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どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム188 『奔放なユキヤナギ』

2018-03-17 01:53:55 | ポエム

 

     ユキヤナギ

    (城跡ほっつき歩記)より

 

 

 

  ユキヤナギを見ると

  こころが乱れるのはなぜだろう

  公園のサクラと競い

  抑えきれない感情を露わにするからだろうか

 

  サクラを求めて人が来る前は

  こんなに奔放だったろうか

  もっともっと寒い季節には

  モヘアのショールをして慎ましげだったのに

 

  風も吹いていないのに枝先がゆれる

  わたしを見てよと鼻にかかった声がする

  ワンレーンの髪型にしたり

  両手で持ち上げてクシャクシャにしてみたり

 

  お金もぜい肉も持たないカップルが

  サクラの枝に手を伸ばして写真を撮り合ったり

  新婚ほやほやの夫婦が子連れで現れたりすると

  ユキヤナギの花は嫉妬で朱く染まるのだ

 

  西日が公園の向こうに落ちて

  サクラ見物の客が姿を消すと

  ユキヤナギのこころも穏やかになる

  昼間の千千に乱れた激情が嘘のように

 

  春とはいえど夜の温度は急激に下がる

  夜がユキヤナギを落ち着かせるのだろうか

  だけどうっかり目を離してはいけないよ

  奔放な血はいつ動き出すかしれないからね

 

  公園に行くとひとは皆ささやかな作家になる

  いまも一人の男がベンチに座って

  お金はないがぜい肉いっぱいの腹をさすりながら

  ユキヤナギを主役に物語を書きかけているよ

  

  

  

 

 

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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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春の饗宴 (塚越和夫)
2018-03-18 20:12:54
こんばんは。

画像は1年ほど前の4月初めに国営武蔵森林公園(埼玉県)で撮影したものです。
その光景は顔を見上げればハラハラとサクラ吹雪が舞い、下を見れば雪柳が淡雪の化粧を装い、丘陵辺縁には菜の花が春風に花序を踊らせるという絶好の日和でした。

この日は週明けの月曜日でしたので、折からソメイヨシノが満開であったにもかかわらず、同地を訪れる来園者はごく僅かで、お陰様でのんびりと春の訪れを満喫することができました ^^
この時は他の野草類を含めて約40種ほど合わせて500枚以上は撮影しましたが、なかでもこの時の薄桃色(桜)、純白(雪柳)、黄色(菜の花)の饗宴が鮮やかに記憶に留めおかれた特別な一日でもありました。

昨年もソメイヨシノの開花そのものは例年よりも早かったのですが、開花後に低温の日々が長く続いたために花を愛でる期間も3週間近くと長期間にわたりました。
今年の開花も早い方ですが、残念ながら寒暖の差が激しい分早くも今月末頃には見頃を過ぎてしまうのかも知れませんね。

今回も拙画像のご利用、ご紹介どうもありがとうございます。
返信する
菜の花も加わって (tadaox)
2018-03-18 23:25:26
(塚越和夫)様、いつも心躍る画像をありがとうございます。
サクラにユキヤナギの共演かと思っていたら、菜の花まで咲いていたんですね。

花々がいっせいに競い合うものだから、こちらはソワソワしてしまいます。
今年も花粉症に悩まされていますが、どの植物も必死なのだからスギヤヒノキだけを目の敵にするわけにはいきませんね。
返信する
寂しさの白の記憶 (知恵熱おやじ)
2018-03-24 01:16:17
雪柳は10年近く前から、私にとっては寂しさの記憶を呼び起こす花になりました。

10年前だったか11年前だったかもう記憶が朧になりましたが、その数日前から私は取材で大阪周辺を動き回っていてその日ぽっかり時間が空いたため桜満開の大阪城公園に行ったのです。

桜は十分に楽しませてくれましたが、城を取り囲む石垣を回り込んだ時深い日陰になっているそこに白い雪柳の花の群落を見たのです。

石垣の谷底みたいなひんやりとした薄暗いそこに咲くその花に注目する人はなく、みんなつぎの桜を求めて足早に通り過ぎていきます。

しかしなぜか私は人が見向きもしない日陰の雪柳の低い群落に惹かれました。気がついたらしゃがみ込んでその白い花に向けてシャッターを切り続けていました。

どのくらい経ったのか、携帯電話の着信音で我に返りました。

昨夜わが社の○○が亡くなりました―社員数人の小さな広告会社の社長が死んだという知らせでした。2年前からがんと共存しながら仕事をし仲間とはカラオケなどにも行って頑張っていたのですが、ついにその時が来たのです。

私も彼とはラジオの仕事や講演であちこち行ったり、ある歌手の発掘に関わったり、時には意見がぶつかって言い合いになったり、いろいろ教えられることも多かった仲でした。

しかし関西での仕事はまだ数日続く予定で、彼の葬儀に出ることはできませんでした。
間もなく彼の会社は解散されました。彼個人の個性と人脈で成り立っていた会社だったのです。

昨日留守電に当時最も彼の身近で会社を支えていた女性からの声が入っていて、久しぶりに電話を返して話すことができました。
あの春、彼が亡くなったことを電話で知らせてくれた人です。
姉の家の猫の世話をしながら暮らしている、と不思議な話をしていました。

その話を聞きながら、私の脳裏にはあの日大阪城公園の石垣の陰一面に咲いていた雪柳の白い花が浮かんでいたのです。
あまり振り返られないのに豪勢に咲いている白い花・・・・
咲く場所が悪かったのか、石垣の陰ではなく、満開の桜の下ならもっとみんなに注目して愛でられたのか

あの日撮った雪柳の写真はかなりの量だったのですが、その後ほとんど見ることがありません。やはり寂しすぎるのです。


返信する
思い出を映す花 (tadaox)
2018-03-24 19:24:14
(知恵熱おやじ)様、雪柳にまつわる気の合った友人のお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
ある歌手の発掘・・とは、ぼくも知っているあの女性歌手のことですか。

ぎりぎり生きて、仕事して、みんなに良い思い出を残して亡くなられたのですね。
見ず知らずのぼくにも温もりが伝わってきて、身近にいた方には余計に寂しさを感じさせる存在だったのでしょう。

今回、情緒をこめずにユキヤナギと表記して別の側面を強調しましたが、あの白さにはやはり寂しさが潜んでいますね。
ぼくには投影すべき思い出がなかったもので、しみじみと聞き入った次第です。
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あの女性歌手 (知恵熱おやじ)
2018-03-26 05:09:10
そうです。あの女性歌手発掘の端緒になったTさんです。

彼は当時は小さな広告代理店を経営していましたが、元々は東海地方の放送局に勤めていた人です。歌にも詳しかったのです。

当時窪庭さんも一緒に彼らとよくカラオケに行きましたね。

みんな年でいろいろ変わりました。何もかにも恐ろしいような速さで遠い思い出に変わっていきますね。
返信する
どうりで・・・・・ (tadaox)
2018-03-28 15:31:33
(知恵熱おやじ)様、お知らせ頂きありがとうございました。
あの方は以前放送局にいらっしやたんですか。
どうりで紳士的で、他人の話を聞くタイプでした。

しかし闘病中であることなどおくびにも出さず、よく付き合ってくださいましたね。
いま思えば、あの女性歌手の心にひびく歌を、特別の思いで聞いていたのかもしません。
ありふれた人生を振り返ると、長く記憶に残る一コマになりそうです。
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