どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

自薦ポエム⑱ 『志乃とアメジストセージ』

2020-07-13 00:05:55 | ポエム

地中から掘り出された紫水晶を

志乃さんは欲しくありませんか

そう 磨かれたアメジストのことです

世界一の産地から運ばれた 真実の愛の象徴を・・・・

 

ぼくのふる里は雪の下 弱いひかりに導かれて

外につながっているのです

兄も姉も自分の運命に戦き 自らひかりを断ちました

そのような血筋のぼくを よくぞ選んでくれました

 

志乃は あなたの愛に命を捧げました

雪の祠に籠る 青いひかりが祝福の印です

早朝に目覚めると 志乃の傍にはあなたがいる

シャンシャンと通りすぎる馬橇の音が あなたの鼓動と重なります

 

志乃さん その青をぼくは紫にする

地上に現れたアメジストセージが 永遠の契の色です

リオデジャネイロで採掘した世界一の紫水晶よりも

アドリア海の色を映した薬用サルビアが 最もあなたにふさわしい

 

アメジストセージですか バルカン半島に根付いた希望の植物

南欧の太陽を浴びた その花の輝きは鮮やかすぎませんか

薬草の系譜をつなぐ ハーブのたくましさは

志乃の生い立ちには 眩しすぎはしませんか

 

石言葉も 花言葉も

手にとった時には みな退色のさなか

二月の誕生石と 忍耐の花を寿ぐ歓びを

志乃さん ぼくたちは共に睦み合おう

 

アメジストセージは 究極の癒し

地中海の風に乗って 吹雪が舞う夢を

あなたの腕にすっぽり包まれて

志乃は 永遠に見ていたいのです

 

(『志乃とアメジストセージ』2014/03/08 より再掲)


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