そよ風に誘い出されて
ムギナデシコが空に漂う
花弁に書き込んだ矢印が
天気図に幸せの風向きを描くのだ
そよ風の息継ぎは微かだが
花びらに伝わる 1/f のゆらぎ
空き地から立ち昇る草いきれと
重力の気配がせめぎ合う真昼の胸騒ぎ
ああ アンティークの蓄音機よ
目に見える音を五線譜に刻んでくれ
夢見る花は六月の航路に乗り
遠くハワイに憬れるのだ
あした天気にな~れ
そよ風の空き地で子供の声がする
ムギナデシコの花びらが聞き耳を立て
一緒に遊ぼうよと 幸せ色で誘うのだ
バイバイ バイバイ
夕暮れはそこまで忍び寄っている
風も空き地も子供たちも「また明日・・・・」
火照った花びらがサヨナラを躊躇っている
今日も楽しかったよ また明日
遊び足りない童子が「あした天気にな~れ」
明日という言葉には何かが隠れている
ムギナデシコが吐き出すため息の痕跡か
(『そよ風と麦なでしこ』2015/01/30より一部修正して再掲)
素敵な一節ですね。
希望を抱いて・・・こんな幸せな生き方はないですね。
子供のころは、無条件に明日がありましたよね。
楽しかったなあ、・・・・当然きょうの楽しさが明日につながると信じて。
なにがあろうとも、明日はみんなの明日・・・・そう思いたいです。