Laboratory ARA MASA のLab Note

植物観察、読んだ論文に関しての備忘録
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論文)WRKY42による葉の老化制御

2020-10-27 07:03:08 | 読んだ論文備忘録

WRKY42 transcription factor positively regulates leaf senescence through modulating SA and ROS synthesis in Arabidopsis thaliana
Niu et al.  Plant Journal (2020) 104:171-184.

doi: 10.1111/tpj.14914

中国 西北農林科技大学Jiang らは、シロイヌナズナの葉が老化する際にWRKYファミリー転写因子遺伝子WRKY42 の発現が強く誘導されること、WRKY42はサリチル酸(SA)生合成経路の重要な酵素遺伝子isochorismate synthase 1ICS1 )のプロモーターに結合することを見出している。これらの結果から、WRKY42は葉の老化制御において重要な役割を演じているのではないかと考え、解析を行なった。WRKY42 の発現プロファイルを詳細に観察すると、老化の初期から後期にかけて発現量が増加し、葉の中でも先端の黄化領域で発現量が高くなっていた。WRKY42 を過剰発現させた形質転換体(WRKY42-OE )は、葉の老化が野生型よりも早まり、老化マーカー遺伝子のSAG12 の発現量、活性酸素種(ROS)H2O2の含量が高くなっていた。植物体のライフサイクルも短くなり花成が促進されたが、種子量は野生型と同等であった。T-DNA挿入wrky42 変異体は、葉の老化が遅延し、野生型と比較して、H2O2含量が少なく、クロロフィル含量が多く、電解質の漏出量が少なく、SAG12 発現量が減少していた。これらの結果から、WRKY42は加齢による葉の老化を正に制御していると考えられる。WRKY42-OE と野生型植物のRNA-seq解析の結果、両者で発現量の異なる遺伝子の中に葉の老化を正に制御することが報告されている7つの遺伝子グループ、1)老化関連遺伝子(SAG)、2)SA生合成・シグナル伝達関連遺伝子、3)プログラム細胞死(PCD)関連遺伝子、4)エチレン生合成関連遺伝子、5)アブシジン酸(ABA)生合成関連遺伝子、6)ジャスモン酸(JA)生合成・シグナル伝達関連遺伝子、7)ROS生産・シグナル伝達関連遺伝子、が見られた。また、WRKY42-OE では老化転写因子遺伝子の転写産物量も増加しており、老化により発現量が減少する遺伝子(SDG)は発現抑制されていた。これらの結果から、WRKY42は複雑な制御ネットワークを介して葉の老化を調節していると考えられる。WRKY転写因子はシスエレメントW-box(TTGACC/T)に直接結合するが、WRKY42-OE で転写産物量が増加している1498遺伝子のうち1164遺伝子はプロモーター領域にW-boxを含んでいた。実際に、WRKY42はSAG 遺伝子、SA関連遺伝子、ROS関連遺伝子のプロモーター領域W-boxに結合して転写を活性化することが確認された。WRKY42-OE の葉は老化を促進する植物ホルモンのSA、JA、ABAの含量が増加しており、wrky42 変異体ではSA量は減少していたが、JA、ABAは野生型と同等であった。よって、WRKY42による葉の老化制御にはSA蓄積が関与しており、ABAとJAも間接的に関与していることが示唆される。SA生合成酵素遺伝子 ICS1SID2 )が変異したWRKY42-OE/sid2 は老化が促進される表現型は消失し、SA量が減少した。また、ROS関連遺伝子respiratory burst oxidase homolog FRbohF )が機能喪失したWRKY42-OE/rbohf は老化が遅延し、H2O2蓄積が抑制された。さらに、WRKY42-OE/sid2 はH2O2含量がWRKY42-OE よりも減少し、WRKY42-OE/rbohf のSA含量はWRKY42-OE よりも低くなっていた。よって、SA量とH2O2量は高い相関があると考えられる。野生型植物を高濃度のSAもしくはH2O2処理をするとWRKY42 の発現が抑制されることから、WRKY42 の発現は複雑な負のフィードバック制御によって微調整されていることが示唆される。以上の結果から、WRKY42は齢に応じた葉の老化を正に制御する転写因子として機能していると考えられる。

