
「病葉の唱」
この若木の枝で
五月の風にブランコをしていた君が
己を支える力もなく
ついに落ちた
君と僕は病葉だから
みどりの葉の中で
ひときわ目立つ黄濁の侮蔑だった
きみが落ちて湿った土に仰臥しても
五月の風すら君を
めくってみなかった
僕もまた黄疸が激しくて
ほどなく手を放すかもしれないが
きみの上には
落ちないつもりだ
ああ
それにしても若葉たちの輝きよ
樹液を要求する
たからかなシュプレヒコール
緑の集団が風道を行進すれば
万物の郷愁と
期待の拍手が湧く
いまは太陽よ
あなたもまた僕たちから遠退いた
あなたの平等は
遥かな罪
あなたの客観は教師の冷酷だ
せめて
発散する「生」の
最後の咳が尽きる前に
ぼくら病葉の形見を
かっと見詰めてくれ

※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます