斉藤うめ子ブログ

新しいニセコの街づくりにとりくみます

ドキュメンタリー映画「東京裁判」を見て

2019-08-13 00:07:23 | 哲学

8月11日(日)午後1時~6時まで休憩を挟んで5時間の上映でした。
札幌の映画館で1回のみの上映、前売り券350枚は完売し会場は観客で
埋まりました。映画館の中はいくらかでも戦争体験のある高齢者がほとんど
という印象がしました。「戦争を知らない世代」の人たちは一体どこに
行ってしまったのか?この人たちこそが見るべきではないのか。

このドキュメンタリー映画は1904年の日露戦争から敗戦までの日本の戦争
の歴史を検証する上で日本人全てに見て欲しい、見るべき映画と思います。
特に日本の未来を担う世代の人たちにこそ見て欲しいと思いました。
もちろんこの映画が歴史の全てではないにしても最も重要な日本の戦争の
史実が語られているからです。「戦争」はどうして起こるのか。

この映画を見て、何故か数年前に見た映画「ハンナ・ア―レント」を思い出し
根本にその思想と繋がっていると感じました。
ハンナ・アーレントはドイツのユダヤ人として生まれ、ハイデッガー、ヤス
パースに師事し、第二次大戦中にナチスから逃れてアメリカに移住した政治
哲学者です。
ハンナ・アーレントの「悪の陳腐さ」とは、第二次大戦中にホロコーストで
数百万人のユダヤ人殺害を指揮したナチス戦犯のアイヒマンの凡庸さに衝撃を
受け、アイヒマンは自ら役職を忠実に果たしたに過ぎない小役人だと表現し、
アイヒマンを「完全な無思想性」によって最大の犯罪者となったと指摘しています。
人間は「思考停止に陥った時、いとも簡単に残虐な行為を行う」ものであると。
世界最大の悪はごく平凡な人間が行う悪であり、そんな人には動機もなく、信念も
邪心も悪魔的な意図もない。人間であることを拒絶した者である。ナチスに加担
したすべての人々は、“日々の生活のために職務を果たしただけであって、自分
には責任がない”、目の前の業務さえ行えばいいという部品と化した人間の姿であり、
他者の立場から物事を考えられない完全な思考停止であり、責任を感じることが
できない人間の尊厳の欠如であると。

ぜひこのドキュメンタリー映画を見て「戦争」とは何か、そしてその原因である
「思考停止」とは何か。実は今も日々日常の中で私たちの周りで起こっていると
いうことに私たちは気付くことができるのか。

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