オトメスミレ(乙女菫)
Viola grypoceras A.Gray f. purpurellocalcarata (Makino) Hiyama ex F.Maek.
キントラノオ目スミレ科スミレ属
タチツボスミレ(V. grypoceras)の白色種で、花弁が白色または微かに紫色のかげりがあり、距だけが紫色を帯びる。距まで完全に白いものはシロバナタチツボスミレ(V. grypoceras f. albiflora)として区別される。牧野富太郎博士が箱根乙女峠で記載したもので、箱根に多いが、他にも広く生育地が知られている。
乙女峠は、静岡県御殿場市と神奈川県足柄下郡箱根町の境に位置する箱根外輪山にある峠の名称。箱根仙石原に住んでいた親思いの「とめ」という名前の娘が、病に苦しむ父を助けるため、毎夜御殿場竹之下の地蔵尊に祈願の参拝にこの峠を越し、満願となった日に娘は父の身代りとなってこの峠で倒れたという悲話によって乙女峠と呼ばれるようになったという伝承が残ってる。牧野先生がこの伝承を知っていたかわからないが、白い花と薄紫の距が乙女を連想させる和名だ。
2025年5月1日 神奈川県箱根三国山