ハマボッス(浜払子)
Lysimachia mauritiana
サクラソウ科オカトラノオ属
東南アジア、太平洋諸島の熱帯から温帯の海岸に広く分布する2年草。茎は基部で数本の枝に分かれ直立し、しばしば赤味をおびる。葉は厚く多肉で互生し、倒卵形で先は鈍形または円形、全縁で光沢がある。茎の先に総状花序をつくり、葉腋に1つの白い花を密につける。花期は5~6月。花冠は筒状で先端は5つに分かれている。北海道から沖縄までの海岸で生育している海浜植物だが、自然な海岸線が減少している分、目にする機会は減っているのかもしれない。
和名は、浜辺に生え、花序が払子(仏教の僧侶や道教の道士が携行している埃や蚊蠅を払うための道具)に似ていることに由来する。属名 Lysimachia は古代マケドニア王国の将軍で後に王となったリュシマコス(B.C. 360 - B.C. 281)の名にちなむ。伝説によると、リュシマコス王がたけり狂った牡牛におそわれ、あわやというときに、この属の植物を与えたら、その牛が鎮まったという。または、lysis + macheで、「終わる、ほどける」+「競争、争い」の意味。
オカトラノオ属は新エングラー、クロンキストなど伝統的な体系ではサクラソウ科に属するが、APG植物分類体系の第1版・第2版では分子系統学に基づきヤブコウジ科(Myrsinaceae)に含めていた。しかし、第3版ではヤブコウジ科を独立させずに広義のサクラソウ科に含めたので、オカトラノオ属もサクラソウ科に戻っている。
2024年5月22日 神奈川県横須賀市観音崎公園