梅様のその日暮らし日記

その日その日感じた事や世間で話題の事について自分なりの感想や考えを書いていきます。

犬だロバだ・完結編

2016-12-03 14:43:09 | 日記
   1998年7月、親善試合のためにアメリカに渡った体操競技の桑(サン)という女子選手がいました。桑選手はこの時跳馬の練習中に落下し、半身不随、車椅子の人となりました。この桑選手が最も愛した絵があり、それはある画家から贈られた、ロバの絵でした。桑選手は自分を武骨に黙々と歩むロバに見立てて、体操の国家代表から一転、自力では寝返りすらもできなくなってしまった自分を鼓舞したのです。

   ロバは、英語ではドンキーと言いますね。馬と違って落ち着いた性格なのが特徴の一つです。これに「鈍気」という感じを当てても良いくらい、黙って黙々と荷車を引いてくれる有り難い家畜です。日本ではあまりロバは普及しませんでしたが、戦後の一時期、ロバのパン屋さんという、ロバが引く荷車で移動販売するパン屋さんが話題になったことがあります。

   ロバの本業はもともと運搬や農作だったのですが、中国でも近代化のあおりをうけて、ロバの数そのものが減少しました。この20年で、中国のロバの数は1,100万頭から600万頭に減少しているそうです。しかし、中国人にとって、ロバは大変美味な食肉なのだそうです。また、その皮からは、滋養強壮・不眠症治療・若さの意地といった、様々な効能を持つ漢方薬が抽出されます。従って、食肉としてのロバの需要は、減ることがありません。

   私たちの知識では、「犬を食うのは知ってたけどロバも食うのかよ!」というのが正直なところだと思いますし、実際何回となく中国に行っても、ロバの肉が食卓に上がることはありませんでした。しかし、中国人は確かにロバを食べるのです。では国内で半減してしまったロバの肉を、どうやって調達するのか。答えはアフリカにありました。

   ニジェールからは、今年だけで八万頭のロバが中国向けに輸出され、ついにロバ輸出禁止処置が打ち出されたそうです。またブルキナファソでは、この半年間で45,000頭が中国企業に買い占められ、同様に輸出禁止令が出されました。現地でも、ロバが儲かるとなればロバ飼育に重点を移す業者が現れるのは当然の成り行きで、他の家畜からロバの飼育にシフトする業者が相次いだため、羊や牛肉の供給が減り、食肉全体の「価格の暴騰を招いたそうです。現地の一般人にとっては、たまったものではないでしょう。

   一方中国側はこれに対してどう言っているかといえば、輸出国側に管理システムが確立していないのが原因だとして、自国側の「爆買い」については反省している気配がありません。供給国側がきちんと管理して国内問題が起きないようにするのが筋だとしている訳です。私に言わせれば、中国人がロバを食べたいならば、自国のロバが20年で半減するような管理体制こそが問題なのであって、国内でロバの増産をすべきだと思うですが、中国人にはそういう発想は無く、国内に無ければある所から仕入れれば良いという、実に身勝手な方法で自らの胃袋を満たそうとするのです。

    「中国人が通った所には草も生えない。」と言いたくなるほど、中国のやり口は傲慢で横暴です。そもそも黄河流域では中国文明がかつて栄えた土地は長年のずさんな管理によって、どんどん砂漠化が進行しているのですから、こういう言い方をしてもあながち間違っているとは言えません。私が以前行った際にも、黄河流域で、見渡す限りの、地平線のかなたまでのトウモロコシ畑が、実をつける前に完璧に枯れつくしているのを目の当たりにしたことがあります。黄河周辺の地下水位は、1,000メートルの深さまで下がっているのです。

    自分の所が駄目になったら、そこを何とかして回復させるという発想と努力が中国人にはありません。国内が駄目なら外国があるさ、という安易にして横暴なやり口が彼らの、数千年来唯一の、得意技なのです。その結果相手国が悲惨な状態になっても、それはそっちで何とかしろ、で終わります。

    一方、中国の豚肉の消費量は世界一です。私は中国各地をかなり広範囲に回りましたが、今のところ大規模な養豚場を車窓からでも見かけたことがありません。そこで言いたいのですが、多産でもないロバを食い尽しかねない暴挙を控え、食肉用家畜として優等生である豚の大幅増産を計ったらいかがなものでしょうか。他国の環境や経済を破滅に追い込み兼ねないやりたい放題を反省して、協調路線に転ずるのが大国の矜持というものではないでしょうか。いや、それでも我々はロバが食べたいのだと彼らが言い張ることは、間違いないのですが。