃないと心から思えるようにしてくれたのはキースだ。
それなのに…。
僕は、あの時空を超えた先で会った事が、ブルーとの本当に最後の別れだと思っていた。
でも僕は、戻った。
この現実に…。
そして、僕は不義理で不誠実な事をしたんだ。
キースが僕に言った。
「お前は俺の物にならないのに、お前は自分の物になれと言うんだな」と。
アレはそのままだ。
僕はブルーと一線を越えようとした。
そう何度も…。
二人がそれを超える事は無かったが、それはお互いはもう超えていると実感していたから、もうそれ以上の結びつきを拒絶したんだ。
例え、お互いが惹かれあっても、そうなる事が怖かったんだ。お互いに。
僕らのその迷いがソルジャーズのジョミーの命を危険にさらすような事になってしまったのだろう。
ブルー。
君は僕を責めていい。
「記憶を奪うなんて、生ぬるいよ…もっと憎んでいい…」
僕は彼に殺されても文句は言えない。
「どうして、こんな愛し方しかできないのだろうか…」
キースが執拗に僕の記憶回帰とブルーへの思いを知りたがったのは、そういう事だろう。
でも、ごめんね。ブルー。
今の僕は君に殺される気は無い。
腕で済むなら斬りとっていい。足でも目でも、何でも自由にすればいい。
「僕は最低な男だな…」
彼がそんな道を選ばないのを、わかってて言ってる。
キースにも…。
僕は偽善者で、強欲で、傲慢で自分勝手だ。
トォニィを欺き、シドを貶め、ジョミーを利用して、ブルーを弄び、キースを裏切った。
人は本来我がままなんだ。思うとおりに生きていいとは言われたが、まさか、ここまで自分が好き放題をするとは思ってなかったな…。
それでいて、こんな僕なのにキースだけは自分の傍から離れないと思っている。
情けないな…。
そんな事わからないのに、どこまでいっても自分にとって都合が良い考えばかりだ…。
人と人との関係は、どうやって築いてゆけばいいのだろう?
その方法を、僕はまだよくわかっていない。
力を使わないで、キースと対等にやってゆけるのだろうか?
人と人の繋がりとは何だろう?
まずは相手を認め、信じ信頼する事、そして、その人物の生き方を見極め、尊重し見守る事…。
でも、僕らの生き方はまだこれからだ。
そう、まだこれから。
空港の窓から陽が射す青空を見上げて、ジョミーは大きく伸びををした。
「でも、それでも。自分の最後(いのち)を自分の手に委ねる事が出来るようにはなったな。それが、人の運命(さだめ)ならば…」
人として自分の命に責任を持つ事。
命は、かけがえのない大切なものだ。
生きてゆく事に責任を持つ事。
「人」として生きるのは弱くなる事じゃない。
強くなる事だ。
何があっても、何を失っても、強く生きる事だ。
涙を超えてその先へゆく事。
それが生きる事。
僕らは相手の命を奪ってでも生き抜く道を選んだ。
その贖罪がこの身が引き裂かれながら生きるという事であっても、生き抜いてみせる。
続く
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます