☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
<人物>
ジョミー ノア前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…
セドル 教育ステーション時代ミュウと偽りジョミーと会う
『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章十一話
「セドル」
「ベリアル」
「何故、裏切った。ミュウに付く方が得策だと思ったのか?」
「いいや。俺は、お前とジョミーの過去に何があったのかを聞いていなかった。あれは、アガレス、お前の父が原因じゃないか。それは、俺がお前を信じられなくなるのに十分なものだと思う」
「セドル。私の庇護なしにやってゆけると思っているのか?」
「憧れと妬みの対象だったキースと会えた時、あそこで俺は手を引くべきだったと今では後悔している。あの時、お前が言っていたジョミーと言う少女の姿を俺が見なければ良かったんだ」
「何を今さら言う」
「そう、今さらさ。世界を動かせるような者と対等になろうなんて、所詮、俺たちには無理だったんだ」
「何が、無理なんだ」
「まだ、あの噂を信じているのか?大体、あの噂を流したのは俺たちなのに?」
「実際、あいつを手に入れれば、世界を手に入れたも同然じゃないか」
「そうかい。わかったよ。俺はもう手を引かせてもらう。良いだろ?あの石だってもうお前の所にある。ジョミーだってお前に自分をくれてやるって言ったんだろ?」
「そうか、お前は、そこが気に入らないんだな」
「は?違う。そうじゃないぞ」
「例え、口頭でもあいつは私の物となると言った。そこか?」
「いや、違う。だが、あいつがお前の通りに動くのに俺はもう人質には使えないって事だろ。あいつは自分で考えてお前に従ってゆくなら、俺はもう邪魔でしかない」
「邪魔?」
「ああ、だから、俺は昔のこそこそと商売をしていた頃に戻るよ」
「それを許すと思うか?」
「なら、出てはいかない。このままお前の傘下の一つでいい。だが、もう俺をジョミーやキースの事に利用をしないでくれ。もう、その価値は無い」
『告白されても逃げるなよ』
そう言って、笑ったジョミーの顔が浮かぶ。
ジョミー。
俺とお前とは友になれるかもしれない。
いつか、そう十年か二十年後には笑って会えるだろう。
ジョミーの指揮の元改良された船は今回の出港から、「セイクリッド」の名を「テラ」と変えた。
長距離飛行が可能な船は、惑星ノアの大戦以前に軍事目的に造られた長いトンネルをゆっくりと進んでいた。
船体の『TERRA』の文字の横には人類軍が使っていた地球のモチーフ。その前に祈る女神の姿が描かれていた。
「12時間後にコスタです」
「了解」
球体の部屋の中心に立ち、ノアの地表に拡がる様々な情報を見ているジョミー。
ノアの地表すれすれを進む青い点、それがこの船。それを確認するように見てから、惑星ノアを小さくして後方へ送り、次はメサイアを出す。
僕は小さく赤茶けたこの星をミュウの第二の故郷にした。それを後悔していない。いつか、ノアに移り住めるような平等な世界が訪れると信じていたから…。
大戦時、時の流れが早いと感じた時があった。
ソルジャー・ブルーを失ってから、地球到達までがそうだった。
今は、恐ろしく遅い気がする。でも、クローンの彼らと出会ってからとそう変わらない。
十年という年月は人を成長させるのか、腐らせるのか、僕にはわからない。
僕は、信じている。
その瞬間、シュンと何かの意識が、通り過ぎた。
「…あ…」
ぐらりと視界が揺らぐ。
ジョミーがゆっくりと球体の部屋の通路に崩れ落ちた。
「ジョミー?」
その様子をモニターで見ていたヴィーは、艦橋を飛出し、ジョミーの部屋へと走った。
「ヴィー」
艦橋から、ジョミーへと通信が入る。
頭を押さえて通路に座っているジョミーの横のヴィーが代わりにそれを受ける。
「……」
