Arabidopsis LEAFY COTYLEDON1 mediates postembryonic development via interacting with PHYTOCHROME-INTERACTING FACTOR4
Huang et al. Plant Cell (2015) 27:3099-3111.
doi:10.1105/tpc.15.00750
LEAFY COTYLEDON1(LEC1)は、シロイヌナズナの胚発生過程や種子成熟過程の重要な制御因子として機能している。暗所で育成したlec1 変異体芽生えは胚軸が短く、茎頂フックの屈曲が弱いことから、胚発生過程以降の発達過程にも関与していることが知られているが、詳細は明らかとなっていない。中国 華南植物園のHou らは、LEC1 は暗所での芽生えの成長制御に関与しているのではないかと考えて解析を行なった。芽生えにおけるLEC1 の発現は明所で育成した場合も暗所で育成した場合も同等であり、ロゼット葉においても弱い発現が見られた。芽生えを明所から暗所に移した際の胚軸伸長に関与する4つの遺伝子IAA19 、YUC8 、ATHB-2 、IAA29 の発現を野生型とLEC1 遺伝子のイントロンにT-DNAが挿入されて発現量が低下したlec1-4 変異体との間で比較したところ、野生型では4遺伝子とも劇的に発現量が増加するのに対して、lec1-4 変異体では発現量の増加が抑制されていた。また、薬剤誘導プロモーターでLEC1 を過剰発現させた芽生えにおいて胚軸の伸長と4遺伝子の発現誘導が観察された。LEC1は Nuclear Factor Y(NF-Y)転写因子に属しており、他の因子と複合体を形成して転写制御を行なっていることが推定される。暗所での胚軸伸長はフィトクロム相互作用因子(PIF)転写因子による制御を受けており、暗所での胚軸伸長に関与している4遺伝子はPIFによって直接に発現が制御されている。LEC1とPIFとの相互作用を酵母two-hybrid法で試験したところ、LEC1とPIF4との間で強い相互作用が見られ、PIF3とも弱い相互作用が見られたが、PIF1とPIF5については相互作用を示さなかった。LEC1とPIF4は核内で相互作用をすることが確認された。PIFはターゲット遺伝子のG-boxやE-boxに特異的に結合することで暗所でのの成長を促進している。LEC1とPIF4はヘテロ二量体を形成してターゲット遺伝子のG-boxに結合して転写を活性化していた。PIF4 、PIF3 の過剰発現個体やphyb 変異体は明所での脱黄化応答が抑制されて胚軸が伸長するが、これらにlec1-4 変異を導入すると胚軸伸長が抑制され、胚軸伸長に関与している遺伝子発現量も減少した。lec1-4 変異体ではPIF4のG-boxへの結合能力が低下していることから、LEC1はPIF4のターゲット遺伝子との親和性を高めることでPIF4による胚軸伸長を促進していると考えられる。PIF4 の機能喪失はLEC1によって誘導される胚軸伸長や胚軸伸長に関与している遺伝子との相互作用とそれらの発現を抑制した。したがって、LEC1とPIF4は胚軸伸長の制御において相互依存して機能していると考えられる。以上の結果から、LEC1はPIFのコアクティベーターとして転写調節をすることで胚発生過程以降の成長を制御していると考えられる。