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《 リアル 芸能 ルポ 》 吉村昭・原作。黒沢保裕・朗読。短編「梅の蕾」。文と声が融合した、涙誘う感動的実話、最高傑作、2月26日、午後6時まで、パソコンで聴けます

2019-03-24 13:38:16 | 聴取者が知らない、アナウンサーの素顔

 ≪ 2018・2・25 掲載記事 ≫

 毎週土曜日の、朝、8時5分。

 起き掛け、しばらくしての、ぼんやりした頭のまま、ラジオのスイッチを入れるのが、なかば習慣化している。

 「ラジオ文芸館」なる、NHKの番組、

 実質、37分ほどで読み切れる短編小説を、局の、老若男女、あらゆる世代の幅広い、全国各地で勤務しているアナウンサーが、毎週、朗読をするというものだ。

 小説そのものが、冒頭15分くらいで、思わず、ぐぐ、ぐいっと惹き込ませるくらいの出来栄えでなければ、スイッチを切り、他のことをする。

 落語など、芸事の、客への「掴み」ではないが、原作が面白くなければ、どんな巧みな話し手であっても、耐えて最期まで聴くのには、限界がある。

 原作と、朗読する話し手が、見事に合体、且つ、融合し、その文と文の間にある行間さえも、にじませる読み手には、そうそう、巡り合えるものではない。

 それが実現出来ていたのが、表題に掲げた「梅の蕾(つぼみ)」であった。

  吉村昭の原作ということに、聴く前に興味がそそられていた。

 すでに、残念なことに、他界された小説家・・・・というより、ルポ・ライターや、ノンフィクション・ライターと言い換えた方が当たっている人物。

 調べ尽くしてから、資料も横に積み上げ、おもむろに筆を手にとる書き手だった。

 ホントに、地を這うようにして、徹底取材。

 ご本人が、あるインタビューで、こう話していた。

 「例えばね。そこが、どういう町なのか? そりゃあ、地図を見たり、写真や、映像を数多く見れば、それなりには、ある程度は分かりますよ」

 「でもね、それじゃあ、私は書けないんですよ。そこの町へ自分で足を運んで、そこに吹く風、匂い、暑さ、寒さ、風土とでも言いますか」

 「そこの地域に古くから住んでいる人の顔や風情、特有の風土、みたいなものを、自分のカラダに染み込ませてからじゃないと、書き出せない。例え、そこの部分を文字にしなくってもねえ・・・。性分、みたいなもんですかねぇ・・・・」

 聴いてて、分かる、見習わなくては!

 今から11年8か月前。吉村は、重度のガンを、2度も発症。

 決意の末、まさに命をつなぐ線とでも言うべきカテーテルの針を、自らのカラダから引き抜き・・・・絶命した。 壮絶ともいうべき覚悟の死であった。

 享年、まだ79。

 吉村の妻で、貧困生活を脱すべく、夫よりいち早く数々の文学賞を手にした同業者、津村節子は、夫の死後、「紅梅」という、死に至る晩年の夫との日々と、死後の想いを、ノンフィクション小説的なタッチで、世に出している。

 胸に染み入る名著,といって良い。現在、89歳。存命である。

 その妻が「夫は、例え短編を書くつもりでも、山のように取材メモや資料を積み上げ、まるで数冊、本が出せるかのような調べ方を、いつもしておりました」と、語っている。

  そんな短編の1本が、「遠い幻影」に収録されている、この「梅の蕾」だ。

 舞台は、岩手県下閉伊郡(しもへいい郡)田野畑村(たのはたむら)。

  簡易な、大まかな地図では、このような位置にある広大な村。

   このように切り立った断崖の上にあり、一見風光明媚な海岸線に沿って立つ村である。

 そう、あの丸7年前の「三陸沖 超津波 大地震」にも襲われ、死者や被災者を多数出し、仮説住宅が広範囲に建てられた歴史ももつ。

 そこで、かつてあった「実話」が基になり、書かれたのが、このノンフィクション小説だ。

 とはいえ、出てくる医師や、村長の名前は、実名のままにはしていない。 

  コレを、朗読したのは、この黒沢保裕(やすひろ)アナウンサー。

 現在、61歳。60歳の誕生日で、規定により、一応の定年退職をしたのち、肩書きこそ「シニア・アナウンサー」という名称が付く、嘱託アナウンサーとなり、現在は、Eテレの「きょうの健康」という15分番組の司会をしている。

 この朗読が、「ラジオ文芸館」に登場したのは、あの大震災から、4か月後のこと。

 この短編小説のことは、まったく聴くまで知らなかった私。

 あの3・11の瞬間は、茨城県の山間部で遭遇。

 目の前、3メートル先の地面が揺れた末に、大きく割れて、裂け目が出来、あわてては逃げていれば落ちるところであった。

 その後、震災地へ、やっとの想いで、たどり着き、取材を重ねて帰ってきたあとであった。 岩手県の田野畑村?

 さて。。。。。と想いを巡らしながら、聴き入り・・・・不覚にもラストに向けてのくだりで、2度ほど、涙があふれ出た・・・・・・。

 実話と、その後、知り、録音したものを、再度聴き直しても、胸が熱くなった。

 物語の経緯も、流れも、あえて書かない。

 先日の、2月18日(日)の深夜、というより、正確を期せば、2月19日(月)の午前1時過ぎ、のこと。

 「ラジオ深夜便」で、この朗読が、6年7か月ぶりに、違う時間枠で再放送され、再び、聴き入った。

 それが、「聴き逃し」というサービス枠で、この2月26日(火)、午後6時まで、パソコンでいつでも聴けると知った。確かに、聴けた。

 是非、文学や朗読に興味の無いという人にも聴いて戴きたくて、記事化した。

 「ラジオ深夜便 2月18日」の分で、午前1時台を、クリックすれば、実質37分ほど。

 丸々、聴けます。

 黒沢保裕の声のトーン。間。区切り。たんたんと、感情をおさえて読み進めるからこそ、次第に、行間ににじむ、個々人の、あふれ出る想いまで、黒沢は、声なき語りをしていってます。

 バス、のくだりで泣けます・・・・・

 お薦めです。

 文と声が、融合した、これほどまでの感動実話、傑作は、そうそう、この世にありません。

 是非、是非・・・・

  故・吉村昭と、田野畑村の、結びつきは強く、彼の文学碑も、このように建立されているほどです

 あと、23時間ほどで聴けなくなりますので・・・・・

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 ≪ 2019・3・24 追記 ≫

 小説に登場した、実在の医師は、千葉県木更津市に戻り・・・・・医師を続けていると思いきや、存命なのに、自ら医師廃業を届け出て、近年は、古くからの友人、旧友らと、釣りに出かけて、余生をゆったりと、送っているとのこと。

 医師としては、とても優秀な評価が与えられており、何で、廃業をするに至ったのかは・・・・分かりませんでした。

 自宅の電話も、不通となっておりました。、

 妻の兄妹らとは、何が、起因であったのか、すっかり、疎遠、絶縁状態にあるようです。

 また、小説にも出てきた、当時の、田野畑村の村長は、すでに、3~4年前に、他界。

 その葬儀には、この医師も駆けつけ、参列。

 故人との想い出に、しばし、浸り、村を離れたとのことでした。

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 ≪ 2019・5・29 最新追記 ≫

 この記事を読まれている方。本日、おりましたんで、追記をば。

 「朗読 梅の蕾」と打ちこみ、動画で、検索すると、聴けます。

 正味、40分間。

 感動実話。

 じっくりと、お楽しみください

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