通信を見て、絶句してしまったヴィーをジョミーが見上げる。
「ヴィー。セドルか?」
「はい。彼の船がクレスタ上空で消息を絶ったと…」
「そうか…ベリアルには釘を刺しておくべきだったな…」
その言葉を聞いてヴィーが声を上げた。
「なんで、なんでなんです。どうして、彼はミュウでもないのに、どうしてそこまで衝撃を受けてしまうんです」
「ヴィー。君は僕をどう思っているんだ。友人の死を嘆くのをダメだというのかい」
「誤魔化さないでください…」
「わかっているよ。僕がキースという人間のおもちゃを失ったから、セドルを代わりにしようとしたと…」
「ジョミー。動転してるんですか?」
「……」
「まだ死んだときまっていません」
「ヴィー」
「ジョミーの勘も外れるって事ですね。起きて下さい。クレスタのミュウに調べさせましょう」
ヴィーはパネルを引き寄せ、指示を出した。
その様子をジョミーはじっと見ていた。
「ヴィー」
「?」
「来てくれてありがとう」
「倒れてるのを見て放置は出来ないですよ」
「君は僕の事を嫌っているのにね」
「嫌ってないですよ。そりゃあ、キースをお互いに取り合いはしましたが、俺はもう諦めてましたから」
「……」
「ニュクスで、裏切りましたから、キースがミュウの部隊を捨てた時に俺も彼を捨てました」
「そうか…」
「あなたはミュウの部隊を救って。キースも救った。そういう事ですよね。だから、僕らはここへ来たのです。セルジュに言われただけではありません。ただ、さっきみたいにキースを、おもちゃと言って自分を貶めるような発言はしないで頂きたい」
「わかった」
「でも、セドルに気を持っていかれ過ぎていませんか?」
「かもしれない」
「逃げ込む場所は、一つで良いんですよ」
「逃げ場所か…。ヴィー、僕は彼にとってそういう場所になれていたのだろうか…」
「さあ、本人に尋ねてみてください」
「……」
「不安ですか?」
「ニュクス事件の原因は僕の気がするんだ」
「だとしても、このままにはしておけませんよ」
「厳しいな…」
と、ジョミーは笑った。
「恋敵にそんな事のろけばかり聞かされるなんて、僕は大層不幸ですよ」
「ごめん」
「そこで、謝らないでください。のろけだったんですか?」
「ははは、ごめん」
「ジョミー。大丈夫。何が起ころうとも、きっと、大丈夫です。もう思う通りに生きて良いんですよ」
「ああ、そうだね」
『思う通りに生きてみろ』
それはキースが僕に良く言った言葉だ。
思う通りに進んだ結果が、今のこの会えない状態。
それでも、進むと僕は決心をした。
キース。
きっと、また、僕らは再び…。
「船跡の照合結果は?」
「この赤いのが有力ですね」
「……」
球体の部屋で情報を見合わせていたジョミーが艦橋へ指示を出す。
「進路、西の91ー146」
「ラジャー」
ヴィーが答えた。
「コスタ到着後、西へ向かう」
やがて、船はコスタに着いた。大気圏外に出ると同時にワープした。
光の残像だけが尾を引いていた。
こうして、ジョミーは惑星ノアを後にした。
続く
※今回、沢山の誤字、脱字、間違いがあって、読みにくかったと思います。
自分、疲れて(憑かれて)るんか?と、、思いました。アーメン><;
<用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
<人物>
ジョミー ノア前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…
セドル 教育ステーション時代ミュウと偽りジョミーと会う
『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章十一話
「セドル」
「ベリアル」
「何故、裏切った。ミュウに付く方が得策だと思ったのか?」
「いいや。俺は、お前とジョミーの過去に何があったのかを聞いていなかった。あれは、アガレス、お前の父が原因じゃないか。それは、俺がお前を信じられなくなるのに十分なものだと思う」
