金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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現在、記事の整理中。

266:よしもとばなな 『デッドエンドの思い出』

2006-12-12 10:36:51 | 06 本の感想
よしもとばなな『デッドエンドの思い出』(文藝春秋)
★★★★★

銀杏の葉っぱが街路に散り積もっているのを見て思い出し、
久々に再読。
この装画のあらわす幸福感って、なんだか圧倒的。
「よしもと」さんになってからの本ではいちばん好きで、
何度読んでも「いい!」と思える短編集。
きらいな話というのが一つもないのだけど、
「幽霊の家」「あったかくなんかない」「デッドエンドの思い出」が
特に好き。
ドラえもんコミックの解説も読んだ記憶があるのだけど、
よしもとさんのドラえもん話にはなぜかほろっときてしまう。

ちなみにドラえもんのアニメスペシャルでよく放送される、
亡くなったおばあちゃんに会いに行く話にわたしは大変弱く、
いつも泣いてしまう。

コメント (2)
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265:長嶋有 『猛スピードで母は』

2006-12-12 10:21:52 | 06 本の感想
長嶋有『猛スピードで母は
★★★☆☆

「サイドカーに犬」と芥川賞受賞の「猛スピードで母は」を収録。
どちらも無駄のない筆致で淡々と描かれた物語。

「サイドカーに犬」は弟との久々の再会に、子ども時代の母の家出と
その間家に来ていた父の恋人洋子さんとの交流を回想するお話。
主人公が女の子である必然性が感じられない、というか
全然女を感じさせるところがなくて、
洋子さんが女の子だと口にするまで男の子だと思ってました。
サイドカーに乗った犬のエピソードは、
思いがけず鮮やかなイメージで印象に残る。

「猛スピードで母は」は離婚した母と小学生の男の子の二人の生活、
そこに訪れる母の恋人とのやり取りを描いた物語。
「突き進む」という感じを発散させ、ただかっこいいだけじゃなく
悲しみをにじませる母と、悟りの境地に近い状態で
それを見ている主人公の日々。
わかりやすい起伏とか単純なテーマはないのだけれど、
なにか小さく心に残るものがある。
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