金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

273:寺田克也・穂村弘 『課長』

2006-12-25 13:23:52 | 06 本の感想
寺田克也・穂村弘『課長』(ヒヨコ舎)
★★☆☆☆

イラストレーター・寺田克也と歌人・穂村弘のコラボ絵本。
穂村弘の名前で検索かけて借りてきたのですが、
いったいどんな本だかまったく知らなかったので、
最初目を通したときは「なんじゃこりゃ!」。
あとがきで、寺田氏の絵に穂村氏が勝手に文章をつけるという
試みだったことがわかり、それなりに意味を見出せたのだけど……
寺田克也ファンは読まれたし。
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272:酒見賢一 『陋巷に在り〈2〉』

2006-12-23 22:15:22 | 06 本の感想
酒見賢一『陋巷に在り〈2〉呪の巻』(新潮社)
★★★★☆

魯の国を自らの支配下におこうと、呪術と武力をもって
暗躍していた陽虎の野望は阻止された。
平和が訪れたと思われたが、まもなく、孔子と同じく
礼の塾を開いていた少正卯一派が不穏な動きをみせる。
願回は一派の悪悦に興味を持たれ、その妹・子蓉の術に
かかってしまうことになるが……。

中国ものの宿命なんでしょうか……人の名前が覚えられなくて
主人公周辺以外の登場人物はもうだれがだれだか……
陽虎の謀反の顛末が描かれた前半は、説明的文章に辟易して
大部分を読み飛ばしてしまったのだけれど、後半、
少正卯一派にスポットライトがあたりはじめてからが
俄然おもしろい!
早く次巻が読みたい

それにしても、孔子が小物に見えて仕方ない。

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271:白岩玄 『野ブタ。をプロデュース』

2006-12-21 22:23:05 | 06 本の感想
白岩玄『野ブタ。をプロデュース』(河出書房出版)
★★★★☆

文藝賞受賞作。
かなりアレンジを加えてドラマ化もしていたようですね。

説明しすぎな主人公の一人称に最初は辟易したし、
小説で(笑)ってなんだよ昔のティーンズハートかよ、と
思っていたのだけど(ハートとか☆が飛んでませんでした?)、
「野ブタ」が登場してからはスピード感が増して
文体も気にならなくなり、たいへんおもしろく読めました。
後半の展開には、後味の悪さから「ええー…」と思ったけれど、
それなりにうまく締めてあるなという感じ。
キャラクターはともかくとして、ビジュアル的な女の子の好みは
作者と合いそうだ。
色白・ロングヘア・美少女……いいですね

主人公の内面のぐたぐたは、
別にダークだとも鬱屈してるとも思わない。
まわりとうまくやっていくための演技とか、自分の殻とか、
児童文学やライトノベルでも、もうすでに使い古されてしまった
ネタじゃないかという気がする。

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270:アンソロジー 『Teen Age』

2006-12-18 11:12:30 | 06 本の感想
アンソロジー『Teen Age』(双葉社)
★★★★☆

十代の恋や友情をテーマとした7編からなるアンソロジー。
執筆メンバーは角田光代、瀬尾まいこ、藤野千夜、椰月美智子、
野中ともそ、島本理生、川上弘美。
知っている作家さんばかりなので期待できそうだ……と読んでみる。
ものすごくインパクトのある好きな作品はないのだけれど、
アンソロにしてはめずらしく、「なんじゃこりゃ!」的ハズレがない。
どの話もきっちりと作品としてまとまっていて、
いろんなテイストが楽しめ、お得感アリの一冊。
瀬尾まいこ「狐フェスティバル」、椰月美智子「イモリのしっぽ」の
恋愛に突入してもおかしくないのだけれどそうならない、
曖昧な空気がもどかしくてよろしい。
椰月さん、デビュー作『十二歳』では
それほどのめりこめなかったのだけど、いい味出している。
今後に期待。

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269:三浦しをん 『三四郎はそれから門を出た』

2006-12-15 14:21:01 | 06 本の感想
三浦しをん『三四郎はそれから門を出た』(ポプラ社)
★★★☆☆

雑誌や新聞に掲載されていたコラムやエッセイを集めたもの。
本に関する文章には本への愛があふれていて、
紹介されている本すべてを読んでみたいなあと思わせる。
そして挙げられているのは氷山の一角なのだろうけれど、
三浦さんは幅広いジャンルの本を読んでいるのだなあ。
何度か名前を挙げられている中井英夫、
籐子ちゃんも読んでた畠中恵あたりは近いうちに読みたい。

