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金子武蔵『ヘーゲルの精神現象学』Ⅱ本論(二)「自己意識」3「自由」(その1):「社会段階」はさしあたり素通りする!①「ストア主義」、②「スケプシス主義」、③「不幸なる意識」(クリスト教)!

2024-06-02 14:10:21 | 日記
※金子武蔵(カネコタケゾウ)『ヘーゲルの精神現象学』ちくま学芸文庫(1996)(Cf. 初刊1973)
Ⅱ本論(二)「自己意識」3「自由」(145-146頁)
(27)「普遍的な自由な自己意識」にはいろいろな「形態」(「社会段階」)がありうる:(a)「家族」、(b)「市民社会」、(c)「国家」!
★「自由」について、「相互承認」の見地からいうと、いろいろの「社会段階」が考えられる。「相互承認」は(a)「家族」間にも、(b)「市民社会」の使う人と使われる人という関係にも、(c)「国家」の支配者と被支配者の間にも成り立つ。(145頁)
☆このような次第で、「普遍的な自由な自己意識」にはいろいろな「形態」(「社会段階」)がありうる。(145頁)

《参考》「主」と「奴」との「相互転換」によって、「相互承認」の関係が実現する、即ち「自己意識」は「無限性」に到達する!かくて「自己意識の自由」の段階となる!(144-145頁)

(27)-2 「個別的主観的のもの」という見地から「自己意識」を考える:①「ストア主義」、②「スケプシス主義」、③「不幸なる意識」(クリスト教)!
★「普遍的な自由な自己意識」にいろいろな「形態」(「社会段階」)がありうるが、ここでは、「自己意識」を「個別的主観的のもの」という見地から考える。(145頁)
☆ヘーゲルはこのように、「一足飛びに社会生活をはなれた絶対的境地で自由を実現する」場合を、①「ストア主義」、②「スケプシス主義」、③「不幸なる意識」(クリスト教)に分けて考える。(145頁)

《参考1》「ストア主義」(「ストア学派」、「ストア哲学」):前4世紀末、キプロスのゼノンによって創始され、後2世紀頃まで盛んに行なわれたギリシア哲学の一派。神的物質は宇宙の万物に遍在し、世界は必然的な摂理に支配されているとして、禁欲と克己による賢者の自足的生活、「アパテイア」(情念や欲情に支配されない、超然とした境地)を理想とした。代表的人物には、ゼノン、セネカ、エピクテトス、マルクス=アウレリウスらがいる。
《参考2》「スケプシス主義」(「懐疑主義」):ヘレニズム‐ローマ時代、すなわち文化的・社会的混乱の時代にあって、人々は個人的平安を与える処世術を求めるに急であった。「スケプシス主義」は、ストア哲学やエピクロス哲学(人生の目的は精神的快楽にあるとし、心境の平静・アタラクシアを求めた)の「独断論」的態度に反対して現れた。ピュロン(前360頃-前270頃))など。

(27)-2-2 「自己意識の自由」の段階における「社会生活の問題」or「社会段階」との関係の問題:(ア) 「快楽ケラクと必然性サダメ」と「家族」、(イ) 「人倫的世界」と「ギリシアのポリス的生活」、(ウ) 「法的状態」と「ローマの法的世界」、(エ) 「国家と財富」との立場から「中世よりフランス革命にいたる社会関係」をとく、(オ) 「フランス革命」の問題、(カ) 「道徳的世界秩序」!
★(ア) 「快楽ケラクと必然性サダメ」と「家族」:「自己意識の自由」における「社会生活の問題」or「社会段階」との関係の問題は、(C)(AA)「理性」のB「理性的自己意識の自己自身による実現」のa「快楽ケラクと必然性サダメ」のあたりから出てきている。(145頁)
☆「快楽ケラク」とは男女間の愛欲を自由奔放にとげることだが、そのうちに子供ができて「家庭」を中心とした社会関係にまきこまれるというのが「必然性サダメ」だ。このへんから「自己意識の自由」における「社会の問題」が姿をあらわす。(145-146頁)

★「自己意識の自由」における「社会段階」との関係の問題は、((C)「理性」)(BB)「精神」:Ⅵ「精神」のA 「真実なる精神、人倫」で一層はっきり出てくる。(146頁)
☆(イ) a「人倫的世界」のところでは「ギリシアのポリス的生活」を主として考え、「家族と国家」をその構成契機としている。(146頁)
☆(ウ)c「法的状態」のところでは「ローマの法的世界」を問題にしている。(146頁)