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論文)ジンクフィンガーホメオボックス転写因子による根の成長制御

2020-10-21 06:10:46 | 読んだ論文備忘録

Homeobox transcription factor OsZHD2 promotes root meristem activity in rice by inducing ethylene biosynthesis
Yoon et al.  Journal of Experimental Botany (2020) 71:5348–5364.

doi:10.1093/jxb/eraa209

韓国 慶熙大学校のAn らは、イネのT-DNAアクティベーションタギング系統から根の成長が旺盛な変異体を単離した。変異体は、種子根、側根ともに野生型よりも伸長し、側根数も増加しているが、側根密度は野生型と同等であった。解析の結果、T-DNAはジンクフィンガーホメオボックス遺伝子OsZHD2 のストップコドンから5 kb下流に挿入されており、OsZHD2 の発現量が野生型よりも高くなっていた。このことから、この変異体をOsZHD2-D と命名した。OsZHD2 は根端部で強く発現し、地上部では分裂組織を含んだ基部で発現が高くなっていた。OsZHD2-D の根端分裂組織(RAM)はS期の細胞が野生型よりも多く、RAM領域の細胞数が増加していた。Ubi プロモーター制御下でOsZHD2 を恒常的に発現させた形質転換イネ(OsZHD2-OX )は、根のバイオマスが増加し、根からの養分吸収能力が高まった。水田で栽培したOsZHD2-OX の外観は野生型と同等だが、籾重量が増加していた。トランスクリプトーム解析の結果、OsZHD2-D の根では野生型と比較して22遺伝子の転写産物量が増加し54遺伝子の転写産物量が減少していた。転写産物量が増加している遺伝子には、S-adenosylmethionine synthetase 2SAM2 )とACC oxidase 2ACO2 )の2つのエチレン生合成関連遺伝子が含まれていた。さらに、OsZHD2-D ではSAM2ACO2 に加え、ACC synthase 5ACS5 )の転写産物量も増加しており、野生型よりも多くのエチレンを蓄積していた。OsZHD2タンパク質はACS5 遺伝子のプロモーター領域に直接結合することが確認された。OsZHD2-D をエチレン生合成阻害剤AVG処理をしたところ、根端分裂組織の活性が低下した。よって、OsZHD2 はエチレンの蓄積を誘導することで根端部の分裂活性を高めていることが示唆され、幼苗にエチレン前駆体のACCを処理すると側根伸長が促進された。エチレンはオーキシン生合成を誘導することが報告されており、ACC処理は側根においてOASA2TAR2YUCCA7 といったオーキシン生合成遺伝子の発現を誘導した。また、OsZHD2-D ではYUCCA7 の発現量が増加しており、オーキシンレポーターDR5::GUS の発現量も増加していた。よって、OsZHD2 はオーキシン生合成を誘導していることが示唆される。OsZHD2-D をAVG処理するとオーキシンレポーターの発現が減少した。したがって、OsZHD2-D でのオーキシン生合成の増加はエチレン量の増加によるものと考えられる。OsZHD2タンパク質はTAR2 遺伝子やYUCCA7 遺伝子のプロモーター領域には結合しなかった。CRISPR/Cas9を用いて作出したoszhd2 変異体の根の形態は野生型と同等であった。OsZHD2 と相同性の高いOsZHD1 のT-DNA挿入変異体oszhd1 も表現型に変化は見られなかったが、oszhd1 oszhd2 二重変異体は側根の発達が低下し、エチレンやオーキシン生合成に関与する遺伝子の転写産物量が減少した。この二重変異体にACC処理をしたところ、側根の伸長が促進された。以上の結果から、OsZHD2はエチレン生合成を誘導することでオーキシン生合成を促進し、根端分裂組織を活性化していると考えられる。

