宿へ戻るとTと女数人がテラスでしゃべってた。
まだ寝てないとは思ったけどさ。
『こんな時間までどこ行ってたんスか。待ってましたよぉ』
『いやぁ、ナンパされまくって断ってたらすっかり遅くなってさ~。』
誰も笑わず。
まるで俺がスベッたみたいになっとるやないか。 ←みたいにとか。
は? その顔で!?
的な空気に耐えられなかった。
相変わらずTのまわりには女が集まる。
どこでもこうなる。
一緒にいても世間はTだけを認識して俺のことは “Tと一緒に誰かいたよね” くらいにしか残らない。
そこがムカつく。
絶対俺のが顔も性格もいいのに! ←原因わかりました。
これをT本人に何度も警告してるクズの俺。
その度、『ホントに流君の方がカッコイイですから』 と言われ、
挑発にノッてこない余裕につのりつもる敗北感。
なんだかんだ言うて世間は顔を評価する。
俺はオサレなだけのTの飾りかよ。
ここにきてまだ自分を良いように言うとかクズもいいとこ。
話脱線しまくってるわ。
そこに、新たに今日到着した大学生君がやってきて会話加入。
彼女にフラれて傷心旅行に来たって。
その話が昼卜"ラばりの愛憎劇でリアルにそんな経験すんのかよなド肝抜く連続展開で気の毒なほど・・・
おもしろかった! ←クズ。
まだツライと言いながらも本人も楽しげに話してた。
その彼がどんな容姿かというと、
背が高く顔立ちもスッキリ爽やかで話し方や笑い方にまで素直さが見える好青年。
このレベルでフラれるとか意味フすぎる。
俺なら大喜びで付き合うわ。
傷心の心の隙間に優しく巧みに入り込んでうまくいけばこの場でヤレ・・・
とかまで考えた。 ←こっちはクズ炸裂。
『どうしたらカッコよくなるかイケメンさんふたり教えてください!』
と言われ、
本当にウソのつけない素直で正直なコなんだなと確信した。
今度は俺がウソついてるみたいになってるし。 ←いやマジで。
ホントはTに聞きたかったんだろうけど俺にまで気を遣うところがイイ子。
そこが頭の良さと世の中を上手に生きるコツ。
でなきゃ俺にイジワルされちゃうからね。
とか笑えないし。
深夜2時過ぎ、そろそろ寝ようってなって、
大学生君はコンビニへ行くと言うので二人になるチャンス到来、その賭けへの選択肢は向こうに決めさせたい・・・
と思い、
俺で良ければこの後も付き合うよ、って言ったら
『ありがとうございます。もう大丈夫です。俺もいつかは流さんみたいに・・・』
とか後半ちょっとホメられて、
実は工ロ狙いだったと悟られなように爽やかに別れた。
正しい判断だっと思うけどなんか寂しい。