Rechtsphilosophie des als ob

かのようにの法哲学

19刑法Ⅱ(第02回)基本レジュメ

2019-10-03 | 日記
 刑法Ⅱ(各論) 個人的法益に対する罪――自由に対する罪
 第02週 脅迫、逮捕・監禁、略取・誘拐、人身売買、姦淫、住居侵入

 第32章 脅迫の罪
(1)脅迫の罪
1脅迫の罪の保護法益
 害悪の告知によって恐怖感を覚え、
 意思決定の自由・意思活動の自由が危険にさらされる

 保護法益としての「意思決定および意思活動の自由」
 意思決定・意思活動の自由は、自然人・法人の両方に認められる

 これに対して、保護法益を
 意思決定の自由・意思活動の自由が保障されていることへの「安全感」と
 捉えると、その自由の担い手は自然人に限られる。


2脅迫の多義性
 脅迫罪(狭義)   特定の法益への加害の告知
 公務妨害罪(広義) 法益の内容・性質による限定なし
           告知の方法手段も問われない
 強盗罪(最狭義)  被害者の反抗を抑圧する程度を要する


(2)脅迫罪
第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

1脅迫行為
 害を加える旨を告知して脅迫する行為
 →相手方を畏怖させる(恐怖感を覚えさせる)ような害悪の告知
 ただし、相手方が実際に畏怖したことを要しない(判例)
 従って、本罪は個別の被害者の実害の発生を要する「実害犯」ではなく、
 その危険性で足りる「危険犯」として理解されている
 個別の被害者ではなく、一般人を基準に「危険性」の有無を判断

 「失火お見舞い申し上げます」
 「この度は、○○様の突然の訃報に接し、誠に無念で仕方ありません」


2加害の対象
 加害の告知が向けられる対象 本人または親族
 加害の内容 生命、身体、自由、名誉、財産、(貞操)への加害

 生命、身体、自由→その内容から考えて、自然人の生命、身体、自由
 名誉、財産→自然人だけでなく、法人も対象に含まれるか?
 上記の保護法益をめぐる問題との関連性


3告知の内容
 将来において行われるかもしれない害悪
 →過去に起こった害悪の告知は脅迫にはあたらない。
  ただし、過去の害悪が将来に繰り返されることが告知されれば、
  それもまた「将来の戸外悪」」

 告知者がそれを実行できる、左右できる
 →天災、自然災害、吉凶禍福などは実行不可能
  ただし、相手方が迷信家であることを利用して、
  吉凶禍福を説くならば、相手方が畏怖することは十分ありうる。
  脅迫行為に該当するか否かをを一般人を基準にして判断すると、
  吉凶禍を告知しても、一般人ならば畏怖しない
  相手の主観的事情を考慮することは必要であるが、
  それ以前に実害発生の客観的可能性があるか否かが重要

 告知される実害 相手にとって不利益な内容
 それは犯罪によって受ける不利益でなければならないか?
 相手方の要求を退けるために、「警察に訴えるぞ」と告知した

4権利行使と脅迫
 警察に訴える=告訴権
 告訴の意思がないのに、相手方を畏怖させる目的で告訴を予告
 告訴権の濫用(権利濫用論)
 しかし、告訴の意思の有無によって、適法な告訴が脅迫に変わるのは不可解


(3)強要の罪
(強要)
第223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前2項の罪の未遂は、罰する。

1強要行為
 脅迫・暴行による「義務のないことの強要」と「権利の行使の妨害」
 謝罪文まで書く義務がないのに、……
 告訴権者に告訴を中止させる等


2権利行使と強要
 相手方に法的義務がある場合の強要罪の成否
 暴行・脅迫を用いて、相手方に債務の履行をさせ、自己の債権を実現した
 権利行使は「適法」、その実現手段・方法だけが「違法」→暴行罪・脅迫罪
 しかし、権利行使には相応しい手段・方法がある
 暴行・脅迫によっては、権利(債権)は実現されない→強要罪


3未遂と罪数
 脅迫罪 既遂犯
 強要罪 既遂犯・未遂罪

 強盗・恐喝罪、強制性交・強制わいせつ罪との関係
 強要罪との共通性 手段として暴行・脅迫が用いられる
 それによって侵害される法益 財産(財物・利益)・性的自己決定権
 それ以外の法益が侵害された場合→強要罪
 強要罪は一般法、強盗罪・恐喝罪、強制性交罪・強制わいせつ罪は特別法
 特別法を優先的に適用し、それが適用できない場合、一般法を補充的に適用