「セドル。私の庇護なしにやってゆけると思っているのか?」
「憧れと妬みの対象だったキースと会えた時、あそこで俺は手を引くべきだったと今では後悔している。あの時、お前が言っていたジョミーと言う少女の姿を俺が見なければ良かったんだ」
「何を今さら言う」
「そう、今さらさ。世界を動かせるような者と対等になろうなんて、所詮、俺たちには無理だったんだ」
「何が、無理なんだ」
「まだ、あの噂を信じているのか?大体、あの噂を流したのは俺たちなのに?」
「実際、あいつを手に入れれば、世界を手に入れたも同然じゃないか」
「そうかい。わかったよ。俺はもう手を引かせてもらう。良いだろ?あの石だってもうお前の所にある。ジョミーだってお前に自分をくれてやるって言ったんだろ?」
「そうか、お前は、そこが気に入らないんだな」
「は?違う。そうじゃないぞ」
「例え、口頭でもあいつは私の物となると言った。そこか?」
「いや、違う。だが、あいつがお前の通りに動くのに俺はもう人質には使えないって事だろ。あいつは自分で考えてお前に従ってゆくなら、俺はもう邪魔でしかない」
「邪魔?」
「ああ、だから、俺は昔のこそこそと商売をしていた頃に戻るよ」
「それを許すと思うか?」
「なら、出てはいかない。このままお前の傘下の一つでいい。だが、もう俺をジョミーやキースの事に利用をしないでくれ。もう、その価値は無い」
『告白されても逃げるなよ』
そう言って、笑ったジョミーの顔が浮かぶ。
ジョミー。
俺とお前とは友になれるかもしれない。
いつか、そう十年か二十年後には笑って会えるだろう。
ジョミーの指揮の元改良された船は今回の出港から、「セイクリッド」の名を「テラ」と変えた。
長距離飛行が可能な船は、惑星ノアの大戦以前に軍事目的に造られた長いトンネルをゆっくりと進んでいた。
船体の『TERRA』の文字の横には人類軍が使っていた地球のモチーフ。その前に祈る女神の姿が描かれていた。
「12時間後にコスタです」
「了解」
球体の部屋の中心に立ち、ノアの地表に拡がる様々な情報を見ているジョミー。
ノアの地表すれすれを進む青い点、それがこの船。それを確認するように見てから、惑星ノアを小さくして後方へ送り、次はメサイアを出す。
僕は小さく赤茶けたこの星をミュウの第二の故郷にした。それを後悔していない。いつか、ノアに移り住めるような平等な世界が訪れると信じていたから…。
大戦時、時の流れが早いと感じた時があった。
ソルジャー・ブルーを失ってから、地球到達までがそうだった。
今は、恐ろしく遅い気がする。でも、クローンの彼らと出会ってからとそう変わらない。
十年という年月は人を成長させるのか、腐らせるのか、僕にはわからない。
僕は、信じている。
その瞬間、シュンと何かの意識が、通り過ぎた。
「…あ…」
ぐらりと視界が揺らぐ。
ジョミーがゆっくりと球体の部屋の通路に崩れ落ちた。
「ジョミー?」
その様子をモニターで見ていたヴィーは、艦橋を飛出し、ジョミーの部屋へと走った。
「ヴィー」
艦橋から、ジョミーへと通信が入る。
頭を押さえて通路に座っているジョミーの横のヴィーが代わりにそれを受ける。
「……」
通信を見て、絶句してしまったヴィーをジョミーが見上げる。
「ヴィー。セドルか?」
「はい。彼の船がクレスタ上空で消息を絶ったと…」
「そうか…ベリアルには釘を刺しておくべきだったな…」
その言葉を聞いてヴィーが声を上げた。
「なんで、なんでなんです。どうして、彼はミュウでもないのに、どうしてそこまで衝撃を受けてしまうんです」
「ヴィー。君は僕をどう思っているんだ。友人の死を嘆くのをダメだというのかい」
「誤魔化さないでください…」
「わかっているよ。僕がキースという人間のおもちゃを失ったから、セドルを代わりにしようとしたと…」
「ジョミー。動転してるんですか?」
「……」
「まだ死んだときまっていません」
「ヴィー」
