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映画『金星怪獣の襲撃 新・原始惑星への旅』(1968):手作り感満載だが、ストーリーに特に矛盾はなく、のんびりと楽しめるアナログ時代のSF映画だ!

2022-02-13 13:24:18 | 日記
※『金星怪獣の襲撃 新・原始惑星への旅』Voyage To The Planet Of Prehistoric Women (1968、アメリカ)

(1)ナレーションが宇宙探査計画の説明、さらに宇宙への植民計画の夢Vioyegeを語る。さらに「私」(アンドレ)が語る。「金星で彼女たちに会い、『私』は彼女たちのもとを去った。オデッセイのセイレーンのように彼女たちの声は私を誘惑した。」
(2)さて2年前の1998年。初の有人宇宙船が金星に向かうがそれは、隕石と衝突し失敗した。
《感想》ここでは「今=1968年」から、30年後の世界つまり「1998年の世界」(この年に「私」は金星に行った)が設定されている。「私」アンドレが語っているのは2000年だ。
(3) 半年後、2回目のロケット発射。地球司令部「マーシャ」。ロケット発進!カーンズ船長、宇宙飛行士シャーマン、そしてロボットのジョンが搭乗。ロケットは途中、有人宇宙ステーション「テキサス」で給油する。
(4)地球司令部「マーシャ」の3人が登場。責任者ロックハート、宇宙飛行士ハンス、「私」アンドレ。2回目のロケットが失敗した場合はこの3人が、新たなロケットに乗り込む。
(5)宇宙ステーションから発進の(2回目の)ロケット。いよいよ金星に接近。逆噴射で着陸態勢。だが着陸に失敗!かくて3回目のロケット発射が必要となる。責任者ロックハート、ハンス、「私」アンドレが行く。

(6)金星では(2回目のロケットの)カーンズ船長、シャーマン、そしてロボットのジョンが何とか助かった。怪獣が襲ってくるのでハンドガンを撃って追い払う。ロボットのジョンの修理が完了し、怪獣を追い払う。
《感想》金星の怪獣は人間と同じくらいの大きさで、小型だ。ゴジラに似ている。(日本の『ゴジラ』の公開は1954年。)
(7)地球にて。3回目のロケット発射。
《感想》1回目・2回目・3回目とも同じロケット、同じ宇宙ステーションで、同じ映像の繰り返しだ。
(8)2回目のロケットのカーンズ船長、シャーマン、そしてロボットのジョンが金星の探査をする。カーンズ船長の宇宙服に裂け目が生じ、毒が入り込む。
《感想》宇宙服を着るのは、金星の大気の組成が違い有毒なためであって、宇宙空間のように真空であるためでない。

(9)3回目のロケットのアンドレたち3人は、宇宙ステーション「テキサス」で給油。やがて金星に3人が着陸。金星は岩だらけだ。だが外の音を聞くと「奇妙な音」がしている。ロケットの外に3人が出る。責任者ロックハート、ハンス、アンドレ。
《感想》「奇妙な音」とは、やがて登場する金星の女性たちが歌う声だ。「オデッセイのセイレーンのように彼女たちの声は私を誘惑した」とアンドレが後に述べる。
(10)アンドレが金星の地表を調べる。金星に水はある。突然触手が出て捕まるアンドレ。救援の2人、責任者ロックハートとハンス。巨大な食虫(食人)植物がいた。アンドレを救出する。
《感想》この食虫(食人)植物は映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(1960年)の食人植物に似る。
(11)地球司令部「マーシャ」から、2回目のロケットの「カーンズ船長、シャーマン、そしてロボットのジョン」の位置を知らせて来る。今度は飛行艇で移動する3人(責任者ロックハート、ハンス、「私」アンドレ)。
(12)滝の付近に来たカーンズ船長、シャーマン、ロボットのジョン。移動に悪戦苦闘しようやく洞窟に避難。ロボット(ジョン)は、現在位置を発信し続けている。

