1)一目均衡表は「時間概念」を持ち込んだ数少ないテクニカル分析手法。
2)一目均衡表(高機能チャート)日経平均の日柄を分析する。
3)歴史は繰り返す-フェイスブック上場で需給悪が改善するか。
欧米市場では、週末にG8がギリシャのユーロ残留を呼びかけた宣言をしたことでギリシャ懸念が薄らぎ、また中国の温家宝首相が「景気減速を回避するための政策調整が必要」と発言したことで中国が景気対策にのりだすとの期待から、各国とも株式市場が上昇しました。
本日の日経平均は、この欧州株高が好感されて8700円を回復しました。
今回は、日経平均がいつ反転するのか、日柄調整はいつまで続くのか、あるいはもう底を打ったのかについて日本人が開発したチャート分析手法として世界的にも有名な一目均衡表を使って、日経平均の日柄調整(一目均衡表の『変化日』)について検証します。
■ 一目均衡表で日経平均の『変化日』を調べてみる
「一目均衡表」は相場判断に『時間概念』を持ち込んだ数少ないテクニカル分析手法の一つです。
一目均衡表は、一目山人(本名:細田悟一氏)が考案したチャート分析手法です。
チャートがビジュアル的で、現在の相場変動や需給状況を一目で直感的に判断できることが特徴です。
一目均衡表では、相場の『変化日』を予測する方法が二つあります。
*『変化日』とは単に相場の反転を意味するだけでなく、『変化日』を境にそれまでと同じ方向に加速する場合もあります。
一つ目は基本数値と呼ばれるものです。相場の天井、もしくは底を基準日として、そこから基本数値(9、13、17、26、33、42、52、65、76、129、172、226、676)の日数が経過した該当日に変化日が来ると予測する方法です。
これらの日柄は、この日に必ず変化があるというものではありません。初めの該当日に変化がなければ、次の該当日に変化する可能性があるという考え方です。
二つ目は対等数値になります。過去の相場の天井と底の日柄をその後の日柄に当てはめる方法です。過去に変化があった日数と同じ期間で次も変化するという考え方です。
それでは、一目均衡表チャートで実際に日経平均がどのような日柄で天井と底値をつけてきたのか検証してみたいと思います。
(一目均衡表は、ケンミレの『高機能チャート』で見ることが出来ます。)
①平成11年11月25日~12月7日・・・・・・・・ 9営業日
②平成11年12月7日~12月19日・・・・・・・・ 9営業日
③平成11年12月19日~平成12年3月27日・・・65営業日
④平成12年3月27日~4月11日・・・・・・・・・12営業日(1日ずれ)
⑤平成12年4月11日~4月27日・・・・・・・・・13営業日
⑥平成12年4月27日~5月18日・・・・・・・・・13営業日
昨年11月25日からの日経平均の一連の波動の日柄(時間)を分析すると驚くことに、④を除いてすべて、一目均衡表の基本数値となっています(⑥は確定していない)。
■ 歴史は繰り返す
⑥の今のところの終点候補である5月18日は、一目均衡表の重要な『変化日』でもありましたが、同時に米国で話題となっていた世界一のSNS企業であるフェイスブックの上場日でもありました。
米国では企業の大型上場に向けて、全体相場が下落基調となり、上場日以降に反転するという傾向が見られていました。
原因は米国証券業界の商慣習があるのですが、大型上場する人気企業の株を買うために他の株式を売って現金を作るという過程で株式市場全体の需給関係が悪化するというものです。
古くはアップルの上場、最近ではグーグルの上場でナスダックは底値となり、株価が反転した経緯があります。
今回は一目均衡表の『変化日』と米国のフェイスブックの上場日が重なるという偶然もありました。また、今週はギリシャ問題で23日にEU首脳会談が開かれるなど相場が反転する材料がチャートの世界の予測ではなく、現実世界でも出て来るかもしれません。
ギリシャ問題は総選挙も控えていることから、どちらに転ぶかはまだ不透明ですが、一目均衡表の『変化日』に相場反転を期待したいと思います。
レポート担当:ケンミレ株式情報 新美 文康