約1ヶ月かけて、ホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』を読みました。
岩波文庫、松平千秋訳。
神々と人間の世界が渾然一体となった世界。
もともとは語り聞かせるために紡がれた物語は、文字を目で追っていても、
自然に発語のペースになっていき、いつもとは違う速さで読書の時間が流れました。
『イリアス』は、とにかく登場する人物が多かった。
正直なところ、物語にひたるよりも、カタカナの固有名詞を覚え、
人間(&神々)関係を覚えることに終始してしまった感があります。
登場する神々は、みなが全知全能の神なのに、それぞれ弱点があったり、
階級があるのがおもしろい。
『イリアス』に比べて『オデュッセイア』は、読みやすく、
物語として面白く思いました。
トロイア戦争が終結した後、英雄オデュッセウスが故国イタケへ帰るまでの冒険譚は、
昔、子ども向けの本で読んだときのことを思い出しました。
セイレンの話は、確か幼稚園生だったときに、母が読み聞かせてくれました。
この物語の登場人物たちは、神々の世界を思い描くことを通じて、
人よりも豊かで強力な自然界を理解していたばかりでなく、
自分を客観視し、身の丈を知っていたのだと思います。
それは、運命に流されるというような受動的な生き方ではなく、
神々の世界があるからこそ、自分に与えられたことを精一杯全うする、
という満ち足りた人生だったのだと思います。
「我思う、ゆえに我あり」は素晴らしい言葉だけれども、
ギリシア的な「天啓」のほうが、私にはぴったりくるような気がしました。
それにしても、精興社書体はグッときます。
岩波文庫、松平千秋訳。
神々と人間の世界が渾然一体となった世界。
もともとは語り聞かせるために紡がれた物語は、文字を目で追っていても、
自然に発語のペースになっていき、いつもとは違う速さで読書の時間が流れました。
『イリアス』は、とにかく登場する人物が多かった。
正直なところ、物語にひたるよりも、カタカナの固有名詞を覚え、
人間(&神々)関係を覚えることに終始してしまった感があります。
登場する神々は、みなが全知全能の神なのに、それぞれ弱点があったり、
階級があるのがおもしろい。
『イリアス』に比べて『オデュッセイア』は、読みやすく、
物語として面白く思いました。
トロイア戦争が終結した後、英雄オデュッセウスが故国イタケへ帰るまでの冒険譚は、
昔、子ども向けの本で読んだときのことを思い出しました。
セイレンの話は、確か幼稚園生だったときに、母が読み聞かせてくれました。
この物語の登場人物たちは、神々の世界を思い描くことを通じて、
人よりも豊かで強力な自然界を理解していたばかりでなく、
自分を客観視し、身の丈を知っていたのだと思います。
それは、運命に流されるというような受動的な生き方ではなく、
神々の世界があるからこそ、自分に与えられたことを精一杯全うする、
という満ち足りた人生だったのだと思います。
「我思う、ゆえに我あり」は素晴らしい言葉だけれども、
ギリシア的な「天啓」のほうが、私にはぴったりくるような気がしました。
それにしても、精興社書体はグッときます。