(13)飛行艇の3人(責任者ロックハート、ハンス、アンドレ)は移動中。また妙な音(声)が聞こえる。女の声だった。
《感想》「妙な音(声)」とは、実は金星の女性たちが歌う声だ。「オデッセイのセイレーン」のような声だ。
(13)-2海岸に女性達3人が寝ている。モアナ、ターラ、他にリーダー1人(最年長の姉)。さらに妹4人。海に入る女性達。潜って魚を捕って生で食べる。白いパンタロンに貝殻のブラジャー。その時、「私たちの神テラが怒っている」と翼竜のような生物(テラ)を、女性たちが見上げる。
《感想》金星の女性たちは、ボッティチェリのヴィーナスの絵「ヴィーナスの誕生」(1483頃)にインスピレーションを得ているようだ。
(14)3人(責任者ロックハート、ハンス、アンドレ)は捜索中。2人(シャーマン、カーンズ船長、そしてロボットのジョン)の電波を受信するが、すぐ切れてしまう。ロボットのジョンと連絡が取れる。ロボットのジョンに無線で指示して、金星の大気の毒で瀕死のカーンズ船長に、解毒用の錠剤を服用させる。
《感想》ロボットのジョンは、人間からの指示に対して従順だ。ロボット三原則(アイザック・アシモフ)によれば、ロボットは「①人間への安全性、②命令への服従、③自己防衛」を3原則とする。

(15)3人の飛行艇の前に翼竜テラが出現。飛行艇は海中に落ちる。翼竜テラも撃ち落され死ぬ。3人は宇宙服で海中を歩く。3人は海中で翼竜テラの彫像を発見する。金星の文明の存在が確認された。
(16)翼竜テラの死骸を海岸で金星の女性リーダーが発見し、ターラとともに確認。他の5人の女性もやってきて、「邪悪な者が神の翼竜テラを殺した」と言う。そして「聖なる場所」に運んで祈る。「翼竜テラの仇を討つ」と女性達が誓う。彼女らは翼竜テラの水葬を行う。
《感想》翼竜テラは「プテラノドン」に似る。翼長は7〜8m程度、体重は非常に軽く、15kg前後。そのためか映画の「翼竜テラ」もとても軽そうだ。
《感想(続)》金星の女性たちが「先史時代の女性たち」(Prehistoric Women)と言われるのは宗教が呪術的な自然宗教であるためだろう。宗教の発展段階を①自然宗教(原始宗教)、②国家宗教(民族宗教)、③普遍宗教(世界宗教)のように類型化することがある。
(17)「私」アンドレは海中を捜索する。それを金星の海の女性2人に発見される。彼女らがリーダーに「海中に侵略者(悪魔)がいる。古の聖地を歩いている」と報告。「そいつらに死の報復をする」と女性たちが誓う。
(18)3人(責任者ロックハート、ハンス、アンドレ)は飛行艇を海中から海岸に引き上げる。「金星人には文明があり、都市を建設しているはずだ」とアンドレは思う。飛行探査艇を修理し、その後、3人が乗り出発する。

