■今回のまとめ
1)世界同時株安に反応して、VIX指数が急騰した。
2)日経平均は東日本大震災直後の水準まで下がった。
3)過去の動きを見ると、下げ止まる可能性も考えられる。
本日の日経平均は、前場で200円を超える大幅反落となりました。値下がり銘柄数も1500を超える全面安の展開で、欧米株式市場に加えて中国などのアジア市場も全面安となっていますので、まさに世界同時株安の状況です。
ギリシャがユーロから離脱するかもしれないという影響がわからないことが背景にあることが大きいといえますが、さらに米国で発表された5月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、4月の景気先行指数がそろって市場予想を下回り、米国景気が後退することが警戒されました。
そして、株価の動きだけではなくて、「投資家の恐怖心理の指数」といわれる「VIX指数」を見ますと、昨日は大きく反応していますので、投資家の下値不安が強くなっていることがわかります。
VIX指数とは、シカゴ・オプション取引所が作った「ボラティリティ・インデックス」の略称で、S&P500を対象にしたオプション取引の値動きから算出して公表されている指数です。
株式市場の先行きが不透明で株式市場が下がり出すと数値が大きく上昇する傾向が強いため、「投資家の不安心理を示す指数=恐怖指数」といわれています。
これまでのVIX指数は上がってはいたものの、それほど極端な反応はしていませんでした。しかし、昨日は急激に反応しています。昨年3月の東日本大震災があったときや、8月の世界同時株安のときと比較するとわかりやすいと思います。
昨年8月のときは、欧州不安を背景に、トリシェECB総裁が欧州の景気について下振れリスクが高まっているとの認識を示したり、S&Pが米国債の格付けを引き下げたという動きでした。
今回は、ギリシャのユーロ離脱の可能性という、とても大きな不透明要因で世界同時株安となっているようです。昨年8月の動きに近づくとなれば、VIX指数の水準を見れば、さらに世界的な下落が続く可能も考えられます。
しかしながら、国内の株式市場は「大きな節目」に到達したのではないかと感じています。何かといえば、「東日本大震災の暴落に並んだ」ということです。
2011年の東日本大震災が起きた日の終値が10254円、3月15日につけた終値ベースの安値が8605円でした。
今年の高値は、東日本大震災が起きた日の終値とほぼ一緒の10255円です。高値をつけたときには、日本経済は大震災前に戻ったといった解説もありました。しかしながら、本日の下落によって「大震災が起きたときに戻ってしまった」と考えられます。
もちろん、3日で下がった暴落と1ヶ月以上かけて下がった点は違いますが、大震災直後に株価が戻ってしまったのは、大きな意味があると考えられます。
また、チャートを見ると、昨年8月の世界同時株安の日経平均は、10200円程度から8400円程度で一旦下げ止まっています。
原発事故もあった先が見えない天変地異、欧州、米国発の世界同時株安、そして今回と並べてチャートで見ると、単純にいって日経平均は「1万円ちょっとから8000円の大台の中盤」を往来しているといえます。
外部環境を見れば不安だらけですが、「安心すると高値でも買い、不安だと安値でも売る」のが投資家の心理だと思います。ギリシャ問題を楽観しているわけではなりませんが、過去の動きからわかるのは、「慎重な強気」で相場に臨んでもよいのではないかということです。
レポート担当:ケンミレ株式情報 市原 義明