人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

2018年 ホセ・クーラ、ドイツとスイスでアルゼンチン音楽のコンサート

2018-11-03 | アルゼンチンや南米の音楽




ホセ・クーラはこの10月(2018年)、ドイツとスイスで、母国アルゼンチン音楽のコンサートを行いました。
クーラ自身の作曲作品を含む、アルゼンチンや南米音楽のコンサートは、クーラがライフワークとしているようで、近年、各地で行われています。

→これまでの南米・アルゼンチン音楽のコンサートについての記事

今回の2つのコンサートに関しては、録画や録音がなく、写真も少ないのですが、とても素晴らしい公演だったようです。
このような、親密な雰囲気の室内楽風のコンサート、ぜひ日本でもやってほしいものです。



クーラのFBに掲載されたコンサートの告知(画像は昨年のドレスデン音楽祭2018の際のもの)




下の動画は以前も紹介しましたが、クーラがノーベル賞詩人ネルーダの詩に作曲した歌曲で、とても切なく美しい愛の歌です。
今回のコンサートのプログラムに入っていたかわかりませんが、たぶん歌ったのではないかと思います。

José Cura: Argentinische Lieder (Dresdner Musikfestspiele 2018)






≪2018年10月7日、ドイツ・キュンツェルザウでのコンサート≫


キュンツェルザウは、シュトゥットガルトの北に位置する人口1万5千人あまりのドイツの都市です。
そしてそこにあるカルメン・ウルト・フォーラムという、2017年7月に完成したばかりの最新の現代的なホールがコンサート会場です。大きな多目的ホールと、最高の音響レベルをうたう中規模の室内楽ホールがあり、その580人収容の室内楽ホールでクーラのコンサートは行われました。

キュンツェルザウには、ドイツの世界的な部品メーカー、ウルト社(ドイツ読みはヴュルト)の本社があり、このホールをはじめ、美術館などの文化施設は、同社の社会貢献として建設・運営されているようです。
そのためか、通常のチケットは25~35€程度(日本円で3~4千円代、公演により少し高い特別設定もあるようです)に抑えられています。しかもこの秋から来年にかけて、クーラの他にも、ブリン・ターフェル、ヴァルガス、オポライス、アンネ=ゾフィー・ムター等、多くの著名な出演者による公演があります。機会があれば、ぜひ行ってみたいものです。





主宰であるオーケストラは、このホールを根拠地としているウルト・フィルハーモニーでした。
ここでのプログラムは、クーラが指揮するドヴォルザークの交響曲第9番と、アルゼンチン歌曲の2部構成だったようです。

写真を見ると、「新世界」の演奏では、フルオーケストラをクーラが指揮し、アルゼンチンの歌の際には、オケを室内楽に再編成し、中央にクーラが位置して、指揮もしながら歌ったようです。このスタイルは、最近のアルゼンチン歌曲のコンサートでは定番になりつつあるようです。

チケットは完売、そして満場の観客から、スタンディングオベーションを受けたそうです。







これらの写真は、オーケストラがフェイスブックにアップしたものをお借りしました。




こちらはフルート奏者の方がFBにアップしたもの。スタンディングオベーションを受けている様子が。




同じくオケのメンバーがアップした写真。
「今夜奇跡が舞台で起こった!!!!!ホセ・クーラ、ありがとう、ダンケ、サンキュー!音楽学校への入学を両親に感謝!」と興奮気味のコメントが添えられています。




オケのコンサートマスターがFBにアップした、リハーサル中の写真。






≪2018年10月13日、スイス・チューリッヒでのコンサート≫






長年にわたってチューリッヒ歌劇場に出演してきたクーラですが、2012年以来、なぜか出演がありません。今回は、歌劇場ではなく、トーンハレ・マーグという会場でのコンサートです。





オケは欧州最古の歴史を持つというヴィンタートゥール・ムジークコレギウム。この夏(2018年7月)のヴィンターツゥールの夏フェス野外コンサートでも共演しました。










とても素晴らしいコンサートだったようですが、残念ながら、あまり写真や音源が公開されていません。
クーラが1枚だけ写真をFBにアップしていますのでそれを紹介します。



夏のコンサートで共演した際も、すぐにオケのメンバーと意気投合したと語っていたクーラ。コンサートでも、冗談もいいあいながらの、とても親密な雰囲気だったようですね。


コンサートを前に、雑誌に掲載されたインタビュー。ドイツ語で、画像のため、こうなると何が書いてあるのか、読みたくても歯が立ちません(苦笑)。





会場のトーンハレは、現在、改修中なのだそうです。そのため、クーラのコンサートは、一時的な仮設会場で、工場か何かだった建物の内部を改装したホールとのことです。とはいえ、仮設でも、非常に音響が良く、移転後も解体せずに利用すべきだという意見も出ているのだとか。
以下の動画は、FBに掲載されている、空き工場が音楽ホールに変身するまでを早送りしたものです。とてもユニークです。




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Dresdner Musikfestspiele 2018




この動画は、5月にドレスデン音楽祭でやはりアルゼンチン音楽のコンサートを行った際の、リハとインタビューです。

何度も紹介していますが、クーラはアルゼンチン出身で、祖父母が、中東レバノン、イタリアとスペインからの移民という一家に生まれました。
そして自分自身も、青年期を軍事政権下とその後の経済的混乱のなかで過ごし、音楽への道を探るために1991年にイタリアに移住しています。
アルゼンチン音楽の特徴は、移民のノスタルジアにあると語っているクーラ。現在の世界における移民や難民の姿も、かつての自らと重さねています。

その後、国際的なキャリアを重ね、トップテノール、アーティストとして成功をかちえたからこそ、アルゼンチン人として、祖国とそのルーツを大切にし、アルゼンチン音楽や南米音楽を知らせることを自らの使命とも考えています。

ノスタルジックなアルゼンチン音楽、クーラのドラマティックな声と表現、そしてクーラの作曲、指揮・・クーラの魅力を全面的に味わえる、こういう小規模な室内楽コンサートを、日本のいずれかのオーケストラに企画していただけないものでしょうか?

今年はアルゼンチンと日本が外交関係を樹立して120周年だったそうです。残念ながらこの節目の年にはかないませんでしたが、ぜひ、オーケストラ、プロモーター、関係各位の皆さま、クーラの招聘をご検討いただけることを、心から願っています。




*写真等はクーラ、オーケストラなどのSNS、HPからお借りしました。

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