(新)緑陰漫筆

ゆらぎの読書日記
 ーリタイアーした熟年ビジネスマンの日々
  旅と読書と、ニコン手に。

エッセイ ウイズコロナの日々

2021-01-21 | 日記・エッセイ
ウイズコロナの日々
         (写真は初茜)

 ちょうど一年余ほど前に、「冬の一日」と題したエッセイを上梓したことがありました。それは、その6年前の「冬の一日」を振り返ってのことでありまし。それもあって、さらに6年後の2027年の1月に、「冬の一日 6年後」として記事を書くつもりにしていました。ところが、コロナ騒ぎもあってか、はたまた地球の自転の速度が速くなったという情報(*)もあり、とても6年後までは待てない。そこで取り急ぎ「ウイズコロナの一日」と題して書くことにしました。

  注)*地球の自転速度を観測している科学者たちは、2021年にはさらに短くなると予測している。2021年の1日の長さは、我々が使う時計が定める1日の長さである8万6400秒よりも平均で0.05ミリ秒、また、個々の日では最大で1.5ミリ秒短くなる可能性があり、一年で合計すると約19ミリ秒短くなる。

 以前は夕景の写真を冒頭に飾ってましたが、これからはもっと前向きの人生とするため、朝茜(朝日)に心を向けることにしました。そんなことを念頭におきながら、「冬の一日」を「ウイズコロナの一日」として紹介させて頂きます。

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 朝は、4時頃に目を覚ます。なぜかというと、その時刻になると日経新聞がネットで配信されるのだ。まず紙面版のコラム(春秋)を読む。ついで最終紙面の「ミチクサ先生」という伊集院静の小説を読む。漱石と正岡子規の交流を描いたものだ。昨今は、熊本の第五高等学校に奉職した漱石とその妻の鏡子の日々を描いている。鏡子は、悪妻のように言われているが、ここでは漱石は年下の鏡子のことを愛しく思っている様子が描かれている。伊集院の漱石たちを見る目の優しさを感じる。それが済んだら、また眠りにつく。紙面版の全体は、のちほど日中にiPadで見る。電子版は、とくにマーケットの情報などをとるのに活用している。紙面版には、ない情報がたくさんある。

 6時半頃起きて、ベッドの中でBloombergやWallStreetJournalなどのニュースをネット配信でみる。アメリカのおおよその動きは把握できる。WSJは、いくつかの記事は日本語訳の記事もある。7時になると朝食タイム。朝から食欲がある。ありすぎるのだ。シリアルを食べたり、バナナを食べたりと、食パンの量は少なくなっている。珈琲や紅茶の砂糖も植物由来のラカントを摂っている。体重はきちんとコントロールできている。目標値から、プラス・マイナス0.3キロでコントロール。

 朝食後は、すぐ近くにあるクラブのプールに行く。昨年右肩に痛みが出て(チェロの練習のしすぎ?)、手術・入院をした。そのせいでクロールもできなかったが、ようやく昨今落ち着いてきて、ほぼほぼクロールは泳げるようになった。プールは一日おき、他の日はウオーキング。島の周りの散歩道を歩く。ただ歩く速度は遅くなってきた。年を感じる。それはともかく、できるだけ陽の光を浴びて歩く。ビタミンDもできて、認知症対策にもなるようだ。そういえば、カレーのスパイスには脳神経を正常に働かせるのに役立つナイアシンや動脈硬化を予防しストレスをやわらげる働きのあるパントテン酸などを含み、認知症予防にもいいらしい。というような屁理屈をつけてはJR住吉駅エリアにある<京都洋食屋カレー>をひんぱんに訪れる。ここのカレーが大好きだ、いつもルウ大盛りで頼んでいる。

 7年前ほど前からSNSを始めた。フェイスブックを多用。あるクローズドの仲間と、一般公開をしている友人の二種類がある。最近ではツイッターが情報配信や交換の場になっている。ツイッターには好きな音楽などをアップロードしている。インスタグラムは、お遊び程度。ところが昨今コロナ騒ぎもあって、手につかなくなってしまった。そこに加えて、成毛眞さん(書評サイトHONZ代表、もと日本マイクロソフト社長)の最近の発言から、SNSとくにFBのやり方を根本的にやりなおそうと考えはじめた。下記に成毛さんの発言の一部をご紹介する。

