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どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

むかしの詩集とフォト日記(4) 「面」

2010-11-18 04:36:24 | ポエム

       里神楽



      「面」  



  きょうも熱いお天道様が沈んでいく

  山の陰から目玉のような涼気が流れてくる

  女房どのが赤い腰紐をしめている

  雑木林は家の中より匂いがよかろう



  行ってくれ

  天を向いてお天道様に怨みごとを言ってくれ

  渇いて、かわいています



  おとこの胸にも湖はある

  棹を失くした舟が微かに揺れている

  塩臭い旱の風景だ

  ふねの影が胸底に棲みつきました



  ふくろう

  ほい、梟よ

  おまえの身体をそっくり貸してくれ

  半時も過ぎたのに飛び立つ気配もない

 

  おかしいと思わぬか、ふくろうよ

  おまえの姿で楢の枝から見下ろせば

  女房どのも怒るまい



   月の出ぬ夜は夜叉が出る

   夜叉が出ぬうち帰りゃんせ



  子らの唄を追いかけるように闇がせまる

  黛色のせつない夜だ

  村祭りのひょっとこを被って樹々間を忍ぶ


 
  女房どのがいた

  女房どのは般若の面を被って天に吼えていた







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