★(エ)「自己意識の自由」における「社会段階」との関係の問題は、((C)「理性」)(BB)「精神」:Ⅵ「精神」のB 「自己疎外的精神、教養」のところで、「国家と財富」との立場から、「中世よりフランス革命にいたる社会関係」をとく。(146頁)
☆(オ)B 「自己疎外的精神、教養」のⅢ「絶対自由と恐怖」では、「フランス革命」の問題を考える。(146頁)

★(カ)「自己意識の自由」における「社会段階」との関係の問題は、((C)「理性」)(BB)「精神」:Ⅵ「精神」の最後のC 「自己確信的精神、道徳性」のところで、ヘーゲルは「道徳的世界秩序」のことを考える。(146頁)

《参考》ヘーゲル『精神現象学』の目次!(333-336頁)
(A)「意識」:Ⅰ感覚的確信または「このもの」と「私念」、Ⅱ真理捕捉(知覚)または物と錯覚、Ⅲ力と悟性、現象と超感覚的世界
(B)「自己意識」:Ⅳ「自己確信の真理性」
A「自己意識の自立性と非自立性、主と奴」、
B「自己意識の自由、ストア主義とスケプシス主義と不幸なる意識」
(C)(AA)「理性」:Ⅴ「理性の確信と真理」
A「観察的理性」、
B「理性的自己意識の自己自身による実現」(a「快楽ケラクと必然性サダメ」b「心胸ムネの法則、自負の狂気」c「徳と世路」)、
C「それ自身において実在的であることを自覚せる個人」(a「精神的動物の国と欺瞞あるいは事そのもの」b「立法的理性」c「査法的理性」)、
((C)「理性」)(BB)「精神」:Ⅵ「精神」
A「真実なる精神、人倫」(a「人倫的世界、人間のおきてと神々のおきて、男性と女性」b「人倫的行為、人知と神知、罪責と運命」c「法的状態」)、
B「自己疎外的精神、教養」Ⅰ「自己疎外的精神の世界」(a「教養と現実の国」b「信仰と純粋透見」)・Ⅱ「啓蒙」(a「啓蒙と迷信との戦い」b「啓蒙の真理」)・Ⅲ「絶対自由と恐怖」、
C「自己確信的精神、道徳性」(a「道徳的世界観」b「ずらかし」c「良心、美魂、悪とその赦し」)、
((C)「理性」)(CC)「宗教」:Ⅶ「宗教」
A「自然宗教」(a「光」b「植物と動物」c「工作者」)、
B「芸術宗教」(a「抽象的芸術品」b「生ける芸術品」c「精神的芸術品」)、
C「啓示宗教」、
((C)「理性」)(DD)「絶対知」:Ⅷ「絶対知」

(27)-2-3 ヘーゲルは「道徳」の立場にいたるまでの「社会生活」(「社会段階」)のことは、これを素通りし、いきなり「道徳宗教」の立場をとって「自己意識の自由」を考える!①「ストア主義」、②「スケプシス主義」、③「不幸なる意識」(クリスト教)という3つの段階!
★「普遍的な自由な自己意識」にはいろいろな「形態」(「社会段階」)がありうる。したがってヘーゲルは「自己意識の自由」における「社会生活の問題」or「社会段階」との関係の問題について、上記のように(ア) 「快楽ケラクと必然性サダメ」と「家族」、(イ) 「人倫的世界」と「ギリシアのポリス的生活」、(ウ) 「法的状態」と「ローマの法的世界」、(エ) 「国家と財富」との立場から「中世よりフランス革命にいたる社会関係」をとく、(オ) 「フランス革命」の問題、(カ) 「道徳的世界秩序」などについて論じているのだが、しかしヘーゲルはここではこの「道徳」の立場にいたるまでの「社会生活」のことは、これを素通りする。(146頁)
☆かくてヘーゲルはいきなり「道徳宗教」の立場をとって「自己意識の自由」を考える。これが①「ストア主義」、②「スケプシス主義」、③「不幸なる意識」(クリスト教)という3つの段階に分けられる。(146頁)

Cf. ヘーゲル『精神現象学』の目次(抄):((C)「理性」)(BB)「精神」:Ⅵ「精神」C「自己確信的精神、道徳性」(a「道徳的世界観」b「ずらかし」c「良心、美魂、悪とその赦し」)
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