The H3K27me3 Demethylase RELATIVE OF EARLY FLOWERING6 Suppresses Seed Dormancy by Inducing Abscisic Acid Catabolism
Chen et al. Plant Physiology (2020) 184:1969-1978.
doi:10.1104/pp.20.01255
シロイヌナズナRELATIVE OF EARLY FLOWERING6(REF6)はヒストンH3K27me3を脱メチル化するJumonji(JMJ)ドメインを有するタンパク質で、当初はFLOWERING LOCUS C (FLC )のリプレッサーとして見出された。しかし、ref6 変異体は葉の老化抑制や側根形成の抑制といった様々な表現型を示していた。そこで、中国 中山大学のLi らは、ref6 変異体の種子発芽遅延に着目して解析を行なった。REF6 は種子の発達、貯蔵、発芽の各過程で発現が見られ、種子発芽の際にアブシジン酸(ABA)処理によって発現が誘導された。ref6 変異体種子はABA含量が高く、ABA欠損をもたらすaba2 変異をref6 変異体に導入してABA含量を低下させることで種子休眠が低下した。よって、REF6は種子の内生ABA量を低下させることで種子休眠を抑制していると考えられる。ref6 変異体と野生型との間で種子発達および種子発芽過程においてABA生合成遺伝子の転写産物量に差は見られなかったが、ABA異化遺伝子のCYP707A1 およびCYP707A3 の転写産物量がref6 変異体で低下していた。よって、ref6 変異体でのABA含量の増加は、ABA異化に関与るする遺伝子の発現低下が関連していると考えられる。ChIP-qPCRの結果、REF6はCYP707A1 やCYP707A3 の第2イントロンに多く結合することが確認された。また、ref6 変異体ではCYP707A1 やCYP707A3 のH3K27me3量が野生型よりも高くなっていた。これらの結果から、REF6は種子発達過程でCYP707A1 やCYP707A3 のH3K27me3量を低下させることで遺伝子発現を促進していると考えられる。CYP707A1 やCYP707A3 の単独もしくは二重変異体にref6 変異を導入することで、さらに種子発芽率が低下し、内生ABA含量が増加した。また、ref6 変異体でCYP707A1 を過剰発現させることで種子休眠表現型が改善された。以上の結果からヒストンH3K27デメチラーゼのREF6は、アブシジン酸の異化を制御することで種子休眠を抑制していると考えられる。