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『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」十七話(Messiah/現在)※BL風味

2011-11-10 19:27:56 | 『君がいる幸せ』(本編)三章「星の祈り」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
木星軌道上の衛星都市メティス 二人がいた建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」

  十七話(Messiah)現在 ※BL風味(遊び回です)
 人類の首都ノアの政変は連邦政府の勝利となった。
 惑星ノアの避難も解除され、各地で起きた暴動の芽も収まっていった。
 ノアを救ったのは連邦政府と報道された。
 ミュウの星、メサイアにも人々が戻った。
 ノアと同じようにメサイアも狙われたが、こちらも無事に終わったと報道されていた。
 危険度の高い兵器コロナフィズの存在は人類には明かされなかった。
 けれど、人類の首都ノアを救ったのは「ソルジャー・トォニィとジョミーである」と静かに広まっていた。
 ミュウ達は自分達が人類と同等では無いと思う者が多いが、この事件はミュウ達にとって心強い誇りとなっていった。

  シャングリラ メディカルルーム
 ミュウとしての力を使うのに慣れていないソルジャーズの二人はジョミーより遅かったが、動けるまでは回復をしていた。
 トォニィは政府からメサイア襲撃の実行犯として彼らの引渡しを要求された。
 彼は重症の為、治療中と拒否をした。
 交渉の末、彼らの身柄はジョミーが預かる事となった。
 しばらくして「終戦式典」が行われた。
 最後のメギドは太陽系地球のの太陽に落とされた。
 また人類は自立と、共存の道を静かに進み始めた。
 式典後、ジョミーとトォニィの許にセルジュが訪れた。
 一時、メサイアの治安を守っていた彼はトォニィと話が合うようだった。
 前は喧嘩腰だったのに、いつの間にこんなに仲良くなったのだろうか…とジョミーは思った。

  メサイア上空 衛星ステーションのトォニィの部屋
 セルジュはノアやペセトラでソルジャーズのデータを集めていた。
「こう表現するのも申し訳ないのですが…」少し恐縮したように話し出した。
「彼ら二人はとても完成度の高いクローンのようです。今の人類では最高傑作と言えるのでは…と思われます」
「細胞の活性化の付加はない?」
「今のところはないですね。多分この先も起きないと思います。成長も十歳くらいまで意図的に引き上げられてますが、その後は普通に育てられていたようですし…」
「十四になって覚醒するように、時を待ったのか…」
「SD体制でクローンを作るのと似たような事をしてたのに、人類は人間のクローンは禁止なんだもんね」とトォニィが皮肉を言った。
「それは、同じ人間が何人も居たら困るじゃないか」セルジュが真顔で答えた。
「なんで?わかってればいいじゃない?」
「一人だけで何人も作って、独裁国家なんて出来たらどうするんだ?」
「そんなの相手にしなきゃいい」
「強大な軍事国家を作ったら?」
「ありえないよ」
「まぁ、ありえないけど…」ジョミーが口を挟んだ。
「彼らは、百人以上作られてたらしい」
「え?…百人も…なんで…」
「DNAを使ってクローンを作っても、僕達と同じようにミュウとして覚醒するとは限らないんだ。百体以上作って一人なら良い方だ…僕も二十体は破棄して…」とそこで言葉を切った。
 重くなってきた空気を変えようとセルジュが言った。
「でも、たとえば、自分のクローンを作って、子供はいらないってなったら、人類の未来はないからね」
「そうだ!そうだよ。ジョミー」
「?」
「クローンの彼らは勝手に作られた。それはジョミーの意思じゃない。ジョミーも子供をつくればいいのに!メサイアにはジョミーの子が欲しいって言う娘が沢山いるよ」
「だよね?」とセルジュに同意を求めた。
「そ、そう…ですね」とセルジュが言った。
「…あのね…」
 データを見ていたジョミーが困惑したようにトォニィを見る。
「命を生み出す事は全然怖いことじゃないよ」
 トォニィが静かに言った。
「…トォニィ…」
 彼が言おうとしている意味が伝わってくる。
「僕は、もう怖がっていないよ」
「だったら」
 チラッとセルジュを見てから、
「キースなんかと一緒にいないでさ、結婚しなよ」と言った。
「なんかとは、聞き捨てならないな!ソルジャー・トォニィ」
「じゃ、あいつ」
「おい!」
「トォニィ…」
 ジョミーが二人の止めに入った。
「だけどさぁ、そうでしょ?」
「アニアン議長にはジョミーが必要なんです」
「ふーん。じゃあさ。ジョミーにはキースは必要なの?」
「…え?…」
「どう?」
「…それは…別に…」
 苦笑いをしたまま答えないジョミー。
「別に必要ないなら、いいじゃん。メサイアにおいでよ。カナリアもソルジャーズも一緒にさ」
「だから、議長には…」
 セルジュが食い下がってくる。
「だから?どうして?どう必要なんだよ。僕がもう彼を襲うこともないし、もうちゃんと守られてるじゃん。まさかまた今回みたいにミュウを利用しようってんじゃないよね?」
「利用されたと思うなら、利用しかえせばいいじゃないか」
「何だよ、それ?軍人らしい考え方だな。だいたいさぁ、ジョミー。キースのどこがいいの?まさか、こいつみたいに軍人っぽく感化されて、彼を利用しようってのでもないでしょ?」
「ジョミーはそういう事はしないし、僕に感化なんかもされない人でしょ?さっきから言ってるじゃないか。議長のどこって全部がいいじゃないか!」
 とセルジュがほえる。
「セルジュに聞いてないって。だからさ、あいつのどこがいいんだよ。一緒にいる意味があるの?」
「どこって…」
「どこって、大きいからじゃん」※ソルジャーズのジョミー(声は同じ)
 いつから居たんだ?となるトォニィとセルジュ。
 ジョミーは頭を抱える。
 話がズレていた。だがそのまま話を繋げるトォニィ。
「大きい?何が?」「何がだよ?」とかぶせる。
「だからー、こ…」答えようとするソルジャーズのジョミーの邪魔をするブルー。
「ちょっと、待てジョミー。お前が入ると事がややこしくなるからやめろ」
「なんでさ」
「いいか。良く聞けよ」とブルー。
「?」
「この状態で大きいなんて言ったらアレに決まって…」
「…」
「アレ?」事が不明なソルジャーズのジョミー。
「鈍いヤツだな。アレはあれだろ?」 (笑いを堪えているブルー)
「何が何だって?セルジュわかる?」トォニィがわざと聞いた。
「…ソルジャーズのジョミーって天然?…」
 セルジュは笑えて返事になってならなかった。
 この瞬間。ジョミーはソルジャーズを連れて跳んだ。(逃げた)

