King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

甘いコクの違和感

2017年11月22日 10時45分06秒 | 珈琲

温泉がなぜ健康にいいのか。

日本人の長寿の秘密として昨今注目の日本食ですが、
その裏に毎日入浴を欠かさないその習慣にも世界が気が
付き、日本中にある温泉にもその秘密があるらしいことが
知られてきました。

そんな魅力にそもそも日本人は当たり前だから気が付かないのです。

日本食が世界にブームになっているのにその恩恵の真っただ中
にいる我々はそのありがたいシステムに気か付かず、食をおろそかに
し、かつないがしろにしています。

今では家で出汁とる人もなく、まな板までない家が多くなり、
その大半をコンビニ食で済ませるなんて人も多くなっいるのです。

日本人の味覚があぶないとその食の崩れを指摘されたりしたのは
コンビニができ始めたころと重なります。

そして、その味覚の危うさが新聞の表現の中にも見られます。

産経ニュースの見出しが甘いコクとあります。

本文を読むと深いコク、甘さとコクとなっていますが、なんと
見出しは甘いコクになっているのです。

さらにネットで気になり検索すると堂々と甘いコクとしてコーヒー豆の
説明に使っている人までいます。

そもそも味の表記というのは感性のあらわれであり、数値化は難しく
まして、個人差やイメージするものから関連し呼応するイメージなど
線分けしたり、切り離したりして説明するものでもないものなど簡単
ではなく、それをさらに形容詞で補ったり重ねたりする結果、甘いコク
などという言葉も使いだしたのでしょう。

日本人には甘いにしろからいにしろそれぞれの表現に余るものを
巧みに拾い上げ様々な言葉を産んできました。

ところが英語がやたらと浸食してきた現代では英語的な感覚の人が
副詞と形容詞をくっつけて使うのに慣れ日本語もそういう感じに
使ってしまうのでしょう。

そういう人の表記と昔からの表現や昔は使われていたけれど現代では
使われなくなった言葉とかときにおやっと思うことが出てくるのです。

でも、最近は圧倒的に古色薫言葉より、英語慣れした人が使った
なんでもly付けてしまったような日本語が増えているのです。

その結果、なんとなく言っていることは解っても、あれもしかしてと
いうことも出てくるのがこの甘いコクです。

甘いには強い弱いの強さ表記での甘いという使い方もあり、コクが甘い
のか、コクが強くないのかなんとなく後から釈然としないものが沸いて
くるのです。

つまり気持ち悪い使い方です。

こんなことを思ったのも今月のブレンドのテーマからです。

深く広くというイメージにでてくる味を表す言葉はやはり
コクというものです。

その深く広くひろがる世界にあまり変なものは持ち込まれたくない
そんな気がしたのでしょうか。

その深みに導くものに香りがあり、重ねるイメージもあり、
深まる世界観にも思いがあるのです。

使った特別な豆への思いとか何とか言葉で知らせたいといろいろと
説明しては試飲してでもどれだけ伝わったかという思いもたまに
ありますが、言わずとも解る人には解り、伝わっているなという
言葉と言葉での交流以上の空気がカウンター越しで交わされ通じ合う
ので珈琲談義は終わらずいつも長くなってしまうのです。

しかし、営業時間はいつも3時までになっていますのでご注意を。

コメント
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