(19)海岸で金星人の女性達7人は、神性な石を囲み、祈りを捧げる。火の山の神に「翼竜テラを殺した者たちに溶岩を浴びせろ」と祈る。すると火の山から溶岩が噴出する。洞窟の2人(カーンズ船長、シャーマン)とロボットは火山の噴火を見て、移動を開始する。だがシャーマンがサンプルを集めようとしたので、避難が遅れ溶岩で動けなくなる。溶岩の川をロボットに乗って、カーンズ船長とシャーマンは、突破を試みる。
(20)2人(カーンズ船長、シャーマン)とロボットは、無線によって、飛行艇の3人(責任者ロックハート、ハンス、アンドレ)が接近中とわかる。ところがロボットが溶岩を横切る途中で、熱くなり過ぎのアラートを出す。そして重過ぎるということで運んでいる2人を下ろそうとする。(※ロボット原則③「自己防衛」)。乗っている2人はロボットに「やめろ!」と言うがロボットは言うことを聞かない。そこで2人はロボットの配線を切って、ロボットを何とかしようとする。(※この場合、ロボットの行為は、ロボット原則①「人間への安全性」、②「命令への服従」に反する。)
(20)-2 飛行艇が近くで停止し、3人が、ロボットの2人を救出に向かう。ようやく救出され、ロボットから飛行艇に移る2人。今や5人(2回目のロケットのカーンズ船長、シャーマン、そして3回目のロケットの責任者ロックハート、ハンス、アンドレ)がそろい、共に喜ぶ。この時、置き去りにされたロボットが、溶岩の中に倒れる。ロボットに解毒剤を飲ませてもらったカーンズ船長が「かわいそうに!」とロボットを悼む。

(21)「どうやったら地球に戻れるか」と5人が相談する。3回目のロケットの人員が3人から5人に増えたからだ。
(21)-2 アンドレが「ここ金星には高度な文明を持つ人間がいる」と言うが、「金星の女性たち」を見ていない他の者たちは信じない。
(22)海岸にて、寝ている金星の女性達。そこに何か奇妙な物が出現する。それは「溶岩で焼け焦げたロボットの残骸」だった。だが金星の女性たちはそれを、「神の逆鱗に触れたデーモン」だと解釈する。
(23)飛行艇の5人が、着陸地点のロケットの所までもどる。他方、金星の女性たちが、海岸にて火の神(翼竜テラは火の神の化身だ!)に「ロケットの破壊」を祈る。「侵略者に水と火を浴びせよ」と火の神テラに祈る。
(23)-2 激しい雨が降り始める。そのためにロケットが発進が出来ない。激しく水が流れる。さらに地面に亀裂が走る。そこで緊急発進のため、不要な荷物を下ろす。
(23)-3 その時、アンドレが水中の遺跡で得た石を割ると、中からなんと「人間の女性の顔の像」が現われた。アンドレは「金星に人間の文明があるのだ」と確信する。アンドレも、その後ようやくロケットに乗り込むが、「できる事なら金星に残って、金星に住む人間(女性)たちと会いたかった」とアンドレが言う。
(24)発進するロケット。結局、人間と金星の女性達とのコンタクトなされなかった。

(25)ロケットに逃げられたので、金星の女性リーダーは火の神テラ(神の化身が翼竜テラ)をニセの神だと怒り、女性達全員が、神テラの像に激しく石を投げつける。ついに神テラ(翼竜テラ)の彫像は破壊され、その首が落ちる。彼女らは、「神の逆鱗に触れたデーモン」と先に解釈した「ロボットの残骸」を、新しい神として祀る。
《感想》新旧の神の交代だ。弱い神は信仰されなくなる。強い新たな神へと信仰が移る。「ロボットの残骸」は「デーモン」だから強いと新たに解釈しなおされた。
《感想(続)》金星の女性たちにおける「神テラ」の信仰から、「デーモン」の信仰へ移行は、「5世紀日本で、神道の物部氏 が滅ぼされ、仏教の蘇我氏・聖徳太子の時代に代わった」ことを思い出させる。(なお蘇我氏 は物部氏 を滅ぼした後、 神道の潰しにかかっていない点は、金星の女性たちのケースと異なる。)
(26)宇宙をバックにアンドレのナレーション。「あれから2年(※現在は2000年という想定!)、金星探査の予定はない。だが私は金星に住む彼女たちが忘れられない・・・・」

《感想》映像は鮮明でなく、怪獣、翼竜テラ、食人植物、ロケット、地球司令部などのセット、小道具などが手作り感満載だが、ストーリーに特に矛盾はなく、のんびりと楽しめるアナログ時代のSF映画だ。


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