伊東潤『悪左府の女 (文春文庫)』
★★★☆☆3.5
【Amazonの内容紹介】
悪左府・藤原頼長から女官に下された密命とは?
平安ピカレスク小説誕生!
平安時代の末、藤原の氏の長者・藤原頼長は
平安ピカレスク小説誕生!
平安時代の末、藤原の氏の長者・藤原頼長は
冷徹な頭脳ゆえ「悪左府」というという異名で呼ばれていた。
己の権力争いの道具として頼長が目を付けたのは、
己の権力争いの道具として頼長が目を付けたのは、
下級貴族の娘だった。
琵琶の名手である娘は下された密命のため
琵琶の名手である娘は下された密命のため
帝の傍に送り込まれる。
時代の変わり目に彼女が見たものとは。
謎とスリルに満ちた長篇宮廷小説。
時代の変わり目に彼女が見たものとは。
謎とスリルに満ちた長篇宮廷小説。
****************************************
ずっと気になりつつも、読めていなかった本。
「悪左府の女」というから、頼長の愛人なのかと思ったが、
精神的にも肉体的にも通じあうところは一切なし!
ヒロインは「名にし負う醜女」と言われるが、
ヒロインは「名にし負う醜女」と言われるが、
当時の美人の類型からはずれているというだけで、
おそらく現代の感覚だと美人の類。
理解が早く賢いけれども、
怒りにまかせて人を陥れたりもする。
「モテすぎ、愛されすぎだろ!」と
「モテすぎ、愛されすぎだろ!」と
思わなくもないけれど、これはわからないでもない。
といっても、彼女自身が魅力的というわけではなく。
彼女、かなり惚れっぽいんだよね……。
肉体関係持つと惚れちゃうし、
言い寄られると好きになっちゃう。
「自分のこと好きかも?」「押したらいけるかも」
と思わせる人がモテる、というのは現代でもあるので、
次々に言い寄られるのは納得できるのであった。
それにしても武士のあの人、直接帝を手に掛けるとか、
それにしても武士のあの人、直接帝を手に掛けるとか、
恐ろしすぎだよ……。
いや、古代から暗殺されたり、謀殺されたりしてた
いや、古代から暗殺されたり、謀殺されたりしてた
皇族はいたけれど、絞殺するのって相当じゃないか?
ラストには、驚き。
ラストには、驚き。
秘曲にまつわる彼のエピソードを知っていると、
「ヒロインのこの設定はこのためだったのか!」
と腑に落ちて、うれしい。
ちょっと冗長に感じる部分もあったけど、
ちょっと冗長に感じる部分もあったけど、
ラストが鮮やかで好き。
多子の成長ぶりも印象的。