ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

いつもの

2013-02-08 23:36:31 | Weblog
上海は、昨日からずっと粉雪が降っていて、すごく寒い。
路面が凍るうえに、自動車はすってんてんの夏タイヤをはいているので、
交通事故に巻き込まれないように気をつけている。

外省の人が帰省して、上海の人口が少なくなった。
外国人も帰国しているから、明日からはもっと人が少なくなる。
むかしの上海の、灯火があたらない暗闇の寒さが、
ほんの少しだけ感じられるようになる。
そして、この土地にもともとあった意志が、爆竹とともに動き出すだろう。

さて、旧正月は10日なので、今日は晦日なのだけど、
まだまだ仕事が終わらない。
中国人スタッフは、仕事が終わっていなくてもまったく気にせず、
当然とばかりに休みに入るけど、日本人なので、なかなかそうはできない。
明日もやれば、少し取り戻せるだろう。

なんせ、故郷に帰った中国人スタッフの穴を埋めるために、
ここ数日、予定が狂いまくりだった。

帰り道、会社の近くにある刀削麺の店に行ったら、
旧正月でも故郷に帰らない店員さんたちが働いていた。
私の顔を見て、にっこり笑って、
「ワンタン入りの刀削麺だよね」と声をかけて来た。

いつも同じものを選ぶうえに、結構な頻度で行っているので、
どうやら覚えられてしまったようだ。

彼女たちからしたら、別に仕事熱心で客を覚えたのではない。
単に、いつも来るから親しみを感じて、声をかけてきたにすぎない。
でも、にっこり微笑まれると嬉しい。
中国では、なかなかそんなことがないから。

日本の美

2013-02-08 00:30:50 | Weblog
今日、久しぶりに日本の上製の書籍を手にとり、
「なんて美しいんだろう」と、うっとりした。

あまりにもうっとりしていたので、
同僚から「どうしたの?」と聞かれてしまった。

その前に、ある日本人が、「日本の本って軽いよね」と言った。
同じ厚みであっても、中国の本はずっしりと重い。
これはパルプの繊維の長さと、製紙技術の違いのせいだと思う。

日本の紙は、とくに本文用紙は色も美しく、しなやかで、
そして、変な匂いがない。

これが、上製、しかも丸背の本になっているなんて言うと、
中国ではなかなかお目にかかれない。

しっかり作ってある文芸書は、本当に美しいと思う。
最近、日本でも、なんちゃって上製本みたいなのが増えていて、
使い捨て(一回で読み捨て)なら、上製もったいない、と思うこともあるけど。

ということで、
帯やカバーをはずし、表紙や見返しをフリフリして、
開き具合等を見ながら、いつもなら言わない一言を、つい言ってしまった。
「いや~、日本の技術ってすばらしい!
 この仕上がりは、中小企業がしっかりとした技術を持っている国だからこそだ!」と。

すると、そばにいた日本人もわらわらと寄ってきて、
「ほんとだ。この紙の手触り、いいよね~」
「色も上品だね~」
「やっぱり、日本だね~」となった。

ふだんは、こういう上海人のプライドを傷つけるようなことは、
決して彼らの前では言わないように気をつけている(影では言う)。

でも、たまには、本当に技術と文化の違いがあらわれている一瞬では、
こういうプライドを誇示するのも、まあ、いいかな、とも思う。

ムカッとしたなら、作ってみせろや、上海人。