ホセ・クーラが演出・舞台デザイン、そして指揮者を務めるエストニア国立歌劇場の新プロダクション、プッチーニの西部の娘は、まもなく、現地時間9月21日夜7時に初日を迎えます。
本番を目前にして、劇場のHPには、さらにリハーサルの写真がアップされ、エストニアのTVやネットニュース、SNSなどで、クーラのインタビューがたくさん掲載されました。
それぞれとても興味深いインタビューなのですが、語学力不足から和訳が追い付かず、いずれまた抜粋して紹介したいと思います。
今回は、今晩初日ということで、とり急ぎ、追加情報を掲載します。
●迫真の演技指導、ジョンソンそのものの演出家クーラ
長年、西部の娘のジョンソンを歌い演じてきたクーラ、演技指導にも熱が入ります。ほとんど主役かと思うような写真がたくさん掲載されています。
こちらがエストニア国立歌劇場のリハーサル紹介ページです。
いくつか紹介を。
ミニーへの思いが高まるなか、強盗という我が身を思い、苦悩するジョンソン。ジョンソンそのものの表情で、熱くミニーを抱きしめる「演出家」クーラ。熱の入った演技指導が、どんなドラマに結実して舞台で展開されるのか楽しみです。
●エストニア国立歌劇場HPの解説文より
リハーサルは進行中であり、あらゆる種類の話題について考えを交換している。
世界中から移住してきた金鉱の鉱夫(ゴールドラッシュの時代)のことは、よく知られている。彼らは皆、愛する人びとと離れなければならなかった。これは誰にとってもよく分かる感覚だ。
ホセ・クーラは語る。
「私は今回、このオペラに取り組んで、これまで考えていなかったことを発見した。例えば、私たちは、愛する人たちから離れたことによる郷愁と憧れについて話し合った。26年前に初めて西部の娘に出演した時、私はそれについて考えていなかった。
しかし、自分自身が移民だ... 1991年にアルゼンチンからヨーロッパにやってきて、母親、父親、兄弟、姉妹を残してきた。すべての愛する人たちを。
私は自分がたった一人であることを知った。どこにいたのかも分からず、証明する文書もない。何もない!しかし私は生き残るためには、移住の決断をせざるをえなかった。アルゼンチンでは指揮者や作曲家として働くことはできなかった。
ヨーロッパの現在の移民問題を危機と考えることもできるだろう。そして政治的な混迷、それらは不運な人々の苦しみを利用している。もちろん、危険な人たちもいる。クレイジーな集団がいるとしても、それは皆がそうなることを意味するものではない。
しかしあなたは、人々が、騒動を引き起こす目的のために、自分の国、家、自分の物から離れて来ていると思うだろうか?
彼らは恐怖を感じているから逃げてきた。もし私たちが、彼らの土地を略奪し、彼らを取り残してしまった戦争を止めることができたなら、彼らが最初にすることは、自分たちの荷物をまとめ、家に帰ることだろう。彼らは自分たちの家を愛しているのだから――それが西部の娘のメッセージだ。
それは政治的な課題だが、芸術や芸術家の仕事は、人々に素晴らしい傑作について考えてもらうことだ。最高の革命家は、常に詩人、芸術家、作曲家だった...」
(エストニア国立歌劇場HPより)
●劇場のインスタグラムより
掲載された舞台リハーサルの写真。元の設定に忠実で、リアルなセット、衣装のように思われます。
最終リハーサルを終えて、穏かな表情のクーラ。いつものゲネプロの日の勝負服「Carpe diem(今この瞬間を楽しめ)」のロゴ入りTシャツを着ています。
●クーラのインスタグラムより、セットを作るスタッフの様子
今回は、演出・舞台デザイン、指揮を担当します。いつもスタッフの仕事に気を配るクーラ。インスタにいくつかセット作成の様子をアップしました。
舞台の様子。西部の荒くれ男たちの胸の内、孤独と故郷を思うノスタルジアを描きたいと語るクーラ。しみじみとした雰囲気が感じられます。
●エストニアのTV報道より、クーラのインタビュー、リハーサルの様子
以下の画像をクリックすると、約2分の動画のページにリンクしています。
クーラ渾身の新プロダクション、エストニアの西部の娘、初日が無事成功することを願っています。