「ジョミーの勘も外れるって事ですね。起きて下さい。クレスタのミュウに調べさせましょう」
ヴィーはパネルを引き寄せ、指示を出した。
その様子をジョミーはじっと見ていた。
「ヴィー」
「?」
「来てくれてありがとう」
「倒れてるのを見て放置は出来ないですよ」
「君は僕の事を嫌っているのにね」
「嫌ってないですよ。そりゃあ、キースをお互いに取り合いはしましたが、俺はもう諦めてましたから」
「……」
「ニュクスで、裏切りましたから、キースがミュウの部隊を捨てた時に俺も彼を捨てました」
「そうか…」
「あなたはミュウの部隊を救って。キースも救った。そういう事ですよね。だから、僕らはここへ来たのです。セルジュに言われただけではありません。ただ、さっきみたいにキースを、おもちゃと言って自分を貶めるような発言はしないで頂きたい」
「わかった」
「でも、セドルに気を持っていかれ過ぎていませんか?」
「かもしれない」
「逃げ込む場所は、一つで良いんですよ」
「逃げ場所か…。ヴィー、僕は彼にとってそういう場所になれていたのだろうか…」
「さあ、本人に尋ねてみてください」
「……」
「不安ですか?」
「ニュクス事件の原因は僕の気がするんだ」
「だとしても、このままにはしておけませんよ」
「厳しいな…」
と、ジョミーは笑った。
「恋敵にそんな事のろけばかり聞かされるなんて、僕は大層不幸ですよ」
「ごめん」
「そこで、謝らないでください。のろけだったんですか?」
「ははは、ごめん」
「ジョミー。大丈夫。何が起ころうとも、きっと、大丈夫です。もう思う通りに生きて良いんですよ」
「ああ、そうだね」
『思う通りに生きてみろ』
それはキースが僕に良く言った言葉だ。
思う通りに進んだ結果が、今のこの会えない状態。
それでも、進むと僕は決心をした。
キース。
きっと、また、僕らは再び…。
「船跡の照合結果は?」
「この赤いのが有力ですね」
「……」
球体の部屋で情報を見合わせていたジョミーが艦橋へ指示を出す。
「進路、西の91ー146」
「ラジャー」
ヴィーが答えた。
「コスタ到着後、西へ向かう」
やがて、船はコスタに着いた。大気圏外に出ると同時にワープした。
光の残像だけが尾を引いていた。
こうして、ジョミーは惑星ノアを後にした。
続く
※今回、沢山の誤字、脱字、間違いがあって、読みにくかったと思います。
自分、疲れて(憑かれて)るんか?と、、思いました。アーメン><;
もしもあそこでキースとジョミーが生き残り、その後を生きたらっていうのはとても興味深い内容です。
所でずっと読みながら気になってたのですが、なぜ地球の最後の決戦の地の名前を「ユグドラシル」でなく「イグドラシル」と表記しているのでしょうか?
神話的に見てならどちらでもいいんですが、建物としての名前は公式に「ユグドラシル」なので気になりました。
何か理由があるのかなと思いながら読み進めたのですが、特に何も書かれていない様なので気になりました。
些細な疑問を投げて、申し訳ありません。
コメントをありがとうございます。真城灯火です。
この半端に長いものを最新まで読んできて下さったとの事。本当に嬉しいです。^^
お疲れさまでした。
誤字脱字・矛盾など満載だったのではないでしょうか?
すみません><。
私は、リメイクされると決まって(噂では)ラストで、二人は殺さないのでは?と聞き、それを願っていた者です。
「イグドラシル」の表記違いは、深い意味は全くありません。別称という事で、自分の聞き覚えのある慣れている方にしただけです。
なので、星や戦艦名、人名とかもあまり深い意味はありません。
この後、新しい名前が出てきますが、それも読みの音で決めたものもあるので、そんなゆるい感じです^^;
先月から長く止まってしまっていてごめんなさい。
次回は話が動きます。期待にそえるものが書けていると良いのですが…、これからもどうぞよろしくお願いします。
また何かあれば、どしどし言ってきて下さい。
お待ちしています。^^
真城灯火