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 (成毛眞)”友達申請を一日に最低でも5件ほど受け取る。・・・申し訳ないが、知らない人からの友達申請は無視するしかないので、悪しからずご了承していただきだい。不思議に友達申請してくる人の90%は意味のあることを自分のウオールに投稿していない。FBに加入してから一度も投稿してない人もいる。ボクがそんな人とFB友達になっても、ボクにとって何の意味があるのだろう?1秒でも考えたことがないのだろうか。

しかし、なかにはめちゃくちゃ面白い投稿を続けている人もいる。そんな人は稀なのだが、こちらから友達申請している。SNSは情報の持ちつ持たれつだ。SNS上では(リアル友人以外の)赤の他人にとって、情報なき人は友達としては無価値なのだ。

まったく見も知らない友人申請してきた人が、自分のFBで書いてることが昨日の夕食に何食ったかだの、誕生日のケーキだの、孫の写真だのだけだったりする。ボクはね、会ったこともない人の個別の生活には死ぬまでまったくぜんぜん10000%興味ないし、見たくもない。あんたと友達になるわけないじゃないか。世の中はそんなに都合よくできてないのだ。

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 これなんだよなあ! いつも感じていたのは。私自身のSNSでの情報の発信のしかたについて、反省の念もふくめてヒントを感じ取った。


 ところで前にも書いたが、情報ソースとしてWSJやBloombergやFT、さらにはNewsPicksというサイトがあるが、加えて日経は言葉は悪いがしゃぶり尽くしている。iPadでみる紙面版では最終ページに時折の絵画と説明がある。この前、このブログで取り上げた「破壊」もそうである。最近、「モデルの一生」と題してとりあげられたもの。赤い服をまとった断髪の女性、左奥にはアネモネの花。モデルは作者板倉鼎がパリで描いた大作。5年後モデルの須美子はこの世を去った。西洋絵画ではアネモネは死を象徴するとか。 さらに電子版では、紙面版にはない豊富な情報がある。たとえば、経営者ブログというコーナーがあって、IIJ会長の鈴木幸一氏、ユニチャームの高原豪久氏などの物の見方に触れることができる。

 

 午後になると、たまには島の中にある神戸市立小磯記念美術館に出かける。今は特別展「至高の小磯良平」という大野コレクションを展示している。すぐれた女性像の数々がある。画像は、「化粧する舞妓」

  

日経新聞を紙面でじっくり見る。「春秋」というコラムも味わい深いので、かならず目をとおしている。1月17日の「春秋」は、もちろん26年前の阪神淡路大震災についてであった。この時、ボランティア元年といわれるくらい多くの人たちが助けあった。”「1.17」以降の世代にとっては共助は自然な振る舞いなのだろう”、と書かれていた。


(読書)

 本は日がな一日読んでいる。最近読んだ本で興味を惹いたのをいくつか、とり上げてみる。①『自分の頭で考える日本の論点』(出口治明)・・・「日本人は働き方を変えるべきか」、「日本は移民・難民をもっと受け入れるべきか」など22の論点につき、背景を解説し、さらに著者自身の考えかたを開陳してる。その上で、諸君はどうかと迫る。②『だから古典は面白い』(野口悠紀雄、専攻はファイナンス理論)・・・「ビジネス書を読むより『戦争と平和』を読もう、「ノウハウ書を読むより『マクベス』を読もう」など古典を読む意味合いと面白さを教えてくれる。③もう15年ほどまえの本だが、中西進さんの『詩心ー永遠なるもの』は万葉から現代詩に至るまで紹介・解説し、それらの良さを伝えてくれる。”秋の灯や集いてやがて星となる”(和田誠、イラストレーター)など。この詩を読んでいると、”いつかは星になるのかなあ”、と思ったりする。④『シャドー81』・・・太平洋上を飛ぶジャンボ旅客機が、ジャンボから死角にある最新鋭戦闘爆撃機のパイロットから乗っ取られる。海外ミステリーは、ジェフリー・ディーヴァーの作品を始めとしてかなり読んでいるが、本作品は初めて。読み進むのが楽しみである。

(音楽の楽しみ)

