小春奈日和

赤ちゃんは、人間は、どのように言葉を獲得するの?
わが家の3女春奈と言葉の成長日記です。

353 シタテルヒメと太陽(前編)

2015年01月19日 01時15分42秒 | 大国主の誕生
大国主の誕生353 ―シタテルヒメと太陽―


 アメノワカヒコの穀物霊、あるいは農耕に関わる神であり、アヂシキタカヒコネも
これに関わるとすれば、シタテルヒメはどうなるのでしょうか。

 アヂシキタカヒコネが農耕に欠かすことのできない雨を呼び込む雷神の性格を持つ
神であれば、アヂシキタカヒコネの妹であり、アメノワカヒコの妻となったシタテル
ヒメも何らかの形で農耕に関わる性格を持つと見てよいでしょう。
 それならば、その名の下照比売から想像されるのは太陽です。
 雨と同じように太陽も農耕に不可欠なものだからです。

 下照は天照大御神に対応する、とする説があります。下照と天照はともに太陽神で
あるとする考え方です。
 また、「天照」大御神は天上の太陽神で、「下照」比売は地上の太陽神とする説も
あります。

 しかし、そのように単純な構図でとらえてよいものなのでしょうか?疑問が生まれる
のです。
 そもそも、これまでに見てきたように、天照大御神の原像は、太陽に仕える巫女で
あり妻であると考えられます。
 ならばシタテルヒメも太陽そのものではなく、太陽に仕える巫女にして妻である、と
考えるべきなのです。
 全国に天照神(アマテル神)を祀る神社が存在しますが、ここでいう天照神は天照
大御神ではなく、古い太陽神で、しかも男性神です。
 それに、『先代旧辞本紀』では、天火明命(アメノホアカリノミコト)を天照國照彦
天火明櫛玉饒速日尊(アマテルクニテルヒコアマノホアカリクシタマニギハヤヒノミコト)
とし、「天照」と「国照」を冠している神名になっています。
 これは、「天照」と「国照」が本来は別物で、ホアカリがこの両方を掌る神である、
と解釈されるのです。
 そして、この「国照」と「下照」は同義のものと考えられるわけです。

 天照國照彦天火明櫛玉饒速日尊という名は天火明命と、物部氏らの祖、饒速日尊(ニギ
ハヤヒノミコト)を合体させたものですが、『古事記』や『日本書紀』が載せる伝承では、
ニギハヤヒは天磐船に乗って、大和の哮峯(いかるがたけ)に降臨した、といいます。
 このニギハヤヒを祀るのが東大阪市井石切町の石切剣箭神社で、つまりは河内の日下
なのです。

 『続歌林良材集』が『摂津国風土記』に記されている、として載せるアメノワカヒコ伝承
では、アメノワカヒコは天磐船に乗って難波の高津に降臨した、といいます。
 これは明らかにニギハヤヒの伝承と同じものなのですが、『古事記』と『日本書紀』が共通
して伝えるところでは、大和に降り立ったニギハヤヒは、との土地の首長であるトミビコの
妹を妻に迎え、出雲に降り立ったアメノワカヒコは大国主の娘を妻に迎えているのです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