 第31章 逮捕及び監禁の罪
(1)逮捕および監禁の罪
 保護法益 人の身体の自由のなかでも、行動の自由・移動の自由


(2)逮捕罪・監禁罪
第220条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
1行為の客体としての人
 自然人

 逮捕=行動の自由の制約
 監禁=移動の自由の制約
 それを自覚しえない者でも本罪の行為客体に含まれるか?
 乳児、幼児、精神病者、睡眠中の者、泥酔者


2逮捕・監禁
 逮捕 行動の自由の制約
    人の身体への直接的な有形的方法(流刑力の行使=暴行)
    人に対する無形的方法(脅迫)

 監禁 一定の場所からの移動の自由の制約
    人の身体への間接的な有形的方法
    物理的な隔離状態(部屋に閉じこめる)
    心理的な脱出困難化(出たら撃つぞ)

    風呂の脱衣所から衣服を奪った(羞恥心を利用した脱出困難化)
    監禁罪に該当するほどの脱出困難性あり?

3継続犯
 行動の自由・移動の自由の制限によって逮捕罪・監禁罪は成立
 自由の制限が解消されるまで、成立し続ける(継続犯)

 公訴時効の起算点→犯罪終了時
 継続中に関与  →共犯の成立可能性


(3)逮捕致死傷罪・監禁致死傷罪
第221条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

 結果的加重犯
 法定刑(傷害罪・傷害致死罪との比較)
 逮捕罪・監禁罪の法定刑 「3月」以上「7年」以下の懲役
 傷害罪の法定刑     「1月」以上「15年」以下の懲役
               または「1万円」以上「50万円」以下の罰金
 傷害致死罪の法定刑   「3年」以上「20年」以下の懲役

 →逮捕・監禁致傷罪 3月以上15年以下の懲役
  逮捕・監禁致死罪 3年以上20年以下の懲役


 第33章 略取・誘拐および人身売買の罪
(1)略取・誘拐および人身売買の罪
1略取、誘拐および人身売買の罪の構成
 基本類型 未成年者略取罪・誘拐罪
 派生類型 営利目的略取罪・誘拐罪
      身の代金目的略取罪・誘拐罪
      所在国外移送目的略取罪・誘拐罪

 人身売買罪


2保護法益
 被拐取者の自由

 未成年者略取罪・誘拐罪における親権者・監護権者の権利


(2)未成年者拐取罪
第224条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

1客体
 未成年者(20才未満
 婚姻によって成人として擬制される


2略取・誘拐の行為
 略取
 暴行・脅迫を用いて生活環境から離脱させ、自己・第三者の実力支配下に移転

 誘拐
 欺罔・誘惑を用いて生活環境から離脱させ、自己・第三者の実力支配下に移転

 略取罪・誘拐罪の実行の着手 暴行・脅迫・欺罔・誘惑の開始時点
 既遂時点 自己または第三者の実力支配下に移転した時点

 自己・第三者の実力支配下にいる間は本罪は継続して成立する(継続犯説)
 しかし、略取・誘拐の行為はすでに終了していると解することも可能(状態犯説)
 行為終了後の関与に本罪の共犯が成立するか否かの問題

3被害者の同意
 被拐取者=未成年者本人の同意
 未成年者の親権者・監護者の同意

 同意能力のある本人が同意、しかし監護権者は不同意→違法性阻却あり
 監護権者が同意し、しかし本人は不同意→監護権の濫用→同意無効→違法性阻却なし


(3)営利目的等拐取罪
第225条 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

1客体
 未成年者・成年者の両方を含む

 営利等の目的による未成年者略取罪・誘拐罪の加重類型
 営利等の目的による行為客体を成年者へも拡張

2目的
 営利目的 略取・誘拐によって利益を得る目的
      被拐取者を働かせ、利益を得る目的

 わいせつ目的 被拐取者の性的自由(性的自己決定権)を侵害する目的

 結婚目的 法律婚・事実婚をする目的

 生命・身体加害目的 例:移植のための臓器摘出の目的

 目的  略取・誘拐の行為の違法性を根拠づける主観的違法要素=構成的身分


(4)身の代金目的拐取・要求罪
第225条の2 近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
2 人を略取し又は誘拐した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、前項と同様とする。

