(新)緑陰漫筆

ゆらぎの読書日記
 ーリタイアーした熟年ビジネスマンの日々
  旅と読書と、ニコン手に。

気まぐれ日記 奈良・安倍文殊院へ行く

2013-04-03 | 時評
気まぐれ日記 奈良へ 安倍文殊院に行きました
 好天に誘われ、これは吉日とばかり奈良は桜井へ花見にでかけました。いつもの車でなく、沿線の景色を見たいので電車に乗って。大阪から大和路快速、王寺で乗り換えて桜井線へ、別名”万葉まほろば”線として親しまれています。”まほろば”とは、なんと美しい日本語でしょう。沿線には、桜の並木がつづいていました。

 桜井駅から、少しづつ坂道を歩くこと小1時間で目指す、安倍文殊院につきました。想像を超えた凄いお寺です。何が凄いか、一に桜、ニに文殊菩薩像、そして石積みの古墳です。まず桜ですが、全山桜の海という様相を呈していました。すこし高みからみると文殊池に浮かぶ浮御堂は、花の雲に包まれているようでした。八重の枝垂れ桜の淡いピンクが印象的でした。

 つぎに文殊菩薩ですが、高さ7メートルの巨大なもので、鎌倉時代に快慶によって作られてから、いくたの戦火をくぐり抜け今にいたっています。この二月に国宝に指定されたのですが、すぐ近くで見ることができます。色合いもよくとても800年以上もの年月を経たものとは思えません。この文殊さんは、智慧を司る仏として崇められていますが、最近では受験生が試験前に押し寄せるそうです。さらに加えて、ぼけ防止の仏様としてのご利益を期待してご祈祷をうける人が多いとか。私たちも丁寧に拝んできました。ちなみに日本三大文殊はこのほかに丹後の智恩寺、山形の亀岡文殊がありますが、いずれも1メートル程度の小さいものです。ここの菩薩のように大きなものは、ほかにありません。

 

3つ目の凄さですが、飛鳥時代につくられた石積みの古墳が大事に保存されています。古墳内部に入ってみるとわかりますが、丁寧にに加工された花崗岩を積み重ねたもので、石の巨大さ、加工の精密なることに唖然としてしまいました。高度の加工技術があったのでしょう。

 いやいや、こんな辺鄙なところに、こんな素晴らしいお寺があるとは驚きました。高台から西の方を見下ろすと、大和三山~畝傍/耳成/天の香具山が見られました。このおとなりの三輪からは奈良に向かって山の辺の道が走っており、まさに古代ロマンを掻き立てられます。余談ですが、佐藤一英という人の長編詩に「大和し美し」というのがあり、古事記に題材を得て書いた長編詩です。それを棟方志功が読んで、感激し同名の柵(5枚の版画)にしていす。詩、版画ともに素晴らしいものです。



 ”大和は国のまほろばたたなづく
 青垣山隠れる大和し美し
                        (倭建命)

 黄金葉(こがねば)の奢りに散りて沼に落つれば 鋺(もが)くにつれて底の泥その身を裹(つつ)み
離連つなし・・・・
 われもまた罪業重くまといたる身にしあればいかでか死をば遁れ得む
 されどわれ故郷(ふるさと)の土に朽ちざる悲しさよ

 ああ陽はいまや大和なる山の紅葉(もみじ)を耀(かがや)かし
 昔わが遊びし野辺や河岸に子供らの影ゆらめかす思いあり・・・・

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 実りある一日でした。帰りの車中では伊集院静の本『別れる力』(大人の流儀3 講談社)を読んでいました。次回にご紹介します。


コメント (2)
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