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論文)NPR1縮合体による細胞死の抑制

2020-10-17 16:36:42 | 読んだ論文備忘録

Formation of NPR1 Condensates Promotes Cell Survival during the Plant Immune Response
Zavaliev et al.  Cell (2020) 182:1093-1108.

doi:10.1016/j.cell.2020.07.016

エフェクター誘導免疫(ETI)は、感染部位において急速なプログラム細胞死(PCD)を引き起こし、病原体の増殖を抑制するが、感染していない組織にも細胞死が拡がるために植物の生存にも影響する。一方で、サリチル酸(SA)やNPR1(non-expresser of pathogenesis related 1)による全身獲得抵抗性(SAR)はETIが誘導する細胞死を抑制することが示唆されている。しかしながら、その機構は明らかではない。米国 デューク大学Dong らは、シロイヌナズナの葉をSA処理することで、処理濃度に応じてユビキチン化されたタンパク質量が増加すること、この現象はNPR1に依存していることを見出した。NPR1タンパク質は通常は細胞質に局在するが、SA処理をすることで核に移行した。しかし、SA処理濃度を上げると、細胞質のNPR1が増加して、核内のNPR1はユビキチン化されて減少した。また、SA処理は核や細胞質でのNPR1タンパク質の縮合体(NPR1 body)の形成を促進した。SUMO化しないNPR1タンパク質変異体npr1sim3は、SA処理後も細胞質に局在し、低濃度のSA処理で縮合体を形成した。この縮合体はETIによって細胞死が誘導された領域の近隣の生細胞においてのみ見られた。縮合体はSA処理から時間が経過するにつれて数が増えサイズが大きくなったが、一定時間後に数は減少していった。NPR1にはシステイン依存もしくは酸化還元感受性の天然変性領域(IDR)が3ヶ所(RDR1~3)あり、各領域のCys残基をAla残基に置換した変異体を用いた解析から、RDR1とRDR2はSA非存在下でNPR1が状態変化することを抑制する作用、RDR3はSAに応答した状態変化を引き起こす作用があることがわかった。rdr1 変異体は病原体が誘導する細胞死に対する保護が喪失したが、rdr2 変異体では強い保護作用が見られ、rdr3 変異体は細胞死からの保護が不十分となった。よって、NPR1縮合体は細胞の生存にとって必要であり、SAはNPR1の状態変化を促進しているものと思われる。したがって、SAはNPR1の転写活性や核におけるターンオーバーを制御するだけではなく、細胞質でのNPR1縮合体形成も誘導していると考えられる。このNPR1縮合体をSINCs(SA-induced NPR1 condensates)と命名した。SINCは、(1)防御応答、細胞死およびSAシグナル伝達、(2)タンパク質ホメオスタシス、(3)酸化還元代謝、(4)オルガネラ間輸送/タンパク質輸送、(5)DNA傷害応答、(6)RNA結合/翻訳といったGO termに分類されるタンパク質を含んでいた。SINCにはユビキチン、ユビキチンリガーゼ、E3リガーゼコンポーネントが含まれており、NPR1はCullin 3(CUL3)と相互作用をしてSINCに取り込み、SINC内のポリユビキチン化活性を高めていた。また、NB-LRRタンパク質やEDS1/PAD4といったETIシグナルに関与するタンパク質がSINCには多く含まれており、NPR1はEDS1と相互作用をすることがわかった。また、ETIを正に制御しSA生合成やSA応答に対して抑制的に作用するWRKY転写因子のWRKY70やWRKY54もNPR1のターゲットとなっていた。これらのタンパク質はSINCにおいてユビキチン化され分解される。以上の結果から、SAによって細胞質で形成されたSINCは細胞死に関与するタンパク質を分解してETIを防いでいると考えられる。

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論文)低窒素条件での根粒と側根の形成バランスの制御

2020-10-13 06:21:33 | 読んだ論文備忘録

A CEP Peptide Receptor-Like Kinase Regulates Auxin Biosynthesis and Ethylene Signaling to Coordinate Root Growth and Symbiotic Nodulation in Medicago truncatula
Zhu et al.  Plant Cell (2020) 32:2855-2877.