 それからチェロの練習。右肩の痛みに加え、左肩が痛くなって手術をしたが、その痛みがほとんどなくなり、みっちり練習できるようになってきた。楽譜をみる目の視力の衰えもあって、なかなかスムーズんは弾けないが、それでも少しづつ上のレベルへと進んでいる。今の心境を一句、短歌で。

 ”またひとつ新しきこと覚えをり寒牡丹咲く冬の一日(ひとひ)に”

 音楽を鑑賞する方では、ツールが変わってきた。これまではアキュフェーズの製品(チューナー。プリメインアンプ。CDプレーヤなど)でラインアップを固めていたが、スマホ(アップル)の動画で音楽の演奏の様子を見るようになったので、スマホで聴くことが多くなった。YouTubeだと、演奏の様子を見ることができる。それに加えて、最新のTVではアンドロイド機能はついており、YouTubeを大画面でみることができる。これにしかるべきスピーカーを外付けすれば、立派なリスニングルームになる。オーケストラの音楽を聞く時は、ベルリン放送のデジタル版の映像をPCで見ることが可能だ。もちろんゼンハウザーなどのヘッドフォンを装着する。

 話は変わるが、昨年(2020年)で一番記憶に残った音楽は「長崎の鐘」だ。(サトウハチロー作詞、古関裕而作曲)。朝ドラ「エール」で放送され、絶大な人気を集めた。これは長崎で原爆にあった永井隆博士が、原爆投下当時の長崎の様子を記録(随筆)としてまとめたもので、これを読んだサトウハチローが感激して詩にした。それに古関裕而が曲をつけた。「長崎の鐘」の歌(藤山一郎 歌唱)
 
 この歌は、敗戦から立ち上がろうする日本の人々を慰め、励ました。そして長崎だけではなく、広く日本国中で歌われた。

 ふと思い出したのは、阪神淡路大震災の折に高校の音楽教師が作詞作曲した歌「しあわせ運べるように」だ。当時、神戸の西灘小学校の音楽専攻科教諭であった臼井真先生は、震災で家族や友人を失った人たちを慰め、励まそうとこの曲をつくった。そして、その歌は神戸から東北大震災の人々の間でも歌われ、さらには国内外で歌われるようになり「希望の歌」となった。


(健康について)

 健康については内臓系を中心としてとくに問題はない。しかし、年を重ねるといろんな問題が出てくるので、気をつけている。とくに気にしているのは、腎臓の性能を示す値のひとつであるクレアチニンの数値が高めに張り付いているので、食事の時の塩分のとりすぎには気を使っている。身体から塩分を放出するような食品(ナッツ類やほうれん草など)もあるようなので、それを摂るのもいいかなと思っている。この問題に限らず、「日経Goodyマイドクター」という会員制のサイト(有料)があって健康情報の記事を読めるほか、相談にも乗ってもらえるので、愛読している。


 ところで京都通いのことである。緊急事態宣言後、ごく初期の頃に一度行きつけの店に行ったきりで、すっかりご無沙汰している。元気に営業しておられるのであろうか? ワクチンを接種したら、いの一番で飛んで行きたい。それまでは東灘界隈でガマンの子である。絶品の焼き肉「翔苑」、上海の料理人のやっている「三日月食堂」(魚香茄子 ゆいしゃんなすがうまい)などなど。ちょっぴり中国語を覚えて大将に話しかけると、親愛の情を示してくれる。しょっちゅう通っていたJR福島駅あたりも、とんとご無沙汰だ。したがって、家で自らレシピを考え、料理にいそしんでいる。いずれ、ブログ「料理あれこれ」に書くつもりだ。


(頭の活性化にも気を配る)

 すでに述べたように日の光を浴びて歩く。毎日日記をつけている。B6サイズの日記帳に横書きで万年筆でびっしり書く。字が下手なので、”あまり達筆すぎて読めないわ”、などと某マダムに言われたこともあった。(笑)書くのが速いのが主な原因であるが、正規の書き順に沿っていないことが多いので、いちいち書き順をアプリでチェックしている。愛用の万年筆はペリカン製。インクは、パイロットの「天色」(色雫)の明るい青が好きだ。問題は、このインクは粒子が細かいのでペリカン製の万年筆には合わない。そこで、もう一本買うことにして、パイロット製にした。ところが、このメーカーのインクは色が今一である。たまたまペリカンのTOPAZを試したところ、ぴったりハマった。ついでに愛用のペリカンでもTOPAZにするとインク漏れもなく、”青い鳥はそこにいた”(笑)