1安否を憂慮する者
 親権者との密接な人的関係のために、その安否を親身になって心配する者


2予備と解放減軽
 未成年者略取罪・誘拐罪、営利目的等略取罪・誘拐罪
 既遂罪と未遂罪

 身の代金目的略取罪・誘拐罪
 既遂罪・未遂罪・予備罪(処罰領域の前倒し化)


 公訴の提起前に被害者を安全な場所に解放 刑の必要的減軽
 量刑判断は一般的には裁判官の裁量に委ねられる
 ただし、身の代金目的略取罪・誘拐罪が既遂に達し、
 公訴提起前に被害者を安全な場所に解放した場合には、
 裁判官は量刑判断において刑の減軽しなければならない。
 公訴提起前の時点で、被害者を解放してくれれば、
 刑法は必ず刑を減軽すると犯人に約束。
 無期懲役は有機懲役へ、3年以下の懲役は1年6月の懲役へと減軽


(5)所在国移送目的拐取罪
第226条 所在国外に移送する目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、2年以上の有期懲役に処する。

(6)人身売買罪
1人身売買罪
第226条の2 人を買い受けた者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2 未成年者を買い受けた者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
3 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を買い受けた者は、1年以上10以下の懲役に処する。
4 人を売り渡した者も、前項と同様とする。
5 所在国外に移送する目的で、人を売買した者は、2年以上の有期懲役に処する。

2被略取者等所在国外移送罪
第226条の3 略取され、誘拐され、又は売買された者を所在国外に移送した者は、2年以上の有期懲役に処する。

3被略取者引渡し等
第227条 第224条、第225条又は前3条の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2 第225条の2第1項の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され又は誘拐された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
3 営利、わいせつ又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、又は蔵匿した者は、6月以上7年以下の懲役に処する。
4 第225条の2第1項の目的で、略取され又は誘拐された者を収受した者は、2年以上の有期懲役に処する。略取され又は誘拐された者を収受した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、同様とする。

5未遂罪
第228条 第224条、第225条、第225条の2第1項、第226条から第226の3まで並びに前条第1項から第3項まで及び第四項前段の罪の未遂は、罰する。


6解放による刑の減軽
第228条の2 第225条の2又は第227条第2項若しくは第四項の罪を犯した者が、公訴が提起される前に、略取され又は誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽する。

7身の代金目的略取等予備
第228条の3 第225条の2第1項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

8親告罪
第229条 第224条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した第227条第1項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。


 第22章 姦淫の罪
(1)姦淫の罪
 性的自由に対する罪

(2)強制わいせつ罪
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

1客体
 13才以上の人
 13才未満の人

2わいせつ行為
 わいせつ行為
 性交等の行為は含まれない

3暴行・脅迫
 強制わいせつ罪=反抗が困難な程度の暴行・脅迫+わいせつ行為
 例:脅して、相手方の性器を触る

 相手が13才以上の場合には暴行・脅迫の手段行為が必要
 13才未満の場合、暴行・脅迫を要しない

 では、性器を触る行為しか行われなかった場合は?
 反抗を困難にする程度の性器への接触であれば、本罪成立。
 すれ違いざまに瞬時に触れただけの場合、本罪は不成立(暴行罪どまり)。


4故意と内心傾向
 年齢の錯誤 13才未満の相手を13才以上だと錯誤し、わいせつ行為だけを行った。
 事実の錯誤→強制わいせつ罪の故意なし

 13才以上の人を13才未満だと錯誤し、わいせつ行為を行った。
 客体の不能→13才未満の人への強制わいせつ罪の未遂?

