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「住民と自治 埼玉版」のお詫びと訂正と、格差と貧困(K)

2012-10-18 | 事務局のつぶやき・研究所では
 16日、「住民と自治」11月号を発送しました。
 附録「住民と自治 埼玉版」に一部誤りがありましたので、お詫びと訂正をいたします。
 阿部彩氏の講演を抜粋した図の国名の翻訳に誤りがありました。傍線部のスロバキアが正しく、誤りはスロベニアです。読み取り違いでした。


貧困、格差
 先日、貧困率の記事がインターネットで載っていました。貧困・格差を埼玉版で載せたこともあり、そこから少し調べました。

国民生活基礎調査(厚労省)からわかること

 平成23年は、簡易な調査の実施年
 平成22年は「第9回目の大規模調査の実施年」でした。貧困率の記載は、H23年分にはなく、H22年が最新の発表となっています。

日本の貧困率…H22年分の発表より

 平成21年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は 112万円(実質値)となっており、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は 16.0%となっている。また、「子どもの貧困率」(17歳以下)は 15.7%となっている。
 「子どもがいる現役世帯」(世帯主が18歳以上65歳未満で子どもがいる世帯)の世帯員についてみると、14.6%となっており、そのうち「大人が一人」の世帯員では 50.8%、「大人が二人以上」の世帯員では 12.7%となっている。
 一方、「大人が一人の世帯員」は、等価可処分所得金額が30万円台から160万円台までに集中した分布となっている。貧困ライン前後にいる世帯員が圧倒的に多い。


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母子家庭 有業者であっても貧困率が高い
 子供のいる現役(有業)世帯でありながら、大人一人の家庭では、なぜ、貧困率が高いのか。男女共同参画白書(H22年度版)では、次のように書かれていたので、紹介します。

 母子家庭であるひとり親世帯の貧困率をみると,有業者であっても貧困率が高いという日本特有の状況がある(第1-5-4図)。
 この背景には,育児等との両立等の理由により,選べる職種が臨時・パート等非正規雇用が多くなりがちであることが影響していると考えられ,母子家庭の就労率は85%と高いにもかかわらず,約7割が年間就労収入200万円未満という状況がある(平成17年)。母子世帯では子育てを一人で担うという責任と経済的な困難に陥いるリスクの双方に直面していると考えられる。


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 昨日、NHKのクローズアップ現代で、「女性が日本を救う?」を1時間15分放送した。女性が働くことで、少子化の労働力不足を補い、救う、という趣旨をIMFトップのラガルド専務理事が提案したことを紹介した。しかし、日本では女性が労働する環境が整っていない、賃金も低いことを国谷キャスターが言っていた。そして、オランダの同一労働同一賃金を導入したうえでの、パートタイムの例を成功例として紹介していた。
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再び、国民生活基礎調査(H22年)

相対性貧困率における「等価可処分所得」と「世帯人員1人当たりの平均所得」

 相対的貧困率を求めるにあたって「等価可処分所得」を用いているが、等価可処分所得とは世帯の所得を世帯人員の平方根で割ったもの。

「『国民生活基礎調査』を読む」(第二特別調査室小林仁)(参議院調査室作成資料「立法と調査」323号(平成23年12月1日))では次のように説明している。

 「等価可処分所得」とは、世帯ごとに異なる世帯員数の差を調整するため、「世帯所得」を世帯員数の平方根で割ったもので、「等価世帯(可処分)所得」ともいう。「世帯所得」を世帯員数の平方根で割るとは、仮に「世帯所得」を400万円とした場合、世帯員数が2人のときは400万円÷√2≒283万円、世帯員数が3人のときは400万円÷√3≒231万円、世帯員数が4人のときは400万円÷√4=200万円をその世帯に属する世帯員1人ひとりの所得とみなすということである。
 人数で割るのではなく、平方根で割るのは世帯の消費に規模の経済が働くことを考慮している。どのような調整方法がいいのかもずいぶん研究されたが、この単純な方法でもうまく近似できていると考えられるようになり、簡便さが評価されたという実務上の理由でこの方法が定着した(岩本康志のブログ2009/10/21)。・・・
 また、全サンプルの中央値(人数ベース)に当たる「等価可処分所得」の50%水準を、いわゆる「貧困線」とすることについて、EUは50%ではなく60%を用いている。また、英国では50%から60%に引き上げられた。

 これに対し、我が国の格差指標は世帯単位で算出されることが多い。世帯単位の統計数値に依拠しているため、日本の所得格差の拡大についても、その大部分は高齢化(比較的低所得層の多い「高齢者の単独世帯」もしくは「高齢者のみの世帯」の増加)による「見せかけ」のものとの指摘があった(大竹文雄著『日本の不平等』(日本経済新聞社2005)。

 と紹介している。日本の格差指標の世帯単位の統計は、貧困の実態としては不十分と言える。

*我が家は貧困か? 計算してみる。

 相対的貧困率では中央値が年間の可処分所得が224万円、貧困ラインが112万円、EU並みの60%が貧困ラインとすると、134.4万円である。

3人家族で月収30万円、ボーナス年間4カ月を仮定
 名目の年収は480万円、税・社会保障費を除く可処分所得を約8割(総務省家計調査年報2011年では、約82%)とすると、384万円となる。
 これを、個人単位の等価可処分所得を算出すると、222万円になる。中央値より少し下という結果である。

貧困ラインの暮らし
 50%貧困ライン、60%貧困ラインで3人世帯の所得を試算すると、税・社会保障費控除前の名目の年収は、それぞれ242.2万円、288.5万円。50%では月平均にすると20万円、3人世帯でこの収入では、生活保護以下で暮らせない。これが、日本の貧困ラインで16%もいる。

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