ギボウシ
(城跡ほっつき歩記)より
森の奥の小屋をたずねると
迎えてくれたのは擬宝珠だった
玄関横のスペースを持ち場と決め
ドレスをまとった乙女の姿で
いらっしゃいませと腰を折ってくれたのだ
口元から覗く白い歯並びが
朝のひかりを受けてキラリと輝く
なんという爽やかな始まりだろう
ぼくが滞在する三日間だけでも
秘書になってくれたらどんなに嬉しかろう
ぼくのためによく咲いてくれたね
冗談好きの主人の戯言を
白いドレスのギボウシよどうか許して欲しい
仲間はウルイとして採取されたと聞くから
きみが生き延びた幸運を祝福したいのだ
北軽井沢の春から初夏への往還は
よそ見をしていると緑の森に手招きされる
コゴミもいるし行者ニンニクだって隠れているよ
孤高のタラの芽だってツンツン伸びている
でもドレスをまとった乙女に優るものはない
テレビの画像もケータイの電波も拒む森で
つかの間の夢想に耽る悦びこそよけれ
きみのような秘書にかしずかれて
王朝の物語を書けたらどんなに幸せか
だが擬宝珠がヒロインの童話なら天にも昇れる
深夜の眠りのなかで
白いドレスの花が鳥に化身する
トキになりシラサギになり
川面があそび野原がさわぐ
初夏の風と森の精が永遠に手をつなぐのだ
でも、ギボウシにはもう物語はいらない
無心の白に敵うものはないのだから・・・・
森はいいね。
花も鳥も風も無条件で迎えてくれるし
自分が森へ行っているような気分になれました
山吹と木瓜の花、それに桃も大急ぎで花をつけているふうに。
森の空気が匂い立ち、やさしい気配と慌ただしさに包まれる感じがしました。
このような場所で人が生活するのは大変だろうな、とも思いました。
観光客に売る農作物ができないので、販売所もまったく開いていませんでした。
ことしの冬は特に厳しかったのだな、と切ない気持ちになりました。
なにせ壮大な創造力、
読者を楽しませてくれています。
毎回ありがとうございます。
日々晴耕雨読、時々カメラという理想の生活に憧れる方も多いのではないでしょうか。
道すがらの薔薇たちの画像も、爽やかでよかったですね。
自然との付き合い方が、適度な距離感でここちよく感じられました。
思わず引きずりこまれてしまいました
楚々とした純白の乙女が
腰を折って挨拶をしてくれる姿なんか
最高のおもてなし 心が躍りますね
ここではゆっくりと贅沢な時間を
堪能できるような気になります
軽井沢が朝のTVでやってました
少し森を入ると
こんな素敵な物語の入り口があるのでしょうか?
いいところですね
北軽井沢の言葉の響きにも憧れます
しばしの間
現実から逃避をさせていただきました(^O^)
いつもありがとうございます
なにかの加減でニホンカモシカやイノシシが現れ、農作物が荒らされることもあります。
集落の畑と山菜の森が隣り合わせにあり、クリネズミやモグラが痕跡を残していきます。
せめぎあいの場所、共存の場所、人の意識の持ちようでいろいろな言い方ができます。
ソローの『森の生活』のように過ごしたい人にも、ある程度応えてくれる場所かもしれません。
物語の中へ立ち寄っていただき、大変ありがたく感謝申し上げます。