続編への旅 No.3 2010年初夏の旅
まばゆい日差しの中のセバスチアン像
ガボルツハウゼンという小さな村にその木彫はありました。けれどもここまでどのように列車やバスで行けるのか皆目見当がつかず、メールで尋ねてみると、アンドレアス・ブラッハルツさんという主任司祭さんがご親切にメールをくださいました。
「バスで終点まで来てもその先まだ5kmあるので、タクシーかルーフバス(あらかじめ電話で頼んでおくと来てくれる小型バス)でないと来られないのですよ。ですから私が迎えに行きます。」
と。私は感激して、
「それでは赤い帽子を被って黒いリュックサックをしょってバス停でお待ちしています。」
と返信したところ、再度こんなメールが届きました。
「いえいえ、ご心配なく。この村に日本人はまだ来たことがありませんから見たらすぐあなただとわかりますよ。」
そうなのか、私は日本人として初めてこの村の教会を訪ねることになるんだなと深い感慨を覚えたものです。
当日、キッツィンゲンから列車に乗ってバート・ノイシュタットまで行き、バスで終点のKönigshofen i.G.で降りると、恰幅の良い司祭さんが私に手を挙げて近づいてきました。この方がブラッハルツさんだとすぐにわかり、優しそうなお顔にホッとしました。やはり「文は体を表す」ですね。メールが優しい方はやはりお人柄も優しいと、リーメンシュナイダーの追いかけの旅を通じて思うようになりました。車で出向いた先は聖ローレンティウス教会なのですが、そこにはアーノルド・ヴェルナーさんという方が待っていてくださって、ようやくブラッハルツさんが地域の取りまとめ役なのだとわかりました。教会の責任者はこのヴェルナーさんだったのです。
どうぞどうぞと中に導かれて入っていくと、ガラス戸をあけて目的の聖セバスチアン像を持ち上げます。写真を撮りやすいように出してくださったのだなとありがたく思っていると、「こっちの方が明るくて良く写せるでしょう」と、さっさと外に向かっていくではありませんか。教会の脇にある出口を出たところにセバスチアン像を置き、さあ、どこからでもどうぞ、回転させて欲しかったら言ってくださいねと言うのです。まぁ、絵画ではないので多少日光に当たっても傷むものではないからなのかなと思ったのですが、あとから聞いたところによれば、以前は年に一度大きな行事があって、聖セバスチアン像を外に出し、街中を引いて歩いたとのこと。それで、外に持ち出すことに抵抗がないようでした。お二人がなにやらおしゃべりしている間に撮影させていただいた写真を載せておきます。
<作品写真36 聖セバスチアン像 正面> <作品写真37 聖セバスチアン像 背面>
Heiliger Sebastian 1515-1520 Tilman Riemenschneider Werkstatt
Katholische Filialkirchenstiftung St. Laurentius, Gabolshausen
<ガボルツハウゼンの聖ローレンティウス教会>
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