DOI:10.1105/tpc.19.00428

タルウマゴヤシ(Medicago truncatula )は、窒素欠乏時に根粒を形成して根粒菌と共生する。最近の研究から、C-TERMINALLY ENCODED PEPTIDE(CEP)ファミリーシグナルペプチドのMtCEP1とその受容体と考えられているロイシンリッチリピート受容体様キナーゼ(LRR-RLK)のCOMPACT ROOT ARCHITECTURE2(MtCRA2)が根粒形成と側根形成のバランスを制御していることが示されており、cra2 変異体は根粒数が減少して側根数が増加する。しかしながら、その機構は不明である。中国農業大学のWang らは、cra2 変異体ではオーキシン生合成における律速酵素をコードするMtYUCCA2MtYUC2 )の発現量が増加していることを見出した。このことから、cra2 変異体での側根数の増加や根粒の減少にオーキシンが関与しているのではないかと考え、野生型植物(R108)に1-ナフチル酢酸(NAA)処理をしたところ、cra2 変異体に類似した根の形態を示し、cra2 変異体をYUC阻害剤処理をしたところ、根の表現型が部分的に改善された。また、R108でMtYUC2 を過剰発現させたところ、短い側根が増加した。CRISPR/Cas9技術でMtYUC2 を機能喪失させたR108は根が伸長し、cra2 変異体では側根数と側根密度が減少した。したがって、cra2 変異体の根の形態はMtYUC2 の発現量増加と関連していると考えられる。R108では低窒素もしくはMtCEP1処理によりMtYUC2 の発現が抑制されたが、cra2 変異体では抑制は見られなかった。したがって、MtCEP1/MtCRA2経路は窒素欠乏に応答してMtYUC2 転写産物量を制御していることが示唆される。オーキシンレポーターDR5:GUS を導入したR108は窒素欠乏条件で主根や側根の根端部のGUS染色強度が低下するが、cra2 変異体ではそのような変化は見られなかった。R108の根は窒素欠乏条件で遊離IAA含量が減少するるが、cra2 変異体の根ではIAA含量に高い状態が維持された。これらの結果から、MtCEP1/MtCRA2は、低窒素条件でMtYUC2 の発現を抑制することによりオーキシンの蓄積と根端分裂組織の応答性を低下させることで根の形態を制御しているものと考えられる。エチレン-MtEIN2/SKL経路は根粒菌感染を阻害することが知られており、MtCEP1/MtCRA2経路はエチレンシグナルを阻害することで根粒形成を促進するという説が提唱されている。CRISPR/Cas9技術で作出したein2c 変異体は感染糸と根粒原基が増加し、この変異はcra2 変異体の根粒形成を回復させ、根の伸長と側根密度の低下をもたらした。ein2c 変異体でのMtYUC2 の発現はR108と同等であった。これらの結果から、MtEIN2はMtYUC2 の転写制御とは独立して根の発達制御に関与していると考えられる。MtEIN2には保存された2か所のリン酸化部位が存在し、MtCRA2はMtEIN2と相互作用をしてこの部位(Ser643、Ser924)をリン酸化することが確認された。リン酸化されたMtEIN2はC末端の分解が抑制され、エチレンシグナル伝達が阻害される。低窒素条件もしくはMtCEP1処理は、MtEIN2のC末端の分解をMtCRA2に依存して阻害した。ein2c 変異体の根は感染糸が増加した。以上の結果から、MtCRA2は低窒素条件でオーキシン生合成の低下とエチレンシグナル伝達の阻害をすることで側根と根粒の発達のバランスを調節していると考えられる。

