『DISTANCE ディスタンス』

2001年 日本
監督：是枝裕和
出演：ARATA、伊勢谷友介、寺島進、夏川結衣、浅野忠信、りょう、遠藤憲一、中村梅雀、津田寛治、山下容莉、村杉蝉之介、梓、木村多江、平岩友美、中村育二、杉本安生

あるカルト教団が多くの死傷者を出したウィルステロ事件を起こして三年がたった。妻が夫が兄が入信し、その実行犯になってしまった加害者たちの遺族四人は、年に一度集まって、慰霊の為に、遺灰が捨てられたという湖を訪れていたが、この年、帰ろうとすると乗ってきた車がなくなっていた。同じく、バイクで湖を訪れていた元信者の青年の案内で、四人は信者たちが共同生活をしていたという山の小屋で一夜を過ごすことになった。

なぜ・・・なぜ彼は、彼女は、そんなことをしたのか・・・そんなことが出来たのか・・・誰もが不思議に思い、誰もが知りたいと思うことで・・・この映画でも問われていることの一つなのかなとは思うけど・・・若干、その部分に関してはファンタジーになってしまっているかなって思います・・・それは本意なのかな、監督の。で、最後は少しサスペンス。種明かしはあるのかとドキドキしますが・・・。

『サラエヴォの銃声』

2016年 仏&ボスニア・ヘルツェゴビナ
監督：ダニス・タノビッチ
出演：ジャック・ウェバー、スネジャナ・ビドビッチ、イズディン・バイロビッチ、ベドラナ・セクサン、ムハメド・ハジョビッチ、ファケタ・サリフベゴビッチ・アブダギッチ、エディン・アブダギッチ、アレクサンダル・セクサン、リヤド・グボズデン

第1次世界大戦勃発のきっかけとなったサエラボ事件から100年を記念した式典がおこなわれる日の「ホテル・ヨーロッパ」。ホテルでは、式典での演説を依頼された人物が控室で繰り返し演説を練習し、ジャーナリストは様々な立場の人にインタビューを行い、サラエボ事件で大公夫妻を暗殺したガヴリロ・プリンツィプの子孫の男はそのジャーナリストと感情的な議論をしていた。一方で、賃金不払いが続いていた従業員は、注目を浴びるこの日にストライキを計画しており・・・・

サラエボ事件はもちろん、演説やインタビュー、その後の議論で交わされる欧州の歴史について全く無知なんだけど、それでも一生懸命聞いてしまいました。ただただ捲し立てられる言葉の情報で、映画でこれってどうなのと思わなくもないけど、何も知らない人間でも聞けたということは、ちゃんと成立するように作られていたってことなんだろうな。見終わってから調べなきゃとも思ったし。で、もう一方で、ストライキを計画する従業員と、ストライキ潰しをする支配人と裏家業の人たちの話が差し込まれてくるのだけど、こちらも社会問題としての問題定義がありつつ、ドラマとしても見られるものになっていて・・・集中しないと置いてかれるっていうのもあったけど、しっかり最後まで真剣に見ることができました。

『ブレードランナー 2049』

2017年 米
監督：ドゥニ・ビルヌーブ
出演：ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、シルビア・フークス、ロビン・ライト、マッケンジー・デイビス、カーラ・ジュリ、レニー・ジェームズ、デイブ・バウティスタ、ジャレッド・レト、エドワード・ジェームズ・オルモス、ショーン・ヤング、バーカッド・アブディ、ヒアム・アッバス、ウッド・ハリス、デビッド・ダストマルチャン

前作から30年後の2049年。レプリカントのブレードランナーであるKは、30年前にレプリカントのレイチェルが出産したかもしれない赤ん坊の捜索を極秘に担当する。しかし、捜査を続ける中で、自らの記憶と重なる場面に何度となく遭遇し、彼は自分という存在に対する疑念を抱くようになる。かれはついに、赤ん坊の父と思われるブレードランナーのデッカードを探し出すのだが・・・

物語が比較的単純で、つくづく『ブレードランナー』ありきの物語だなぁ～、でもハリソンフォードのディカードの30年後に会えたのだから、それだけでも十分感涙ものだ・・・と思っていたのですが、それでは終わりませんでしたね。この切なさは、アンドロイドものならではのもので、胸を締め付けられます。もちろん『ブレードランナー』ありきであることには間違いないのだけど・・・こういう続編が作れるなんて、たいしたもんだね(^^)。

『美しい星』

2017年 日本
監督：吉田大八
出演：リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、羽場裕一、春田純一、友利恵、若葉竜也、
坂口辰平、藤原季節、赤間麻里子、武藤心平、川島潤哉、板橋駿谷、水間ロン、今村美乃、岩谷健司、樋井明日香、滝沢涼子、阿部朋子、小林美紀、小山田みずき

お天気キャスターの大杉重一郎は、不倫相手の助手と車に乗っていて、突然の光に意識を失い、一人、田んぼに突っ込んだ車で発見される。同乗していたはずの助手は、そのことを全く覚えていない。この事件以来、大杉はUFOについて調べはじめ、自分が火星人であるという確信を持つ。一方、大杉の息子の一雄は自分を水星人と思い、娘の晃暁子は金星人と名乗る男と出会い、自分も金星人であることに気づき、処女のまま妊娠する・・・

すごく突飛で滑稽でコメディーのようなんだけど、環境問題に関する議論は真摯で面白いですよね。温暖化に警鐘を鳴らす大杉サイドの意見も分かるけど、温暖化を自分たちのせいだなんて思いあがっている人間たちは、地球の自然の中に自分たちを含んでいないっていうのも、的を得た批判だ・・・面白いな。原作の三島由紀夫は、どんなことを書いていたんだろうと、思わず書棚で原作本を探してしまいました(^^)。