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どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム54 『霧の贈りもの』

2014-07-23 00:06:01 | ポエム

   

     霧の街灯(ウェブ画像)

 

             

霧の軽井沢で出会ったのは

異星からの訪問者だった

碓氷バイパスを登りきったところで

黄色に潤むいくつものUFOがぼくを待っていた

   

ようこそ わが町へ

夢見心地のぼくを迎えて

いくつもの小さな宇宙船が

いっせいに光の通信を交わし始めた

 

軽井沢は古風なリゾート地だったが

いつから異星人の町になったのだろう

気づかずに避暑生活を楽しむのもいいが

霧に紛れて侵略は始まっているのだ

 

音楽の森と思索の湖が広がる初夏

異星人は町から離れた峠の上で集合する

それとも早朝だけの占拠なのか

霧が晴れれば旧軽通りは変わらず賑わうだろうか

 

万平ホテルにもブレストンコートにも

樹間を通り抜けた風が異変を伝えないのか

賛美歌もパイプオルガンも

いつまで十九世紀の旋律を奏でているのだ

 

小鳥とともに季節に酔い

真っ白なシーツの上で微睡んでいると

荒船山を目印に空からの侵入者が飛来する

とりわけ異星人の好きな霧の朝など・・・・

 

ようこそ 軽井沢へ 

地上の戦火は未だ絶えていないが

この町は侵略とは無縁と知ってくれ

明け方の眠りは価千金 森の声は天の賜物

 

霧の中でためらうUFOよ

橙色に融和しようじゃないか

友好の挨拶を音階に乗せ

ピピポパピーと会話の真似事をしよう

 

のろのろと明ける帳は退却の合図

乳色の粒子が異星人を包むと

後退する光のベクトルが

夢の残骸を道端に曝すのだ

 

シーアゲイン UFO

八風からのコンタクトを忘れないでくれ

霧が取りもつ物語を思い出し

時には見え隠れする点滅で応えてくれ

 

 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

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tadaoxさん ()
2014-07-23 10:08:00
こんんちは。

知らない間に侵略されていたら、でも異星人なら仲良くなれるかもしれないかなと、いつの間にか鳴きやんでしまった蝉を想いながら・・

地球人は、隙あらば我が物にと思う人が多すぎる?諍いが絶えませんね。

霧と言えば、山奥のわがふるさと、谷底から僅かに開けた棚田を這い上がって、みるみる目の前が真っ白になる。
tadaoxさんの詩を読ませていただきながら、故郷の霧の風景を思い出しました。
返信する
霧に包まれて (tadaox)
2014-07-23 21:28:08
(風)さん、こんばんは。
今日も暑かったですね。
梅雨明け2日目の関東地方、首に保冷剤を当てて外出し炎熱を凌ぎました。

ところで棚田を這い上がる霧って壮観でしょうね。
素晴らしい故里をお持ちの風さんのお話、きっと異星人も聞きに来ますよ。
ありがとうございました。
返信する
未知との遭遇 (aqua)
2014-07-27 09:59:45
おはようございます

すーっと昔にスクリーンで
『未知との遭遇』を観て
感動したのを思い出しました

これだけ広い宇宙に
人間以外の生命体はいると思ってます
できれば仲良くなって
相手に気持ちを伝えたいですね
もしかすると殺伐とした人間社会よりも
暖かいのかも知れません

ハワイ、メキシコ、中国と世界のいろんなところで
UFOが出現してますが
軽井沢のUFOなんて
優しそうな気がしますね
霧の濃い日は
特に音楽鑑賞がお気に入りなのでしょうね








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未確認飛行物体 (tadaox)
2014-07-27 22:43:14
(aqua)様、こんばんは。
東京は今日もカミナリが鳴り、あわててPCの電源を外しました。
昨日は光と音の同時多発で首をすくめていました。
近くで停電があったと聞きましたが、こちらは難を逃れました。

ニューヨークでは、UFOが原因で大停電が起こったといわれていますが、軽井沢のUFOは友好的でした。
たぶんクラシック演奏を聞きに来たのだと思います。
ありがとうございました。
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