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論文)GSK3様キナーゼによるブラシノステロイドシグナルとジャスモン酸シグナルの統合

2020-10-06 21:11:52 | 読んだ論文備忘録

The OsGSK2 Kinase Integrates Brassinosteroid and Jasmonic Acid Signaling by Interacting with OsJAZ4
He et al.  Plant Cell (2020) 32:2806-2822.

doi:0.1105/tpc.19.00499

イネ黒すじ委縮ウイルス(RBSDV)は、ヒメトビウンカが媒介し、イネ、トウモロコシ、オオムギ、コムギにわい化と減収をもたらす。RBSDVウイルスに感染したイネは、ブラシノステロイド(BR)シグナル伝達を負に制御するグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)様キナーゼのOsGSK2タンパク質量が増加していることから、中国 寧波大学のSun らは、OsGSK2はRBSDVウイルス感染と関連があるのではないかと考え、解析を行なった。OsGSK2 を過剰発現させたGo 植物は、RBSDV感染後の成長障害がさほど酷くはならないが、RNAiでOsGSK2 発現を抑制したGi 植物は野生型よりも重篤な病徴を示した。RBSDVコートタンパク質のRNA量とタンパク質量はGo 植物では非常に少なく、Gi 植物では多くなっていた。GSK3様キナーゼ活性を特異的に阻害したイネではジャスモン酸(JA)シグナル伝達が低下することが報告されており、Go 植物ではJAの生合成やシグナル伝達に関与する遺伝子の転写産物量やJA含量が増加し、Gi 植物では減少していた。したがって、OsGSK2はJA経路を活性化していることが示唆される。解析の結果、OsGSK2はJAZファミリータンパク質のOsJAZ4と相互作用をして、OsJAZ4をリン酸化することがわかった。OsGSK2によってリン酸化されたOsJAZ4は26Sプロテアソーム経路による分解が促進されることが確認された。また、Go 植物ではOsJAZ4タンパク質量が野生型よりも減少しており、Gi 植物では増加していた。OsJAZ4はZIMドメインを介してOsGSK2と相互作用をしていた。ZIMドメインはJAZタンパク質の二量体形成に関与しており、OsJAZ4はOsJAZ9、OsJAZ11、OsJAZ12とヘテロ二量体を形成する。JAZタンパク質は二量体を形成することで安定化し、OsGSK2はJAZタンパク質の二量体形成と拮抗することでJAZタンパク質の蓄積を抑制していると考えられる。JAZタンパク質のZIMドメインは、NINJAタンパク質との相互作用にも関与しており、OsGSK2とOsNINJAはOsJAZ4との結合において拮抗していることが示された。RBSDVが感染したイネの葉はOsJAZ4 の発現量が減少しており、OsJAZ4 を過剰発現させたイネ(OsJAZ4-OE )はRBSDVの罹病性が高く、RNAiでOsJAZ4の発現を抑制したイネ(OsJAZ4-RNAi )は対照よりもRBSDV抵抗性が高くなっていた。したがって、OsJAZ4はウイルスに対する防御において負に作用していることが示唆される。イネ芽生えをブラシノライド(BL)もしくはGSK3様キナーゼ阻害剤のビキニンで処理するとOsJAZ4タンパク質量が増加するが、この増加はcoi1 変異体では見られなかった。OsJAZ4-RNAi イネのJA感受性はビキニン処理の有無により変化しないことから、OsGSK2によるJAシグナル伝達の制御にはOsJAZ4が必要であり、OsJAZ4はOsGSK2の下流で作用していることが示唆される。また、OsJAZ4-OE イネは野生型よりもBR感受性が高く、OsJAZ-RNAi イネは低くなっていた。よって、OsJAZ4はJAシグナル伝達を阻害することでBR応答性を強めている。以上の結果から、OsGSK2はジャスモン酸とブラシノステロイドのシグナル伝達に関与し、イネの抗ウイルス免疫を制御する重要な因子として機能していると考えられる。

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