goo blog サービス終了のお知らせ 

きっと、いいことあるよね!

母(sake)と息子(keke)の日々の記録。
お出かけ写真と料理など。

借りっ放しのダンボール二つ

2005-01-20 | その前の会社
昨日の昼休みのこと、ある人が現れた。
「これ、借りっ放しだったので返しにきたんですよ。」と小さなダンボール二つ持って来た。
呆然とダンボールを受けとる私。

「ずっとこれが気になってましてね・・それでは、皆さんによろしくお伝えください。」と言う声で、ハッ!と気が付き、「ちょっと待ってください!」と食事をしている営業Aさんを呼びに行った。
「Aさん、ちょっとちょっとこっちに・・」

その人とは、ある日突然居なくなってしまったと或る会社の社長さんであった。資金繰りが苦しい事は薄々感じていた。ある日突然消えてしまったと言う噂を聞いた。事務所の机も何もかもそのままだったと聞いた。その数ヶ月前はうちの会社と取引をしていた。仕事は終わっていたし金も払い終えていた。ギョッとはしたが、それ以上深く考える事はなかった。

Aさんも言葉を選んで「今はどうしているんですか?」とさりげなく尋ねた。
「田舎でほそぼそとやってます。海が近くてね、いい所です。」
「こちらにも時々は来るんですか?」
「えぇ、月に一度くらい通院がありまして・・その度にいつも寄ろうと思っていたんですよ。」

    ******************************

私と営業Aさんはその後で話した。
「あれって、1年くらい前だったっけ・・?」
「いや、もっとずっと前じゃなかったっけ?」
「・・今、静かに暮らしているんだね。」
「何もかも片付いて、落ち着いたんだろうな・・・。」

でも、なぜこんな小さなダンボールを、今、なのだろう。
返すだけだったら、宅配でも何でも。
それに返すような種類のものでもなかったのだ。
ずっと引越しの間もこの小さなダンボールは一緒について回っていて、この町を思い出させていたのだろうか。

何もかも終わった後の静かな海。
春夏秋冬のいずれでもない、ずっと動かない海。
二度と波立つ事がない海をぼんやり眺めて・・・。
いつか私にもそんな日が来るのかな。

樹木キリンさんが乳ガンと判って「もう親も死んでしまったし、娘も嫁いでいった、このまま死んでもいいかなと思って、3ヶ月放っておいた」と言う話。「親が居なかったら」「子供が新しい家庭を築いたら」私ももうこの世に留まっている理由は無いんだな~と心のどこかで思ってる。
その時、たぶん見える。
ずっと動かない海が。

樹木キリンさんは、何故急に手術する気になったのかしら。ワイドショーも途中までしか観れなかった。

※養育費は入りました。皆さんの励ましありがとうございました。