ようこそ埼玉自治体問題研究所へ!

埼玉県での地域やまちづくりに役立ててください。
いろいろな情報を発信しています。

松本市視察報告 (M)

2012-04-27 | 企画・行事
そこに住む住民を大切にしている議会改革と町づくりをみてきました

 4月23・24日、人口23万の北アルプス連邦や美ケ原高原など雄大な自然に恵まれ、城下町として発展してきた長野県松本市を視察しました。
 どのような議会改革に取り組んでいるのか、議会運営委員会より運営委員長・副委員長・事務局次長の説明と質疑など2時間を超える懇談ができました。参加者11名はそれぞれ議会改革には大きな関心のある方たちばかりで、熱心な質問を次々と投げかけ、時間が来てもまだ聞き足りないといった雰囲気で終了しました。

                         

 地方分権社会における市議会の役割を、実行をもって身近な議会・行動する議会へと改革していこうとする姿勢は、検討委員会を設置して以来まだ5年、議会条例を制定し、模索しながらまた課題も見えてくるけれども、一歩一歩あゆんでいる姿が見えてうらやましい。

                  
            

 経過
 19年8月   ・・・ 議会改革の検討のため松本市ステップアップ検討委員会を設置
             21年4月30日までの機関に月2回で計41回の委員会を開催、
 20年1~12月・・・ 条例制定に向けて先進地の視察や、各種セミナーに参加
 21年1~2月 ・・・ 執行機関側から意見聴取、市民意見を募集、議員協議会で協議
      3月 ・・・ 全会一致で可決

何よりも素晴らしいのは
 検討委員会は自由公開で、傍聴者には資料を貸与し、会議結果や会議資料、会議録はすべてホームページで見られることだ。この姿勢があらゆることに徹底していることが、市民を市政から排除しようとする首長も多々みられる中、市民自らが市政に参加できる、その結果住民のための町づくりが進んでいることにつながっていると思われる。 
 議会では、議員間の自由討論ができる場を保証する(市議会政策討論会など)。反問権を保証する。各地域ごとに議会報告会を行う(夜も含む)。 各委員会審査状況を、地元ケーブルテレビ(10万所帯中6割が受信)で放送するなど、あるべき議会の姿が見えてくる。そして極めつけは、委員会審査時に、請願・陳情者本人に説明の機会を提供するというもの。なんとも飛び上るほど画期的で喜ばしい内容ではないか!! 
 これらのことが、順調に推進され捗ることを願うばかり、そしてわが市にもそんな可能性が見えてきたらうれしいものである。 
                          

町作りでは
 住民たちが代々、豊かでダイナミックな山並みの自然環境や、400年の歴史を誇る城下町を大切に思ってきたこと、そして幸いなことに明治から昭和を通して戦火や大災害にあわなかったことが、近代化・高層化に規制をかけ、景観を大事にする町作りにつながった。
 私たちが訪れた町並みは(区によって異なる整備事業を行っている)、昔からの家並みと蔵造りの新しい家々(補助事業)が混在し、側溝の水は山からの透明な水が流れて来る。あちこちには湧水の井戸がある。何とも懐かしくさわやかな風情で迎えてくれた。
                                
                
                                    

 そのうえ何とも温かい気分にさせてくれたのは、大きい道路は別として、住宅街の道路は、「思いやりのみちづくり事業計画」に基づいた歩車共存道路整備が行われている。道路上には歩道と車道を区別する白い線がひかれているが、だからと言って歩行者がその線を越えて車道にはみ出ても文句を言う車はいない。むしろ車がどれも歩行者に気を使ってゆるゆると走っている。歩行者が道路を横断するそぶりを見せれば、停止線もないのに、ピタッと止まる。歩行者が渡り終わるまで急かせたりせずに止まっている。それに小さい道路の交差点は角を広めにしてあり、あまり信号がないことにも驚く。
                              
      
 区別をしたり規制をすることで、車は車の顔になり歩行者は車の威力に縮こまってしまうけれど、「歩車共存だよ」ということになると車が歩道を行く感じがして、人の顔になるのかもしれない。そしてもうひとつ道路を歩き良くしているのは、一方通行が多く2車線にしていないことと、電柱が邪魔をしていないからなのだ(電線類の地中化による事業計画を行っている区では)。本当に安心安全のまちづくりが着々と進んでいる気がする。