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植物観察)2024年北海道バイケイソウ花成個体数調査(速報)

2024-06-21 14:47:04 | 植物観察記録

2024年6月16日~19日に北海道でバイケイソウ花成個体数調査を行ないました。昨年(2023年)は、前年(2022年)に何れの定点観察地(礼文島、ベニヤ原生花園、野幌森林公園、旭川)においても一斉開花が見られたことから、その反動で花成個体数は大幅に減りました。今年は、礼文島とベニヤ原生花園の草原生バイケイソウは花成個体数が非常に多く、野幌と旭川の林床生バイケイソウは花成個体数が非常に少ないという結果になりました。本年度の観察結果については私のHPにて詳細な考察と共に報告する予定ですが、まずは速報として結果を記します。

礼文島(2024年6月16日)
礼文島の定点観察地(桃岩展望台コース)では、2022年に多くの個体の開花(310個体)が見られましたが、2023年はその反動のためか花成個体は僅か2個体しかありませんでした。しかし、今年はこれまでの調査(2016年~)で最も多い、397個体の花成個体を確認しました。この観察地点ではほぼ一年毎に花成個体数が増減しています。

今年の礼文島はバイケイソウ花成個体数が多い

 

礼文島のバイケイソウの訪花昆虫はコメツキムシ?が多いように思われる

 

ベニヤ原生花園(2024年6月17日)
ここでの定点観察は2019年から行なっており、2022年に非常に多くの花成個体が見られ、2023年は花成個体が非常に少なかったのですが、今年は2022年と同程度の多くの花成個体が見られました。ここでの花成個体数の変動は、2020年から同じ草原生バイケイソウである礼文島の観察地とほぼ同じ傾向となっています。

ベニヤ原生花園のバイケイソウ花成個体は2022年と同程度に多い

 

野幌森林公園(2024年6月18日)
ここの定点観察地(瑞穂連絡線)では、昨年(2023年)は、前年の一斉開花の反動で花成個体がわずか一個体しか確認できませんでしたが、今年は17個体が見られました。しかしながら、花序の発達が途中で止まって褐変している個体が多く見受けられました。おそらく、花序茎を食害する植食性昆虫が少ない花成個体に集中し、開花出来た花は非常に少ないと思われ、今年花成しても種子生産は殆ど出来ないものと思われます。

野幌のバイケイソウ花成個体は非常に少なかった

 

おそらく花序茎が食害を受けて花序が褐変してしまっている。このような個体が多く見られた。

 

旭川(2024年6月19日)
ここの定点観察地では、2013年と2022年に多くの個体が花成し、それ以外の年の花成個体は0~5個体程度だったのですが、今年は17個体が花成していました。2022年の花成個体数(121個体)は、2013年の花成個体数(257個体)と比較すると少ないことから、炭素資源が蓄積して条件が整えば花成するポテンシャルのある個体がまだ多く残っているのかもしれません。今年花成した個体は、群生地の中でも木漏れ日が林床までさしているようなところに生えている個体のように感じられました。

旭川では木漏れ日のさす林床で花成個体が見られた

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