 わいせつ行為は、性的意図という内心傾向が外部的に表された行為?
 性的意図ではなく、復讐心から、相手を裸にして写真を撮影した行為
 判例の変更 性的意図の必要説から不要説へ


(3)強制性交等の罪(強姦罪)
第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門(こうもん)性交又は口腔(こうくう)性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

1主体と客体
 客体は改正前までは女子
 主体は改正前までは男子

 現在は性別による区別なし

2行為
 姦淫→性交等
 性交(性器性交:従来までの「姦淫」)
 肛門(こうもん)性交(従来までは「わいせつ行為」)
 口腔(こうくう)性交(従来までは「わいせつ行為」)

3実行の着手
 暴行または脅迫の開始


(4)準強制わいせつ及び準強制性交等の罪
第178条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

1行為
 心神喪失の状態
 抗拒不能状態

 これらの状態の利用=暴行・脅迫による反抗の困難化と等しい意味


2錯誤の効果
・性交の意味や相手方の誤認
 医師から「性交が可能であれば、完治している」との説明を受けて、
 錯誤に陥り、医師と性交することに同意した場合

 相手が他人であるにもかかわらず、夫であると錯誤して、性交に同意した場合

 同意は無効→準性交罪の成立

・性交目的の誤認
 「一流のモデルになるためには、大胆に裸になることも必要だ」と欺かれて、
 裸になることに同意した
 同意は有効
 裸になる目的を錯誤しているが、裸になることそれ自体は正確に理解している


(5)監護者わいせつ・監護者性交等の罪
第179条 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例による。

1行為客体
 18才未満の人

2行為主体
 監護者

3監護者であることによる影響力があることに乗じた
 監護者の影響力の有無
 わいせつ行為や性交等に応じなければ、監護されなくなるおそれ

 同意していないが、
 明示的に拒絶しにくい(実質的には不同意)

 とはいえ、暴行・脅迫を手段としていないし(強制わいせつ・強制性交不成立)、
 心神喪失や抗拒不能の状態にあるわけでもない(準強制わいせつ・強制性交不成立)

 この同意に基づかないわいせつ・性交を
 監護者がその影響力に乗じて行った場合にだけ処罰する


(6)未遂罪
第180条 第176条から前条までの罪の未遂は、罰する。

 着手時期 手段行為である暴行・脅迫の開始時期

 暴行・脅迫を伴わない場合、わいせつや性交に着手し、それを遂げる前の時期


(7)強制わいせつ等致死傷
第181条 第176条、第178条第1項若しくは第179条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
2 第177条、第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は6年以上の懲役に処する。

1因果関係
 致死傷と因果関係にあるのは、どの行為か?

 基本犯の行為(手段行為である暴行・脅迫とわいせつ・性交)との因果関係

 随伴説 基本犯の行為だけでなく、それに随伴して行われる行為との因果関係
 機会説 基本犯が行われる機会に行われた行為

 住居侵入し、準強制わいせつの既遂・未遂成立後に逃走する際に被害者を負傷させた

2死傷の故意
 結果的加重犯
 基本犯(強制わいせつ罪など)を故意に実行したが、
 死傷については故意はなかった

 死傷につき故意がある場合
 本罪を結果的加重犯と捉えると、
 強制わいせつ罪と傷害罪、・殺人罪の観念的競合?
 強制わいせつ罪と殺人罪の観念的競合?

 それとも、
 強制わいせつ致傷罪と傷害罪の観念的競合?
 強制わいせつ致死罪と殺人罪の観念的競合?
 通説・判例は後者の見解


 第12章 住居を侵す罪
(1)住居を侵す罪
1保護法益
 憲法 住居の不可侵性(憲法35)

 権利としての住居
 戦前
 旧住居権説
 住居権を有するのは家父長のみ

 戦後
 平穏説(平穏侵害説)
 新住居権説(意思侵害説)

2客体
 住居
 邸宅
 建造物(囲繞地・いにょうちを含む)
 艦船

(2)住居侵入罪
第130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
第131条 削除

1侵入行為
 住居検者の意思に反する立ち入り(住居権説)
 平穏でない立ち入り(平穏説)

 条文の配列によれば、本罪は社会的法益に対する罪
 それを個人の自由に対する罪として捉え直す試み


2同意と錯誤
 同意の効果
 同意は一般に超法規的違法性阻却事由
 ただし、同意があることが、
 住居への立入の「正当な理由」にあたると解されるなら、
 同意は住居侵入罪の構成要件該当性を否定する理由になる。

 居住者の一部の者の同意でもかまわないか?

 欺かれて同意した場合、それは犯罪不成立の効果を持つか?

 個別の住宅の場合
 不特定または多数の人が自由に出入りできる施設の場合


(3)不退去罪
 誰の、どのような不退去が処罰されるのかが法定されている
 真正不作為犯

 退去しない間は本罪が成立する(継続犯)


(4)未遂罪
第132条 第130条の罪の未遂は、罰する。