 できるだけ人と話をするように努めている。病院のリハビリの受付をしている女性にも話しかける。それがあってか、”私がいる日に来てくださいね”と、言われるようになった。チェロの練習場の受付をしている若いマダムとも、神戸のグルメのことなどどんどん話しかける。こちらは、人畜無害の安心牌と思われているのかもしれない。(笑)

 俳句の句会はなくなったが、その頃の友人と語らってネット句会を楽しんでいる。最近では、同じメンバーで連句のやり取りもしている。東京在住の友人(高校同期)とは、二人で月に一回、書簡をやりとりして連句の歌仙を巻いている。


(三つのいいこと ThreeGood)
 
 ごく最近のことであるが、レオスキャピタルワークスのCEOをしている藤野英人さんが、こんなことを提唱された。

 ”今日から毎日のちょっとしたよかったことを三つだけかいてみようと思います。・・・この三ヶ月間くらいは色々つらいこともあると思うので、目をむける場所をそのようなところではなく、意図的に生活の小さな幸せを見つけて行くことが生活をきれいにしていくことかなと思います。

自分の生活そのものへの解像度をあげていくことによる幸福感を高めていくことで、内圧を高めていくことで心と身体の健康を高めていこうという工夫です。あと、人の小さな幸せを感じると、ああこういうところに幸せを感じるのかとわかって、ほっこりすると思います。

 どうしてもきびしいニュースが出てくると、それに引き寄せられてその関連記事をどんどん読んでしまい、それがメンタルを痛めていきます。・・・

 では、さっそく。

 ①だんごとおもちのお腹がなおった注)藤野家で飼っている子犬のこと。
  愛犬だんごとおもちがしばらくお腹を壊していたのですが、薬と食事を変eru
  ことで収まってきました。

 ②夜の食事のほっけが非常に肉厚でおいしかった。
  いただきもののホッケですが、大きく身もぷりぷりして脂ものっていて礼文島で食べたホッケよりも美味しかった。

 ③ヴィーガンに特化した若手起業家の話が面白くて、やはり若い経営者と話を続けることが大事だと感じた。”

   注)ヴィーガンとは、“徹底した”菜食主義(あるいは菜食主義者)のことで、「完全菜食主義者」と訳されることもある。肉や魚に加えて、卵・乳製品などの動物由来の食材を摂取しないという特徴がある

 と、いうことなのですが、彼のフェイスブックの投稿に知人・友人・仲間などFBでつながっている人が毎日のように、それぞれの「三つのいいこと」を 書き込んでいます。たまたま藤野さんとは高校(愛知県立旭丘高校)つなが りということもあって、私自身も始めることにしました。遠隔の地にいる友人と、さっそく始めました。毎日では、きびしいので、一週間に二回、話し合うことにしました。

 むずかしいことはありません。たとえば、①ロウバイが咲いてるのを見ることができた。②ヒラメの中華風刺し身が美味しかった。③西の空に新月を見た。などなど。如何でしょうか? やってみませんか? 中には、”白菜を油で炒めたら美味しかった”などという「いいこと」もありました。



(深夜になると)
改めて本を手に取る。今夜は、『江戸の夢びらき』(松井今朝子)。歌舞伎で最初に荒事を仕掛けた男、市川團十郎の物語。
 
 もう遅くなった。最後に好きな詩を。「闇」。 杉山平一の詩集『青をめざして』から


 ”ルームライトを消す
  
スタンドランプを消す
  そうして
  悲しみに灯をいれる 

 
 時間が闇を深めていくに従って、作者自身も活動の世界から休息の世界へと移動していく。夜の部屋の明るさも、まず大きな光源が消え、手元の小さな灯りも消される。すると残るのは闇。 しかし闇は心の中の悲しみを浮かび上がらせ、小さな灯りのように心に宿る。(中西進 注)    


     ~~~~~~~~~~~~~


 もう遅くなりました。では、おやすみなさい。



追補
 都合により、「料理あれこれ」の記事は先送りさせていただきます。立春明けの雨水の頃にアップいたします。








コメント (6)
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