君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

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『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」四話 ※BL風味

2013-02-13 01:55:42 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーはクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」四話

 二人は背中合わせに立ち、銃を構えた。
「反撃開始だ」
 それが合図だったかのように、パリン とまた割れる音がした。
 ガラスの破片が降り注ぐ、その破片がバリアを抜けてきた敵の攻撃をピンポイントで撥ね返してゆく。
 その中心でオレンジの光に包まれゆっくりと回りながら二人が銃を撃つ。
 そうか…。
 ジョミーのタイプオレンジの力はまだ未知数。
 予知や予測で読めない力。
 人類の武器には抵抗がある上、予測不可能な動きをする弾。
 オレンジへと力を変えて防御の力を攻撃へと回したが、まだ敵の攻撃は容赦なく続いている。
「埒が明かないな…」
 ジョミーが呟く。
 パリン また音がする。
 物理的にも心理的にも優勢と言える状態では無い。
 このまま消耗戦になったらジョミーが押し負ける。
「ジョミー」
 キースが囁いた。
 その声に振り向き見上げるジョミー。
 キースの背中に銃を持ったままの腕が回され、引き寄せられた。
 二人の唇が重なる。
「…ん…」
 ジョミーの背中に回したキースの手の銃が背中を離れ敵を撃つ。
 キースがジョミーを離す。
「捕まえた。シド。君だね」
 霧が晴れたようにシドの周りが見えてくる。
 座り込んだ彼の身体にはオレンジ色の鎖が巻き付いていた。
「あれくらいで動揺するようじゃ…な…」
 キースがシドを見下ろして言った。
「ジョミー。もう一回するか?」
「思いきり甘いのでいこう」
 二人が向き合い、お互いの身体に腕を回す。
 キースはジョミーの背中と腰に手を回し、ジョミーはキースの首にぶら下がる。
「僕らのどちらかが音を上げるまでしよう」
 二人の唇が触れた瞬間、キースがジョミーを抱いたまま振り返る。。
 今度は二人共が同時に撃っていた。
「トォニィ。ごめんね」
 シドと同じようにトォニィの身体にもオレンジの鎖が巻きついていた。
「クローンの二人。もう。止めにしよう。でなければ、この空間ごと吹き飛ばすよ」
「ジョミー…」
 トォニィがジョミーを見つめる。
 今のジョミーには彼らの記憶が無いはず…。
 僕らはジョミーが本気で戦うのが見たくて記憶を消す事を思いついた。
 戦うこと(タイプブルー)を封じた彼ではなく、まだ戦士だった頃の彼を見たかった。
 ソルジャーズ達もそう言った。
 だが、彼を本気で戦わせてはいけないんだ。
 それは、彼を悲しませる事になる。
 僕はそれを間近で見ていたはずなのに、どうしてこの計画に乗ってしまったのだろう…。
 後悔しても遅い。何とかしなくては、何かがが起きてしまう前に。
「ジョミー。止めて…」
 トォニィが叫んだ。
 ジョミーがオレンジ色に輝きだす。
「姿を見せてくれないか?でないとこの星ごと消すよ。出ておいで」
 突然、視界が開けて元の別荘近くの草原に皆がいた。
 ソルジャーズの二人の姿はなかった。

 晴れていた空は黒雲に覆われ、風が吹きすさんでいた。
 遠くで稲光が見える。
 竜巻も起こっているようだった。
「まさか、これをジョミーが?」
 トォニィが聞いた。
 まだ、ジョミーとキースは背中合わせのまま空中に浮いている。
「トォニィ。自然を操っている訳じゃないよ。僕のこの力は繋ぐ力、それを反転させているだけだ。この星のいろいろな繋ぎを切っていっているんだ。素粒子の部分に少し手を加えると、物質はバランスを崩す。星を壊すのは難しい事じゃない…」
「そんな事をしたら、ここに居る人間も死んでしまう。ジョミー。駄目だ」
「彼らは…尊い犠牲となるだろう…」
「ジョミー!」
 トォニィとシドの二人が同時に叫んだ。
「こんなのは駄目だ。ジョミー。どうして」
 シドが言う。
「キース。ジョミーをどうして止めないんだ」
「クローンの彼らが人類の脅威になるなら、排除しなければならない…」
「そんな。脅威になんてならない」
「トォニィ…。戦いは遊びじゃないんだ。僕のこの力はミュウの苦渋の中で作られ、僕に与えられた物だから、仲間の命を使っているような物、それを僕は簡単には使えないんだ。だけど…」
「わかっているけど…」
「彼らを止める」
「ジョミー」
 トォニィ達を捕らえていた鎖が解ける。
「!」
 ふいにどこからか飛んできた青い針のような物がキースの銃を弾き飛ばした。
「また人類を人質に使うなんて…そんな手には乗らない」
 どこかから声がした。
「人類全員を守るなんて、どこの誰が出来ると言うんだ?」
「ジョミーは僕らならそれが出来ると言った」
「キース!」
 青い針がキースを襲う。
 ガラスでは防ぎきれない針が降り注いぐ、ジョミーが彼の前に回り庇い覆いかぶさる。
 オレンジの円の中で倒れこむ二人。
 いつの間にかジョミーのその姿はさっきまでの人類の服ではなく、昔の赤いマントのソルジャー服になっていた。
 パラパラとジョミーの背中に当たった青い針が落ちる。
 立ち上がり、振り返った彼の手には青い剣が二本あった。
 一本を円の真ん中に突き立て、シールド保持に使い、もう一本を掴み自分のバリアの外に出るジョミー。
 キースを乗せたオレンジの球体は静かに地上へ降りた。
 空中ではジョミーを中心にして、オレンジの光の輪が何重にも重なって星全体へ広がっていった。
「出てこい。クローンのブルー」
 ジョミーのサイオンがオレンジからブルーに変化していた。




  続く






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