(ウォール・ストリート・ジャーナル)米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手フェイスブック
(Nasdaq:FB)の新規株式公開(IPO)で、IPO引受主幹事の米金融大手モルガン・スタンレー(NYSE:MS)や他の
幹事会社が18日の取引開始後からの株価を安定させる取引で約1億ドルの利益を上げたことが分かった。事情筋が
23日明らかにした。
モルガン・スタンレーは主幹事としてこの1億ドルの利益の最も大きな分配を受けるという。この配分額とは別
に同社はIPO主幹事としての手数料として数百万ドルを受け取る。
また、事情筋の1人はこの利益はIPO初日に上場先のナスダック市場のシステム障害で損失を被った顧客への埋め
合わせの一部に充てられることを明らかににした。
IPO直後の株価を安定化させる取引で引受幹事社が利益を上げることは珍しくない。
モルガン・スタンレーは強い需要によって株価が過剰に上昇するのを防ぐため約6300万株のオーバーアロットメ
ント(需要が強いときに主幹事が追加的に株式を借り入れて売却すること)を任されていた。
IPOの引受幹事は通常、当初のIPO予定株数の15%までの株式を追加売却することが認められている。フェイスブ
ックの場合、引受幹事は同社から4億2123万3615株が売却用に買い入れ、実際には4億8441万8657株を売却した。
したがって両方の差の6318万5042株の「借り株」を追加的に投資家に売却したことになる。実質的には「空売り
」をした状態になる。この追加売却はフェイスブックや大株主から借入れた株式を使って公募価格と同じ価格で
行われる。
株価が下落したときには株価安定化を担う会社としてモルガン・スタンレーが市場から株式を買い入れ、市場に
流通する株数を減らす。事情筋によると同社は18日には2度にわたってフェイスブック株を買い受けてIPO価格の
38ドル以下に下がるのを防いだようだ。
しかし週明け21日にフェイスブックの株価はすぐにIPO価格を割り込んだ。このときモルガン・スタンレーはオ
ーバーアロットメントで追加売却した分の株式を市場で安くなった株価で買い戻して回収し、公募価格との差額
から生じる投資利益を獲得した。
IPOの後に株価が上昇した場合には、引受幹事社がしばしばこのオーバーアロットメント分を公募価格より割安
で購入できるオプション(グリーンシューオプション)を行使して、通常は約1%の利ざやを稼いでいる。
-0-
Copyright (c) 2012 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved.