ホセ・クーラはすでに、公表されている2018年の公演スケジュールを終えました。
今年はオペラ公演が少なかった一方で、2つの新しいプロダクションを演出し(プラハのナブッコとエストニアの西部の娘)、そしてカヴァレリア・ルスティカーナと道化師のプロダクション再演(2012年リエージュ初演)がサンフランシスコオペラの開幕を飾りました。
演出家としての活躍が世界的なスケールで広がった年だったと思います。
来年のさらなる活躍が楽しみですが、11月10日現在、来年2019年のスケジュールはまだ公式に発表されていません。いずれクーラの公式HPで発表された段階で、まとめて紹介したいと思います。
とはいえ、いくつか劇場や主催者側によって公表されたオペラやコンサート出演予定もあります。
今回は、そうした来年の新しい取り組みとして明らかになったうちの1つを紹介したいと思います。
それは、指揮者、作曲家としての新たな活動の場として、今後の3年間にわたり、フランスのミュルーズ交響楽団のアソシエート・アーティストになったということです。オケの2018/19シーズン発表で公式に明らかにされ、コンサートの日程も告知されています。
●ミュルーズ交響楽団との新たな協力関係
上の画像はミュルーズ交響楽団のコンサート告知です。
「ミュルーズ交響楽団の新しい友人-ホセ・クーラ、シンフォニーコンサート」と見出しが立っています。
記事のなかでは、「アソシエート・アーティストとしてホセ・クーラは、次の3シーズンにわたってミュルーズ交響楽団に戻り、ミュージシャンとして特別な絆を築く」と紹介されていました。
ミュルーズ交響楽団は、フランスの東部、アルザス地方の工業都市ミュルーズを拠点するオーケストラです。アルザス地方といえば、世界史にもたびたび登場する地名ですね。豊かな農産物、豊富な資源と工業力に恵まれた地域で、それゆえにフランスとドイツの領有争いに繰り返し巻き込まれてきた歴史があります。
こうした地域で、1867年に市民オーケストラから出発したミュルーズ交響楽団は、現在では、フランスの5つある国立歌劇場の1つであるラン国立歌劇場のオーケストラピットを、ストラスブールのオケと交代で務めている、実力ある団体だそうです。
インターネットで検索してみた範囲ですが、ラン国立歌劇場は、日本の二期会とオペラの共同制作をしているなど、日本ともゆかりの深い劇場のようでした。
クーラは、これまで2015年秋からの3シーズン、チェコのプラハ交響楽団のレジデント・アーティストとして活動してきました。
年間3回のコンサートを行い、歌、指揮、作曲作品の初演、編曲など、クーラの多面的な能力を発揮する場として、とても素晴らしい関係と機会をプラハ響とともにつくってきました。プラハ響とのレジデント契約は終了しましたが、引き続き年1回のコンサートを続けることになっています。
それに加え、今回は、フランスのオケとの新たな協力関係です。どんなことが行われるのか、またまた楽しみです。
●2018/19シーズンプログラムの発表
今年6月、ミュルーズ交響楽団が行った、2018/19シーズンプログラムの発表の画像です。オケのフェイスブックに動画も掲載されています。
クーラは同席していませんが、この場で、今後の協力関係についての発表も行われたようです。
次の画像は、シーズンパンフレットから、アソシエート・アーティストとしてクーラを紹介した部分。
こちらは、2019年3月8、9日に予定されている、クーラとの初めてのコンサート紹介部分です。
演目は、クーラが愛する、おなじみのラフマニノフの交響曲第2番をメインに、クーラ作曲の「マニフィカト」、そしてクーラの母国アルゼンチンの作曲家アストル・ピアソラのタンガーソ。
José Cura
Magnificat
Astor Piazzolla
Tangazo
Sergueï Rachmaninov
Symphonie n° 2 Op.27
最後は、シーズンプログラムのなかから、オケの写真を。
堅苦しく整列した写真が全然なくて、音楽を共に楽しもうとするスタンスの若々しい印象のオケです。スターウォーズなど映画音楽をとりあげるなど、音楽を市民に広げる視点をつよく持っているようにも見えます。
そういう点では、クーラの姿勢ともぴったりで、今後の協力関係によって、さらに音楽の豊かさ、楽しさ、素晴らしさを、新しい発想や展開で広げてくれるのではないかと思います。
*画像は、オーケストラのHP、FBなどからお借りしました。リンクをはってありますので、ぜひ直接ご覧いただけるとありがたいです。