「行ったかな…。全く頑固なんだから」
「行き先は?ゼウス?」
 上がってゆくジョミーのシャトルを見ながらトォニィは呟く。
「もう僕は大丈夫だから…気にしないでいいのに…」
「トォニィ?」
「自分で命をつくる事を怖がっているんだジョミーは」
「命を?なぜ?そんなのあえて作る必要ないんじゃないか」
「命って言っても、子供とか。ソルジャーだからって後を継ぐものが必要ってんじゃないよ。だけど、立場的には命を生みだす事を怖がってたらいけないじゃん?」
「立場的ねぇ」
「一応ね」
「見ため的に幸福な図ってのが必要って事?でも、彼なら、そういう事に敏感で真っ先にやってゆきそうじゃないか?どうしてそうしてこなかったんだ?」
 とセルジュが聞いた。
「詳しくは知らないけど、昔、何かあったみたい。それと、僕達ナスカチルドレンは、彼が望んだから生まれてきたんだ。僕らが生まれた事で大きく戦況が動いたのも事実だし、僕らの仲間も無事には終わっていない…。確かに力技だったかもしれないけど、ジョミーの本意ではなかったかもしれないけれど、だけどさ。もう戦いは終わって、僕達は生きている。だから、もういいよね?」
「まだ君たちへの責任を感じているというのか?、そして、今はもうそれを感じる必要はないという事だな」
「そう。だって僕ら。今はもうジョミーの為だけに生きていると思ってないし、ジョミーはジョミーの生き方があるからさ。そろそろ過去からも僕らからも解放されていいと思うんだ」
「お前達、ソルジャーって生きるの不器用だな」
「ソルジャーだけじゃないよ。ミュウ達はみんなこんなもんさ」
「そうか…」
「お前達、人間が単純すぎるんじゃないの?」
「ははは、そうなのかもな」
「だけど、ジョミー。キースの所へ行くってのも問題ありだなぁ」
「まぁな…。でも、二人して焚き付けといて、今更それを言うのか?」
「僕は二人が仲がいいなんて、承知してないけどね。でも、いつまた何が起きるかわからないんだから、今、ジョミーが望むのならいいんじゃない?」
「あの二人は負った傷が同じなんだと思う」
「…負った傷か…。そうかもね」
 と二人は空を見上げた。



  続く


 


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