読書『念ずれば花開く』(坂村真民 柏樹社 ’87年2月)
ごく最近日経の夕刊のコラム<交遊抄>を見ていたら、竹中平蔵氏(もと金融、経済財政政策担当大臣)が歌手の谷村新司との交友を語っていた。そのなかで、参院選出馬の折に谷村から贈られた激励の言葉を紹介していた。
「鳥は飛び立つとき、いつも向かい風に向かって飛ぶんですよ」 竹中バッシングの最中にもこの言葉を胸に、毎晩彼の曲を聴いたとのことだ。
これを読んで、私は坂村真民の詩「鳥は飛ばねばならぬ、人は生きねばならぬ」を思い出した。
”鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ
怒濤の海を 飛び行く鳥のように
人も混沌の世を生きねばならぬ
鳥は本能的に 暗黒を突破すれば
光明の島に着くことを 知っている。
そのように人も 一寸先は 闇ではなく
光であることを 知らねばならぬ
新しい年を迎えた日の朝 私に与えられた命題
鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ”
阿蘇で生まれ、女手ひとつで母の愛を感じつつ育った詩人坂村真民。心の詩人とでもいうべく、八木重吉の詩風を受け継いだ、その詩は、多くの人に愛されてきた。母の愛誦した「念ずれば花ひらく」という八字十音を、一人でも
多くの人に念誦して欲しいと、終生願っていた。
”念ずれば 花ひらく
苦しいとき 母がいつも口にしていた
このことばを わたしもいつのころからか
となえるようになった そうしてそのたび
わたしの花がふしぎと
ひとつひとつ ひらいていった”
ほかにも素晴らしい詩はいくつもある。長くなるので一つだけ書きとめておく。
”本気になると 世界が変わってくる
自分が変わってくる
変わってこなかったら まだ本気になっていない証拠だ
本気な恋 本気な仕事
ああ 人間一度
こいつを つかまんことには”
宗教家の紀野一義は、坂村真民の詩が、いや”しんみん”さん、その人が好きで、とうと う坂村真民の風光について描いた『白鳥の歌びとー坂村真民』(柏樹社 ’90年9月)という本をを出した。この本は、真民さんと人の心について語った本で味わい深いものがある。 残念ながら、しんみんさんは、昨年の暮れに長逝された。
「
ごく最近日経の夕刊のコラム<交遊抄>を見ていたら、竹中平蔵氏(もと金融、経済財政政策担当大臣)が歌手の谷村新司との交友を語っていた。そのなかで、参院選出馬の折に谷村から贈られた激励の言葉を紹介していた。
「鳥は飛び立つとき、いつも向かい風に向かって飛ぶんですよ」 竹中バッシングの最中にもこの言葉を胸に、毎晩彼の曲を聴いたとのことだ。
これを読んで、私は坂村真民の詩「鳥は飛ばねばならぬ、人は生きねばならぬ」を思い出した。
”鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ
怒濤の海を 飛び行く鳥のように
人も混沌の世を生きねばならぬ
鳥は本能的に 暗黒を突破すれば
光明の島に着くことを 知っている。
そのように人も 一寸先は 闇ではなく
光であることを 知らねばならぬ
新しい年を迎えた日の朝 私に与えられた命題
鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ”
阿蘇で生まれ、女手ひとつで母の愛を感じつつ育った詩人坂村真民。心の詩人とでもいうべく、八木重吉の詩風を受け継いだ、その詩は、多くの人に愛されてきた。母の愛誦した「念ずれば花ひらく」という八字十音を、一人でも
多くの人に念誦して欲しいと、終生願っていた。
”念ずれば 花ひらく
苦しいとき 母がいつも口にしていた
このことばを わたしもいつのころからか
となえるようになった そうしてそのたび
わたしの花がふしぎと
ひとつひとつ ひらいていった”
ほかにも素晴らしい詩はいくつもある。長くなるので一つだけ書きとめておく。
”本気になると 世界が変わってくる
自分が変わってくる
変わってこなかったら まだ本気になっていない証拠だ
本気な恋 本気な仕事
ああ 人間一度
こいつを つかまんことには”
宗教家の紀野一義は、坂村真民の詩が、いや”しんみん”さん、その人が好きで、とうと う坂村真民の風光について描いた『白鳥の歌びとー坂村真民』(柏樹社 ’90年9月)という本をを出した。この本は、真民さんと人の心について語った本で味わい深いものがある。 残念ながら、しんみんさんは、昨年の暮れに長逝された。
「
私の母が死ぬ少し前に残した詩があります。今の私の座右に置いております。
神様や仏様がいらっしゃるかどうか
合掌した時のあの安らぎはどこから来るのでせう
右の手の哀しみを左手が支え
左の手の決意を右の手が受け止める
その上を流れる静かなひとときは
どこからくるのでせう
いつまでもマザーコンプレックスの私ですが、やはり母の影響が今の時点においても大きいようです。
このブログにお目通しいただき、コメントを頂戴し、more than expected です。嬉しく、拝読致しました。
お母様の残された詩には、素晴らしい響きがあります。深い感銘を覚えました。このようなな心の安寧を
どのようにして得られたのでしょう。いつかまた、お聞かせください。
ありがとうございました!