本以外に関するエッセイはどうも切れがない感じで、
無理やりオチをつけたりまとめたりした印象を受けてしまった。
熱の入り方が段違い

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268:奥田英朗 『空中ブランコ』

2006-12-14 00:17:16 | 06 本の感想
奥田英朗『空中ブランコ』(文藝春秋)
★★★☆☆

直木賞受賞作。
イン・ザ・プール』に続く精神科医・伊良部シリーズの第二弾。
おもしろいのだけど、伊良部のはちゃめちゃキャラクターに
慣れてしまったのか、一作目ほどの印象はナシ。
一作目とくらべると患者の職業が派手になり、
職業に付随した悩みがメインに。
「義父のヅラ」のたわいないいたずらにふふっと笑ってしまった。
最後の「女流作家」の読後感もよし。

ちょっとインパクトが薄れてきたなあということで、三作目は保留。
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267:大森望・豊崎由美 『文学賞メッタ斬り!リターンズ』

2006-12-14 00:02:21 | 06 本の感想
大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り!リターンズ』(PARCO出版)
★★★☆☆

滝本竜彦氏は結婚してしまったのか!?
「ほむほむ(穂村弘)といっしょじゃん!」とありましたが、
まさにまさに。
まともにならないでほしい。

そんな衝撃を受けつつ第二弾の文学賞受賞作のブックガイド。
「選評、選考委員を斬る!」はあいかわらずおもしろかったのだけど、
今回はちょっといやな気分になってしまうことが多かったなあ。
特に島田雅彦をまじえた対談のところと、芥川賞&直木賞のところ。
もちろん読む能力と書く能力は別のものだし、
読者としては作品の出来がすべてだというのはわかる。
底辺を視野に入れない相対評価が前提だというのも
あるのだろうけど……。
完全な素人が無邪気に好き勝手言うのはともかく、
出版に関わっている人たちがこんなに作品を
こきおろしちゃえるものなんだ……と暗澹たる気分に。
たかみーはそんなにダメかよ、という個人的嗜好が
反発を感じた要因かもしれないけど。

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266:よしもとばなな 『デッドエンドの思い出』

2006-12-12 10:36:51 | 06 本の感想
よしもとばなな『デッドエンドの思い出』(文藝春秋)
★★★★★

銀杏の葉っぱが街路に散り積もっているのを見て思い出し、
久々に再読。
この装画のあらわす幸福感って、なんだか圧倒的。
「よしもと」さんになってからの本ではいちばん好きで、
何度読んでも「いい!」と思える短編集。
きらいな話というのが一つもないのだけど、
「幽霊の家」「あったかくなんかない」「デッドエンドの思い出」が
特に好き。
ドラえもんコミックの解説も読んだ記憶があるのだけど、
よしもとさんのドラえもん話にはなぜかほろっときてしまう。

ちなみにドラえもんのアニメスペシャルでよく放送される、
亡くなったおばあちゃんに会いに行く話にわたしは大変弱く、
いつも泣いてしまう。

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265:長嶋有 『猛スピードで母は』

2006-12-12 10:21:52 | 06 本の感想
長嶋有『猛スピードで母は
★★★☆☆

「サイドカーに犬」と芥川賞受賞の「猛スピードで母は」を収録。
どちらも無駄のない筆致で淡々と描かれた物語。

「サイドカーに犬」は弟との久々の再会に、子ども時代の母の家出と
その間家に来ていた父の恋人洋子さんとの交流を回想するお話。
主人公が女の子である必然性が感じられない、というか
全然女を感じさせるところがなくて、
洋子さんが女の子だと口にするまで男の子だと思ってました。
サイドカーに乗った犬のエピソードは、
思いがけず鮮やかなイメージで印象に残る。

「猛スピードで母は」は離婚した母と小学生の男の子の二人の生活、
そこに訪れる母の恋人とのやり取りを描いた物語。
「突き進む」という感じを発散させ、ただかっこいいだけじゃなく
悲しみをにじませる母と、悟りの境地に近い状態で
それを見ている主人公の日々。
わかりやすい起伏とか単純なテーマはないのだけれど、
なにか小さく心に残るものがある。
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264:宮部みゆき 『あかんべえ』

2006-12-11 13:05:10 | 06 本の感想
宮部みゆき『あかんべえ』(PHP研究所)
★★★★☆

これも『だらしな日記』で挙げられていたもの。
料理屋「ふね屋」をはじめることになった両親のもと、
わけありの土地で暮らすことになったおりん。
生死の境をさまよったのをきっかけに「お化けさん」たちが
見えるようになった彼女は、家に居つく「お化けさん」たちとともに
ふね屋で起こったお化け騒動にまつわる謎を追うことになる。

最初の前書き的な説明部分がかなり苦痛で、本の厚さを思って
投げ出しそうになったのだけど、話が動き出してからは
俄然おもしろくなって一気に読了。
玄之介やおみつのキャラクターもいい味出している。
次々に新たな真実が明るみに出て、それがまた別の真実を呼ぶ……
というスピードのある展開で飽きさせない。
やや詰め込みすぎで登場人物も多いかなあという感じだけど、
書き込みについて物足りないと思わせるこのくらいが
ちょうどいいのかも?
謎が集約されていくラストへの展開はさすが!というところ。

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